■2023年4月号

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バイオジャーナル

ゲノム編集トウモロコシ、日本で流通可能に

 

多国籍アグリ企業のコルテバ・アグリサイエンス社が開発したゲノム編集トウモロコシが、3月20日に農水省、厚労省への届け出が受理され、飼料としても食品としても流通が可能になった。コルテバ社は、デュポン社とダウ・ケミカル社のアグリビジネス部門が合併してできた巨大多国籍アグリ企業である。このゲノム編集トウモロコシは、ワキシー遺伝子を破壊して粘り気を増したものである。トウモロコシには、もともとワキシーコーンと呼ばれる、交配で作り出した粘り気のある品種があるが、通常の品種の遺伝子をゲノム編集で壊し、ワキシーコーンに近いトウモロコシに変えた。コルテバ社によると、ワキシーコーンは通常のトウモロコシに比べて収量が落ちるが、このゲノム編集の品種は多収だという。
日本でも1980〜90年代に、遺伝子組み換え技術でワキシー遺伝子の働きを抑えた「低アミロース米」が開発されたことがある。遺伝子組み換え技術で、通常のうるち米をもち米に近い粘り気のあるお米に変えた。味覚改良米として開発がすすめられたが、もともとのもち米があることから、実用化には至らなかった。この場合の遺伝子組み換え技術は、アンチセンス法と呼ばれる方法を用いた。この方法は遺伝子を壊さないため、アミロースは大幅に減少するものの、ゼロになるわけではない。
でん粉はアミロースとアミロペクチンから成り、アミロースが多いとパサつき、少ないと粘り気が出る。お米の場合、タイ米などのインディカ米はアミロースが30%前後、日本のうるち米は20%前後、もち米は0%である。低アミロース米は、アミロースの割合を下げ、粘り気を増したお米の開発を目指していた。 トウモロコシでん粉(コーンスターチ)もアミロースとアミロペクチンから成り、通常の品種はアミロース25%程度、アミロペクチン75%程度となっている。ゲノム編集でワキシー遺伝子を破壊し、アミロースをなくしたこのトウモロコシは粘り気が強いため、食用としてもコーンスターチとしても、さまざまな食品に使われる可能性がある。米国では、ゲノム編集作物栽培にあたっての届け出義務がないため、栽培状況はわからない。また日本では、ゲノム編集は食品にも種苗にも表示義務がないため、市場に登場してもわからない。 コルテバ社はバイエル社と並び、ゲノム編集関連特許の多くを押さえており、現在、特許権の扱いを一手に引き受ける窓口にもなっている。これまで様子を見ていた多国籍企業が、いよいよゲノム編集作物の本命に乗り出したといえそうだ。