■2023年7月号

今月の潮流
News
News2


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る






























バイオジャーナル

ニュース


●代替食品
●空気タンパク質の登場

 微生物タンパク質、またの名を単細胞タンパク(SCP)という微生物に作らせるタンパク質の開発が活発化している。かつては石油タンパク、微生物タンパク、単細胞タンパクといった名前が付けられていたが、今回は空気タンパクという名前が付けられている。二酸化炭素や水素、酸素などを用い、発酵技術で微生物を増殖させ、その微生物からタンパク質を取り出して食料にするというものである。製造工程ではまず、二酸化炭素などからギ酸塩が作られる。これが微生物の栄養となり、増殖した微生物からタンパク質を取り出す。 フィンランドのソーラーフーズ社は、微生物タンパク質「Solein」を用いたアイスクリームを開発し、シンガポールで6月15日から販売を開始した。同社は、味の素との提携を発表している。オランダのファームレス社は、バイオマス発酵を用いて微生物の量産を検討している。米国のADM(アーチャー・ダニエル・ミッドランド)社は、空気タンパク質を開発しているエァー・プロテイン社と提携した。日本でもCO2資源化研究所が水素細菌の活用を図っている。〔Foovo 2023/6/16他〕

●米国の培養肉、2社が農務省の認証を得て販売可能に

 米国で培養肉を製造しているグッド・ミート社(イート・ジャスト社の培養肉部門)とアップサイド・フーズ社は6月、表示認証に続き検査証書も得て、米国内での培養鶏肉の製造・販売が可能になった。いよいよ米国のレストランでの培養肉の使用が始まることになる。米国での販売開始は、国際市場に大きく影響する可能性が高く、世界的に一気に解禁が進みそうである。〔Foovo 2023/6/22〕

●中国企業が培養肉工場の規模拡大

 中国のフードテック企業の周子未来(Jose Future Food)は、現在100リットル規模のプラントを稼働させているが、資金調達に成功し、1000リットル規模のプラント建設を進めることになった。同社はすでに低コストの無血清培地などを開発しており、中国における培養肉市場をけん引している〔Foovo 2023/5/2〕
●企業動向
●昆虫食開発の信州大学発ベンチャー、2億円の資金調達

 信州大学発のベンチャー企業Morus社は、カイコによる昆虫食などの研究開発・事業化を進めてきたが、今回、2億円の資金調達を達成した。Morus社は、同大学繊維学部教授塩見邦博の研究を基盤に作られており、ゲノム編集などのバイオテクノロジーの応用を進めることになりそうである。同社はこの資金で、開発・事業化を加速すると発表した。〔Morus 2023/5/10〕