■2023年9月号

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バイオジャーナル

ニュース


●省庁動向
●厚労省が培養肉事業者からヒアリング

 厚労省は8月4日、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会を開催し、細胞培養技術を用いて作られる食品(いわゆる培養肉)に関する事業者からのヒアリングを行った。これまでも厚労省は開発側を招き審議会を開催しているが、反対もしくは慎重な団体・個人からのヒアリングは行っていない。

●厚労省が消費者団体の培養肉に関する質問状に回答

 厚労省は、日本消費者連盟などの消費者団体が提出した培養肉に関する質問状に対し、8月4日付で回答した。同省は、培養肉は従来の食肉とは異なるため、食品の安全確保の観点からかかわっている。安全性に関する知見や研究開発の状況などの収集をしているところである、と回答。なお、知的財産権を理由に審議会の肝心な部分は公開されていない。
●異種移植
●相次ぐ豚のGM臓器の人間への移植

 ニューヨーク大学ランゴン校のロバート・モンゴメリー医師らの執刀で、豚の腎臓の人間への移植が6月、7月に相次いで行われた。昨年1月の米国メリーランド大学メディカルセンターでの心臓移植(2022年2月号参照)に続く異種移植で、今回もまた、脳死状態の患者に対しGM豚の臓器を移植している。メリーランド大学の場合は、拒絶反応を抑えるために、人間の免疫系の影響を受け難いように3つの遺伝子をノックアウトし、人間の免疫寛容を担う遺伝子を6つ挿入し、さらに豚の心臓が大きくならないように1つの遺伝子をノックアウトするという、計10の遺伝子を操作して製造された心臓だったが、今回は、1つの遺伝子をゲノム編集でノックアウトしただけである。発表時点で32日間生き続けており、9月中旬まで観察される。この異種移植は、ランゴン校で行われた5回目の臓器移植である。GM技術で拒絶反応を起きにくくした臓器の移植が活発化してきており、日本でも神戸大学に異種の膵島移植を目指す研究室が立ち上げられた。〔NYU Langone Health 2023/8/16〕