■2023年10月号

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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●欧州委員会の新しいゲノム技術緩和案への批判

 欧州委員会は7月5日、植物に関するNGTs(New Genomic Techniques:新しいゲノム技術)の規制を全面的に緩和する提案を行った。これは遺伝子組み換え以降に登場した、ゲノム編集技術などの新しい遺伝子操作技術を応用した植物についての規制緩和を検討してきた、欧州委員会の専門委員会であるユニットDG SANTEの提言を受け、NGTsについて全面的な規制緩和を打ち出したものである。これに対して環境保護団体などは、NGTsは「ニューGMO」であり、従来通り規制すべきであると主張し、9月7日に欧州議会のグリーングループ主催でGMOフリー欧州会議を開催した。そこでは、この提案が受け入れられれば、NGTsの94%は、欧州委員会が提案しているカテゴリー1(規制されない)となり、安全性評価、トレーサビリティ、表示を免れると指摘し、カテゴリー2(規制対象)にすべきだとした。この規制緩和により大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、トマト、アボカド、ハーブ、オレンジ、イチゴ、バナナ、レタス、エンドウ豆、マスタードなどのさまざまなニューGMOが、規制のないまま市場化される可能性がある、と指摘した。〔GMO FREE EUROPE Conference 2023/9/7〕

●北米事情
●米国食品安全センターがGMO表示で上訴

 米国の消費者団体の食品安全センターが、GM食品表示に関して農務省を上訴した。同センターは、GM食品表示について、食用油などの高度精製品が表示の対象外になっていること、名称を「GMO」ではなく、なじみの薄い「バイオエンジニアリング」と表示することは消費者の権利に反するとしてカリフォルニア州連邦地裁に訴え、2022年に敗訴した。しかし、同時提起した、機器を持っていない人には読み取れないQRコードでの表示については、違法と判断された。しかし地裁がQRコードの取り消しを命じなかったため、いまだにこの表示は続いている。そのため今回は、QRコード表示の取り消しを求めて上訴し、合わせて食用油などの高度精製品への表示を求めた。〔Center for Food Safety 2023/9/6〕