■2023年11月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●自治体動向
●静岡県議会で初のゲノム編集食品表示を求める決議

 静岡県議会は10月13日、「ゲノム編集技術応用食品の表示等を含めた消費者への情報提供の在り方について検討を求める意見書」を可決・採択した。自治体の議会が、ゲノム編集食品の表示を求める決議を挙げたのは、これが初めてである。提出先は衆参両院議長、内閣総理大臣など7か所。かつて、表示がないまま遺伝子組み換え食品の流通が始まった際には、東京都が初めて決議を挙げ、その後、全国の地方議会がこれに続き、農林水産大臣宛1078通、厚生大臣宛1224通に達した。


●企業動向
●磐田市が魚介類の陸上養殖の一大拠点に

 ゲノム編集魚の開発を進めるリージョナルフィッシュ社がNTTと合弁で立ち上げた、NTTグリーン&フード社が静岡県磐田市にあるスズキ株式会社の子会社の工場跡地を利用して、エビの陸上養殖を行うことになった。年間約100トンを生産する予定で、2024年夏ごろの稼働開始を目指す。リージョナルフィッシュ社は、すでにゲノム編集トラフグ、マダイを市販化し、ゲノム編集バナメイエビの開発を進めている。NTTは魚介類のエサとなる藻の開発を進めてきたことから、それが合体しての取り組みとみられる。磐田市では、関西電力の子会社の「海幸ゆきのや」が、バナメイエビの大規模陸上養殖施設を昨年7月に新設しており、同地域は一大陸上養殖地帯になりそうである。また、リージョナルフィッシュ社は、京都府宮津市で関西電力の敷地に養殖場を持っており、関西電力、NTTとの連携を強化しているといえる。〔静岡新聞 2023/10/11ほか〕

●合成生物学の先駆者の米企業が破産申請

 合成生物学企業の米国Amyris社が8月9日、破産申請した。合成生物学とは、生物を人工的に合成して作成するという研究・開発の分野である。同社はこの分野の先陣を切っていただけに、同種の企業への影響は必至と見られる。〔日経バイオテク・オンライン版 2023/9/27〕

●バイオスティミュラント企業が動きだす

 農水省が押し進める「みどりの食料システム」戦略の柱の1つである「バイオスティミュラント」技術の開発を進めるAGRI SMILE社(東京)が本格的に動きだした。バイオスティミュラントは、植物の免疫性を高める技術で、生体刺激資材といわれている。直接植物の栄養にはならないが、根が強くなるなど不良環境への耐性が強くなるなどの効果を狙ったもので、農薬・肥料に次ぐ第三の農業資材を目指すという。同社は、9月7日に「バイオスティミュラント活用による脱炭素地域づくり協議会」を共同で設立した。〔日経バイオテク・オンライン版 2023/9/19〕