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バイオジャーナル

危険性が問われるなか、欧州委員会はグリホサートを再承認

 

グリホサートの再承認の期限が2023年12月15日に迫るなか、11月16日、欧州委員会は10年間の再承認を可決した。この間、再承認をめぐり議論が続いてきたが、同時にグリホサートの毒性をめぐる論争も活発化している。その中心が、イタリア・ラマッツィーニ研究所などが進めているグリホサートの毒性研究の国際プロジェクトである(2023年12月号参照)。

この研究の1つで、極めて低い濃度のグリホサートでも白血病を引き起こすとする実験結果が「バイオアーカイブ(bioRxiv)」に発表された。米国ボストン大学のフィリップ・ランドリガン教授らによる動物実験で、グリホサート及びグリホサートを主成分とする除草剤の両方で、低用量でも若いラットに白血病が起こった。教授は、この結果は人々の健康にとって2つの意味で重要だと指摘する。第1は白血病が極めて低い濃度の曝露で起きたこと、第2は年齢が低いと起きやすいこと、である。〔bioRxiv 2023/11/14〕 それとは別に、米国小児学会(AAP)が、GM食品の摂取を控えるよう求めた新しい臨床報告書を発表した。この報告書は、GM食品に対する家族から寄せられている懸念に対して臨床医への指針を示したものである。GM食品には除草剤のグリホサートが残留しているが、そのグリホサートのリスクに焦点を当てた。グリホサートは、発がん物質である可能性が高く、内分泌かく乱を引き起こし、早産のリスクも高くなると指摘している。〔AAP 2023/12/11〕

このようにさまざまな論文が出されているにもかかわらず欧州委員会が再承認したことに対して、「(再承認は)経済的利益を優先し、人々の健康と生物多様性保護を優先したEUの農薬取締法に違反している」として、市民団体が欧州司法裁判所に再承認への異議を申し立てた。異議を申し立てたのは、農薬行動ネットワーク・ヨーロッパ(Pesticide Action Network(PAN) Europe)とそれを構成する4団体。市民団体は、再承認したのはEUを構成する人口比42%の国に過ぎず、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギーなど主要国は棄権し、オーストリア、クロアチアなどは反対している、と指摘している。〔PAN Europe 2023/11/21〕 カナダでは、オンタリオ州上級裁判所が、2023年12月11日、バイエル社(モンサント社)に対する被害者による集団訴訟を受け入れた。被害者は、除草剤ラウンドアップが非ホジキンリンパ腫を引き起こすことを認め、賠償するよう求めている。訴訟の審理はすでに2019年12月から始まっていたが、集団訴訟そのものを認定するかどうかの審理が2023年3月に開始され、今回認定された。〔CNW Group 2023/12/13〕