■2024年2月号

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バイオジャーナル

ニュース


●ゲノム編集
●富山のゲノム編集魚の養殖施設が地震で半壊

 2024年1月1日に起きた能登半島地震で、富山県射水市にあるリージョナルフィッシュ社のゲノム編集マダイなどの魚の養殖施設の建物などが半壊した。同社の発表によると、取水管4本のうち3本が破裂し、給水が困難になり、敷地のコンクリートが沈降や隆起し、建屋も崩れかけている箇所があり、作業が困難になったという。また、ゲノム編集魚の流出はないと発表している。ゲノム編集魚の流出の可能性について農水省は、流出はないとする報告を受けているとしているものの、実際に確認はしていない、と述べている。この件でリージョナルフィッシュ社から地元自治体への報告はない。〔リージョナルフィッシュ 2024/1/19ほか〕

●ゲノム編集鶏由来の卵の臨床試験、AMEDの研究事業に採択

 キユーピーが広島大学と共同で開発している、ゲノム編集鶏を用いた低アレルゲン卵の臨床試験について、その試験を行う相模原病院は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した令和5年度の免疫アレルギー疾患実用化研究事業に応募して採用された、と発表した。臨床試験は2026年3月31日まで行われる予定。〔キユーピーアヲハタニュース 2024/1/18〕

●欧州事情
●ノルウェーで養殖鮭の飼料用GMナタネを承認

 ノルウェーは養殖鮭の飼料用GMナタネ栽培を承認した。このGMナタネは、EPAやDHAなどの長鎖オメガ3脂肪酸が多く含まれるように遺伝子を改変している。飼料として与え、鮭が持つ長鎖オメガ3脂肪酸を増やすのが目的である。しかし、このGMナタネは、蝶に羽の数が増えるなどの異常をもたらすことがわかっており、栽培すれば生態系に影響を及ぼすことになる。さらに、飼料として長期間与え続ければ、鮭に悪影響が起きることも懸念される。〔GMWatch 2024/1/10〕
●アジア事情
●中国がGM穀物の輸入依存から自国栽培へ

 中国農業省は、GMトウモロコシとGM大豆の種子の生産・流通・販売に関する免許を、国内26社に交付した。交付されたのは、北京大北能科技集団と袁隆平農業高科の複数の子会社、シンジェンタグループの先正達集団の傘下企業など。穀倉地帯の河北省、遼寧省、吉林省などで活動している企業も含まれる。2024年のGMトウモロコシの予定作付面積は、今年の2倍の8省で67万ヘクタールに達すると見られる。〔Reuters 2023/12/27〕
●北米事情
●GMO禁止をめぐるメキシコと米加の貿易協定紛争、調停機関がカナダのNGOの意見提出を取り消し

 メキシコは2024年1月31日のGMトウモロコシと除草剤グリホサート完全禁止に向け、2020年の大統領令発布以来、栽培や輸入禁止などを段階的に施行してきた。そのため米国とカナダは、カナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA)に基づき提訴した。紛争を処理する委員会は、カナダのNGOの2団体に書面での意見提出の機会を与えていたが、1月5日その機会を取り消した。これは米国が求めたもので、カナダも支持している。すでに米国とメキシコの8市民団体が委員会に意見を提出しており、今後、その扱いが焦点になりそうである。〔CBAN 2024/1/9〕