■2024年7月号

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バイオジャーナル

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●フードテック
●イスラエル企業が細胞培養トロを試作

 イスラエルで細胞培養による魚肉を開発しているワンダ・フィッシュ社が、刺身のトロの試作品を発表した。クロマグロの細胞から作成された筋肉と植物成分から作られた脂肪を組み合わせたもので、本物と同程度の見た目と食感を作り出したとしている。〔Foovo 2024/5/21〕

●培養牛肉企業が事業停止

 細胞培養技術で牛肉を開発してきた米国のSCiFi Foods社は資金調達が困難になり、事業を停止すると発表した。今年2月には工場での試運転を開始し、培養牛肉10%、植物成分90%用いた培養バーガー製品を月産数千個製造できる見込みだと発表していたが、代替肉市場の見込みが立たず、工場閉鎖に追い込まれた。〔Foovo 2024/6/16〕

●遺伝子組み換え
●農水省検討会がスギ花粉米実用化に向けた検討会開催

 農水省の農林水産技術会議は5月30日、スギ花粉米の実用化に向けた官民連携検討会を開催し、中間とりまとめ案を提示した。官民連携で課題の解決を図ることが必要である、ご飯として食べるよりも有効成分を抽出して医薬品として販売することが望ましい、既存薬との差別化が必要である、などが提案された。

●異種間移植
●サケの卵を産むニジマスを作成

 生殖幹細胞の異種間移植による代理親漁を開発してきた、東京海洋大学学術研究院海洋生物資源学部門教授の吉崎悟朗らの研究チームが、サケの卵をニジマスに産ませたと発表した。サケ類はその多くが産卵すると死ぬが、ニジマスは死なないため繰り返し産卵できるという。同大学が開発した異種間移植は、サケの雄と雌の生殖細胞のおおもとの細胞を、ニジマスの雄と雌にそれぞれ移植して、ニジマスにサケの精子と卵子を生産させて受精させたもの。研究チームは同様の原理を利用してマグロの生産も進めている。〔Science Advances 2024/5/24〕

●iPS細胞
●コーセーがiPS細胞を用いた化粧品提供へ

 コーセーは5月8日、iPS細胞を用いた個人向け美容商品を提供するため、米国アイ・ピース社と提携すると発表した。顧客本人の血液などからiPS細胞を作成し、そこから抽出した有効成分を混ぜた美容液を作り、肌の診断などと組み合わせた美容サービスを行う。今年中の実証実験を目指し、2026年までに商品の提供を始めたいとしている。1本12万円以下の美容液6本と診断付きで年間100万円前後での提供を予定している。この分野では、すでに花王がRNA分析による美容プログラムを提供しており、資生堂も唾液から抽出したDNAを用いた「ビューティーDNAプログラム」を開始している。化粧品の開発が、遺伝子やiPS細胞を用いた個人単位の対応の時代になってきた。〔日経バイオテク・オンライン版 2024/5/13〕