まもなくレプリコンワクチンが登場し、広く使用される可能性がある。レプリコンは「複製」を意味し、このワクチンはコピーを次々と作り出して自己増殖する。開発の歴史はそれほど長くないものの、新型コロナワクチンでメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが登場したことで開発が加速した。現在、市場化に向けて動いているレプリコンワクチンは2種類で、Meiji Seika ファルマ社が製造販売する新型コロナワクチンと、開発が最終段階を迎えている、VLPセラピューティクス社などが開発している新型コロナワクチンである。いずれも基本的な働きはmRNAワクチンと同じである。異なるのは、そのmRNAを増やす情報を加えている点だ。そのため細胞内でmRNAが作られ、増え続けることになる。
Meiji Seika ファルマ社が製造販売するレプリコンワクチンは、米国のバイオ企業アークトゥルス・セラピューティクス社(Arcturus Therapeutics, Inc.)が開発したもので、新型コロナウイルス用ワクチンとして、2023年11月28日に日本国内での製造販売が承認された。Meiji Seika ファルマ社によると、効果は6か月間持続することが確認されており、今秋からの実用化を目指す。製造は、アルカリス(ARCALIS)社の福島県南相馬工場とMeiji Seika ファルマ社の足柄新工場を予定している。アルカリス社はmRNA医薬品に特化した受託生産企業である。
一方、VLPセラピューティクス社などが開発しているレプリコンワクチンは、同社の他に国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、国立病院機構名古屋医療センター、北海道大学大学院、大阪公立大学の研究者による共同開発である。このワクチンの場合、新型コロナウイルスのスパイクの全体を対象とせず、人の細胞に結合する部位(受容体結合部位)だけを発現するようにしたものである。成果はネイチャー・コミュニケーションズ電子版2023年5月19日付などに発表している。それによると霊長類を用いた実験で、効果が少なくとも12か月持続していた。いずれも次々とmRNAが増殖され、効果が継続する、としている。
ここで問題なのが、いったん体内に入れると、自己増殖をコントロールできなくなることである。当初から指摘されていたmRNAワクチンが持つ問題点に、帽子のような構造からキャップ構造といわれるものをmRNAにかぶせ、分解し難くしたことによる影響がある。mRNAはその役割を終えるとすぐに分解される。すぐに分解されることが基本であり、分解されないことは生命の仕組みに反し、体に有害な働きを生じさせる可能性がある。それがmRNAワクチンによるさまざまな副反応の主因と思われる。今回のレプリコンワクチンは、消えないどころか、さらにmRNAを増やす酵素遺伝子を用い、長期間増え続けさせる。このことは生命の仕組みに反する行為をいっそう強めており、どのような悪影響をもたらすのか予測がつかないところに大きな問題点がある。
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