■2024年8月号

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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●バイエルがメキシコでの訴訟を取り下げ

 メキシコでは、大統領令によりGM作物や除草剤グリホサートが使用できない状況が続き、そのためモンサント社(現在はバイエル社)は政府を相手取り、撤廃を求めて訴訟を起こしていた。このたび同社はその訴訟を取り下げた。裁判に勝ち目がないことが明らかになったためとみられる。〔Nation of Change 2024/7/2〕
●欧州事情
●英国でペット用培養肉を認可

 7月2日、英国動植物衛生局(APHA)がペットフード用の培養肉を認可した。ヨーロッパで初めて培養肉が認可されたことになる。開発したのはベンチャー企業のミートリー(Meatly)社で、鶏の細胞を培養したもの。しかし、培養肉は製造コストがかかるため、安さが求められるペットフードに市場性はない。現在、ペット用に培養肉を開発している企業に、オーストリアのバイオクラフト・ペット・ニュートリション(BioCrft Pet Nutrition)社とチェコのベネ・ミート・テクノロジーズ(Bene Meat Technologies)社があり、いずれもコストが最大の課題となっている。〔WIRED 2024/7/16〕

●イタリアで試験栽培中のゲノム編集イネが刈り取られる

 イタリアの北部都市パラヴィア近郊で行われていた、試験栽培中のゲノム編集イネが6月21日、何者かによってすべて刈り取られた。このイネは、いもち病に抵抗性を持たせた稲で、EUで初めて行われた野外試験栽培だった。〔Scienceinsider 2024/6/25〕
●遺伝子組み換え
●挫折した遺伝子組み換え鮭

 昨年2月7日にカナダでのGM鮭の養殖中止を発表したアクアバウンティ・テクノロジーズ社が、今度は米国インディアナ州での養殖も中止し、同養殖場を950万ドルで売却することに合意したと発表した。売却先は、インディアナ州アルバニーに本拠を持つ鮭の養殖と野菜の販売を手掛けるスーペリア・フレッシュ社である。スーペリア・フレッシュ社はGM技術には否定的で、有機飼料を用いた鮭の養殖を進めている。これによりGM鮭は、消費者に受け入れられないまま完全になくなった。〔KMURO 2024/7/2〕

●GM技術でタバコ科植物から母乳成分を生産

 カリフォルニア大学バークレー校のパトリック・シーらはGM技術を用いて、タバコ科の植物に母乳の成分ヒトミルクオリゴ糖を産生させた。母乳には約200種類のオリゴ糖が含まれているが、従来の大腸菌を用いた方法で産生できるオリゴ糖はわずかだったが、今回は11種類のオリゴ糖を産生させたとしている。〔Guardian 2024/6/16〕