■2024年9月号

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バイオジャーナル

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●ゲノム編集
●中国企業がゲノム編集高密度栽培トウモロコシを開発

 中国のオリジン・アグリテック社は6月12日、ゲノム編集技術を用いて高密度で栽培ができるトウモロコシを開発したと発表した。同社は、北京に拠点を置き1997年に設立、英国領バージン諸島に籍があり、グリホサート耐性作物や殺虫性作物の開発も進めている。〔日経バイオテク・オンライン版 2024/7/18〕

●遺伝子組み換え作物
●Btコーンは非GMに比べ収量が少ない

 米国ノースカロライナ州立大学教授のドミニク・ライシグは、米国で栽培されているBtコーンは、非GMコーンに比べて収量が少ないと指摘した。教授は2016年からBtコーンの耐性害虫を調査してきたが、このままいけばGMトウモロコシが不要になるのは時間の問題となりそうだ。〔GMWatch 2024/7/24〕

●遺伝子組み換え昆虫
●オーストラリアで廃棄物処理のGMハエを開発

 オーストラリアの研究チームが、遺伝子組み換え技術を用いて廃棄物を分解するハエを開発した。開発したのはマッコーリー大学の研究チームで、廃棄物を分解して、バイオ燃料や動物用飼料を生産するクロオオバエを作成した。開発者はメタンガスの放出を抑制することができるというが、ハエが逃げ出すなど、生物多様性への影響が懸念される。〔The Guardian 2024/7/24〕

●企業動向
●日揮HDが神戸で水素細菌の研究開発

 日揮ホールディングスがバイオテクノロジー研究の拠点として、神戸市にバイオプロセス研究所を設立する。研究所の完成は2025年12月を予定、当面は水素細菌の研究開発を行う。〔日経バイオテク・オンライン版 2024/7/19〕

●省庁動向
●自治体の農水研究機関における遺伝子操作食品の開発状況

 日本では国や民間企業のみならず、自治体の農水研究機関でもゲノム編集作物や魚の開発が進められている。その先頭を行くのが愛媛県農林水産研究所・果樹研究センターで、ゲノム編集柑橘を開発。愛知県農業総合試験場では、ゲノム編集花卉(カーネーション、キク)の新品種開発を進めている。広島県立総合技術研究所・農業技術センターは、自らは開発していないものの、ゲノム編集技術による新品種開発の企業を支援している。 かつて政府が推進するゲノム編集技術等の農水産物開発計画(2014〜2018年度)に参加した自治体は次のとおり。富山県農林水産試験場、長崎県総合水産試験場、静岡県農林技術研究所、鹿児島県農業開発研究センター、宮崎県農業試験場、宮城県古川農業試験場、愛媛県農林水産研究所、佐賀県果樹試験場。長崎県総合水産試験場は現在、ゲノム編集マグロの開発にかかわっている。

●消費者庁「ゲノム編集は規制しない」と回答

 消費者庁食品衛生基準審査課は7月31日、日本消費者連盟と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンが共同で提出した、ゲノム編集などの「遺伝子操作食品の規制を求める公開質問状」に対して、従来通り規制しない旨の回答をした。理由として、外来遺伝子やその一部が残存しておらず、自然界でも起こり得るような遺伝子変化を伴うものに関しては安全上問題ないとしているからだ、としている。