■2024年10月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●米国がアルゼンチンのGM小麦を承認

 アルゼンチンのバイオ企業ビオセレス・クロップ・ソリューションズ社がCONICET、国立リトラル大学と共同で開発し、すでにアルゼンチンで栽培されているGM小麦「HB4」について、USDA(米国農務省)が栽培と食品としての販売を承認した。2022年にはFDA(米国食品医薬品局)が承認しており、これで米国でのハードルはなくなった。この小麦は干ばつ耐性と、除草剤グルホシネート耐性の2つの性質を持つ。アルゼンチンでは、除草剤のグリホサートやグルホシネートによる環境や人体への汚染の拡大がかねてより懸念され、農家や環境保護団体、消費者団体は反対運動を進めており、この動きが米国へ波及することになりそうだ。〔Reuters 2024/8/28〕

●バイエル社がグリホサート裁判で初めて勝訴

 除草剤ラウンドアップの主成分グリホサートががんをもたらしたとする訴訟で、これまでカリフォルニア州サンフランシスコとジョージア州アトランタの裁判では被害者が勝訴し、バイエル社の敗訴が続いてきたが、ペンシルベニア州フィラデルフィアの連邦裁判所で初めてバイエル社が勝訴した。被害者が上訴することは必至である。同社は、敗訴以外にも2020年に多くの訴訟で和解しており、和解金は109億ドルに及ぶ。この結果、来年にも出される可能性がある連邦最高裁判所の判決が注目される。〔Reuters 2024/8/17〕
●欧州事情
●EUの食品業界がニューGMOの厳格な表示を求める

 EUの食品業界が、ゲノム編集食品などニューGMO食品の表示などを求めた公開書簡を、EU理事会農業漁業担当理事長であるハンガリーのイシュトバン・ナジ農業大臣に提出した。この公開書簡には、EU加盟国16カ国の食品小売業界376企業が署名した。そこにはEUで3番目に大きい食品小売チェーンのREWEグループや、欧州最大のドラッグストアチェーンdm-drogerie markt、世界最大のオーガニックスーパーマーケットチェーンのBiocoopなどが含まれている。この公開書簡で食品業界は、ニューGMO食品の表示やトレーサビリティ以外にも、汚染者負担、汚染に対する補償金も求めている。〔VLOG 2024/9/3〕

●オセアニア事情
●ニュージーランドが遺伝子操作規制撤廃へ

 ニュージーランドのジュディス・コリンズ科学・イノベーション・技術担当大臣は8月13日、これまで実験室以外での使用を禁止していた遺伝子組み換えなどの遺伝子操作技術の規制を撤廃すると発表した。遺伝子組み換えで厳しい規制をとっていた同国が、ゲノム編集技術の登場などで規制撤廃に動いたもの。政府はそのための法案を年内に議会に提出し、来年にも運用を開始する予定だという。新法は、オーストラリアの2000年遺伝子技術法と合わせたものになることが検討されている。〔JETRO 2024/8/23〕