■2024年11月号

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バイオジャーナル

ニュース


●ゲノム編集
●消費者庁がゲノム編集ジャガイモの届け出を受理

 10月16日、消費者庁は米国J.R.シンプロット社が届け出ていたゲノム編集ジャガイモの申請を受理した。米国企業からのゲノム編集食品の届け出受理は、コルテバ・アグリサイエンス社のワキシー・トウモロコシに次いで2例目となる。このジャガイモは、ビンチェという品種を用いて、小粒だが通常の2倍の収量をもたらすよう、株の塊茎数の調節に関与している遺伝子をノックアウトして作成した。現在、米国では家庭用、レストラン用のいずれも小粒のジャガイモが好まれており、その市場を狙ったものと思われる。 シンプロット社はすでに2種類のGMジャガイモについて日本での流通認可を得ている。しかし、植物防疫の問題で日本へは生の状態でジャガイモを輸出できないため、加工して輸出することになる。おそらくフライドポテト用になると思われるが、いまだ日本の市場に入ってきていない。ゲノム編集作物は、GM作物と異なり食品表示が必要ないため市場化しやすく、こちらの方が早く入ってくる可能性がある。

●北米事情
●ジカンバ耐性大豆拡大の背景

 米国アーカンソー州で除草剤ジカンバ耐性大豆が広がっている背景に、ジカンバ汚染がある。非GM大豆を栽培している農家は、周囲の農家のジカンバ耐性大豆栽培により、空中を漂ってきたジカンバによって大豆が枯れてしまった。そのためジカンバ耐性大豆を栽培せざるを得ない事態に追い込まれた。ある大豆農家の場合、その農地では養蜂家がミツバチを飼っていたが、養蜂家も撤退せざるを得なくなった。すでに数百万エーカーの大豆畑、果樹園、野菜畑、観賞用樹木、庭園が被害を受けているという。〔The Organic & Non-GMO Report 2024/9-10〕

●米国国防総省がバイテク企業を助成

 米国国防総省は、防衛産業基盤を強化するため、バイオテクノロジー企業支援の目的で、エア・プロテイン社などフードテック5社に助成金を交付すると発表した。いずれも米国内に生産施設を建設するための資金が提供される。〔Foovo 2024/10/1〕

●フードテック
●日本航空が機内食で精密発酵食品を提供

 日本航空は9月17日、東京−サンフランシスコ間の国際便の一部で、精密発酵製品である甘味タンパク質「ブラゼイン」を用いたチョコレートの提供を開始すると発表した。ブラゼインは砂糖の500〜2000倍の甘さを持つタンパク質である。精密発酵技術は、GM技術で細菌が特定の成分のみを生産するように遺伝子を改造して、その細菌を水や栄養素、糖などを加えた発酵タンクで増殖させ生産する。米国ではすでにパーフェクトデイ社がこの技術で乳タンパクを製造しており、日本でも食品の開発を進めている企業がある。 日本航空が提携した、ブラゼインを製造販売している米国のオオブリ社は、このチョコレートを米国内で2022年から発売しているが、今回が初めての海外展開だという。この食品はGM技術が使われているため、日本国内で販売するには安全審査を経る必要がある。しかし国際便で、しかも米国発の便で提供し日本発の便では提供しないため、日本の規制を免れることになる。〔JAL 2024/9/17〕