■2004年5月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●米国でのGM稲の大規模栽培認可か?


 遺伝子組み換え作物は現在、稲と小麦の動向が焦点になっている。アメリカ、カナダでのGM小麦認可をめぐる動きに関しては、3ページの報告を見てほしい。
 GM稲の動きは、大規模な試験栽培計画のある米国カリフォルニア州の行方を注視する必要があるだろう。前号でお伝えしたように、同州では、メンドシーノ郡が米国で初めて、住民投票でGM作物・家畜の禁止の措置を決定した。

 しかし、サクラメント・バレーにあるベントリア・バイオサイエンス社は大規模なGM稲の栽培計画を進めている。このGM稲は、ヒトラクトフェリン(病原菌などから乳児を守るタンパク質)とリゾチーム(細菌細胞壁を分解するタンパク質)を生産するもので、感染症や下痢などの予防薬生産を目的としている。

 3月29日、カリフォルニア・米委員会は、この稲の栽培を承認した。今後は、同州食糧農業省が承認するかどうかが焦点になる。委員会の決定は、6対5の僅差で、現在稲が栽培されていない10郡に限定したものである。しかし、どんなに栽培地域を限定しても、輸送などさまざまな過程で汚染は起り得るとして、米生産者や消費者団体、環境保護団体は強く反対している。〔Los Angeles Times 2004/3/30〕