■2004年5月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●海外動向
ニュージーランドでGM小麦申請

モンサント社は、食品としての承認を目指して、GM小麦をニュージーランドのFood Standards Australia New Zealand(FSANZ)に申請した。この申請は米国・カナダへの作付け申請と連動したものと思われる。FSANZは、GM小麦の申請は消費者の意向に逆らうものだ、と述べているものの、審査のシステム自体は段階を追って進むため、承認される可能性が強いと見られている。 〔グリーンピース・ニュージーランド 2004/3/17〕


GM豚が飼料に

カナダ・TGNバイオテック社で実験飼育していたGM豚が、焼却処分されずに鶏の飼料になっていたことが明らかになった。カナダでは2002年にも同様のケースがあった。それらの鶏がどの程度食品として出回ったかは不明である。 〔Polaris Institute 2004/2/4〕


●政府動向
生物多様性影響評価審査始まる

3月8、15、16日、農水省と環境省合同による生物多様性影響評価検討会で、2月19日に施行されたカルタヘナ議定書国内法にもとづき、3日間で以下の12作物が審査された。青いカーネーション(サントリーフラワーズ)、殺虫性トウモロコシ3種類(モンサント)、除草剤耐性綿(モンサント)、矮化稲2種類(農業生物資源研)、スギ花粉症対策稲(農業生物資源研)、トリプトファン高蓄積稲(農業生物資源研)、殺虫性トウモロコシ2種類(シンジェンタ)、殺虫性・除草剤耐性トウモロコシ(ダウ・ケミカル)。
 生物多様性への影響を審査する最初の作物であるが、パブリックコメントを募集して承認するといったプロセスは、従来の方法を踏襲している。

●モンサント
インドネシアでモンサント社が不正取引か?

 前社外コンサルタントが同国高官に5万ドルを供与したとされる件で、モンサント社がインドネシアで調査を受け、社の関与があったか否かが焦点になっている。インドネシアにGM綿の導入を計った際に起きたと見られているが、同社は詳細な情報の提供を拒否している。同社は、インドネシアのGM綿の実験栽培は行ったものの、商業栽培は中止している。 〔ロイター 2004/3/22〕


●ヒト幹細胞
厚労省、死亡胎児の取扱いで集中審議

3月18日、ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会(厚労相諮問機関、厚生科学審議会)が開かれ、前回のヒアリングを受けて人工妊娠中絶による死亡胎児の細胞利用に関する集中審議が行われた。倫理面の議論まで突っ込んでやるべきか、それともインフォームド・コンセントなどの手続きのみを決めるべきかで、委員の間で意見が分かれた。位田隆一委員(京大大学院教授)は「この委員会でルールを作れば国の倫理としてOKしたことになるのだから、私たちは手続きだけを決めたという言い訳はできない」と強く主張した。また、死亡胎児の細胞を研究目的で使うことになれば、中絶の誘発につながるのではないかとの指摘もなされた。結局、決着はつかず引き続き議論することとなった。


●ヒト胚
総合科学技術会議、ヒト胚審議で議論紛糾


4月6日、生命倫理専門調査会(首相諮問機関、総合科学技術会議)が開かれ、前回に引き続きヒト胚の取扱いに関する中間報告後の検討が行われた。最終報告のタイムリミットは6月と迫ってきているが、現在モラトリアムがかけられているクローン胚について、再生医療分野での応用を目指して即刻解禁を主張する推進派に対して、動物実験で多数の異常が見られ、あまりにも不明な点が多いことから時期尚早とする慎重派が激しく対立し、議論は遅々として進んでいない。