■2004年10月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
中国でGMジャガイモ栽培か?

 カナダのバイテク企業ペン・バイオテク社が、来年、中国にGMジャガイモの種イモ590トンを輸出する契約を結んだ、と発表した。この種イモは、韓国のバイオサイエンス・バイオテクノロジー研究所が開発したもので、通常の品種が32週で収穫されるのに比べて、24週で収穫できる、と述べている。 〔Pacific Business 2004/8/10〕

中国が1〜2年でGM稲栽培か?

 中国の農業政策に詳しい米カリフォルニア大学デービス校の農業経済学者スコット・ロゼルは、国際経済研究所主催の会合で、中国がGM稲の栽培試験を開始してすでに5年が経っており、1〜2年で商業栽培を始めるだろうとの見通しを発表した。他方、IRRI(国際稲研究所)所長は、今年は中国以外にインド、フィリピンでもGM稲の栽培試験が行われており、3〜5年でそれらの国々で商業栽培が開始されるだろう、という見通しを述べている。もし中国でGM稲が栽培されると、GM作物の世界的暴走が始まるかもしれない、とロイターは伝えている。〔ロイター 2004/8/3〕

ISAAAがインドに進出

 8月1日、GM作物推進の情報センターとしての役割を担っている国際アグリバイオ事業団(ISAAA)が、国際半乾燥熱帯地域作物研究センター(International Crops Research Institute for the Semi-Arid Tropics=ICRISAT)と共同で、インドに情報センターを設置した。8月10日からインドで「第二の緑の革命」をテーマに農業バイオテクノロジー国際会議が開かれるのに合わせたもの。これまで同事業団のアジア・センターはフィリピンのIRRIに置かれていたが、新たにインドをGM作物栽培の拠点に据えていく戦略のようだ。 〔Indian Express Newspapers 2004/8/2〕

タイ、GM作物禁止解除か?継続か?

 8月21日、タイのタクシン・シナワット首相は、首相が諮問したバイオテクノロジー政策委員会の決定を受けて2001年以来つづいてきたGM作物の栽培禁止措置を解除すると述べた。この発言に対してタイの市民団体は「近日中に発効するタイと米国の自由貿易協定(FTA)に関連して、米国圧力に屈したものである」と批判した。
 その1週間後にタイ内閣は、禁止措置の継続を決定し、首相の発言を覆した。同時に内閣は、GM作物の賛否を聞く専門家パネルを設置することを決定した。〔IPS 2004/8/23,ロイター 8/31〕

●オセアニア事情
豪州・州政府がGM綿(栽培計画)を中止に

 西オーストラリア州政府は、西部農業インダストリー(WAI)が計画していた20万haにおよぶGM綿の栽培計画を中止にさせた。WAIは、5年間にわたってGM綿の商業栽培化に取り組んできたが、環境保護団体などの強い反対に直面してきた。最終的に州は、環境保護を優先する決定を下した。 〔northweatwa 2004/8/12〕


●欧州事情
EU・GM種子混入率設定、合意困難か?

 EUの行政組織である欧州委員会で検討されている、非GM種子中のGM種子混入をどの程度まで容認するかをめぐる議論の行方は混沌としてきた。9月8日の最終検討会で、0.3〜0.5%で決着を図ろうとしているものの、反対意見が強く、合意するのは困難とする見方が大勢を占めている。 〔ロイター 2004/8/13〕


●北米事情
米国のGMトウモロコシ栽培面積縮小

 米国内でのGMトウモロコシの栽培面積が、前年より減少していることがわかった。米農務省は3月に、全トウモロコシ畑におけるGMトウモロコシの割合を46%と推定、6月には45%と下方修正していたものの、昨年の栽培面積が40%であることから、増加していると予測していた。このたび米国コーン生産者協会の依頼を受けてロビンソン&ムンスター社が全国調査を行ったところ、34.4%であることがわかった。かつてスターリンク事件でGMトウモロコシの栽培面積が縮小したことはあるが、今回なぜ縮小したのか、明確な理由は明らかになっていない。 〔Agriculture online news 2004/8/17〕

GM小麦開発、カナダでなおも継続

 モンサント社は5月10日にGM小麦開発中止を発表し、6月21日には米国以外のすべての国で栽培や食品の申請を取り下げた。しかし、カナダではその後も国内16カ所で除草剤耐性小麦の試験栽培が継続されていることが明らかになった。これはカナダ政府食品検査局が確認したものだが、試験栽培場所は公表されていない。 〔Canadian Press 2004/8/17〕

ハワイでGM栽培地の公開命じる判決

 ホノルル地裁は8月4日、米農務省に対して、ハワイで行われている医薬品生産用GM作物の試験栽培地の公開を命ずる判決を下した。現在ハワイで医薬品生産用GM作物の栽培試験が許可されている企業は、モンサント社、ハワイ農業研究センター、プロディジーン社、ガースト・シード社である。 〔Environmental News Service 2004/8/6〕

●中南米事情
コロンビアでGM麻薬開発

 コロンビア政府は、麻薬組織が1億5000万ドル(約165億円)を投じてGM麻薬(コカ)を開発した、と発表した。通常の2倍の高さに育ち、葉も肉厚で、生育期間も短縮できるという。 〔時事 2004/8/25〕

GM大豆畑が拡大するブラジル

 ブラジルでは昨年、GM大豆の栽培が解禁され、同国農務省の推定では300万haの畑で栽培されたとしていたが、ブラジル種子協会(Abrasem)は600万haと推定した。差は、アルゼンチンからGM種子を非合法で購入して栽培している農家の栽培面積である。同協会によると、今年のGM大豆の栽培面積は1200万haに達し、全大豆畑の56%に拡大すると予測している。ただし、この予測は国会でバイオ安全法が成立することを見込んでのものであり、現在のところこの法案成立の目途は立っていない。〔Correio do Povo 2004/7/26〕

アルゼンチンでGMトウモロコシ畑拡大か

 アルゼンチン・トウモロコシ協会は、2010年までにトウモロコシの国内需要が、現在の3倍の1500万トンに増大するという見込みを発表した。国内産トウモロコシの70%が輸出されている現状を考えると、3000万トンに増産する必要がある。急増する生産量に合わせて、GMトウモロコシも数年のうちに10%(30万ha)程度まで増えると予測している。 〔農水省海外農業情報2004/8/1〕