■2005年11月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
GMアルファルファ、飼料としても承認

 9月21日、GMアルファルファの安全性を検討していた遺伝子組換え食品等専門調査会は、飼料として安全であるとする審議結果をまとめ、本委員会に提出した。検討されていたのは、モンサント社が飼料用として開発した除草剤耐性アルファルファJ101とJ163系統で、これらは今年3月31日付で食品として安全であるとする審議結果がすでにまとめられている。この2系統を掛け合わせた後代交配種に関しても4月28日、食品として承認されたが、飼料に関しての安全確認はまだ出ていない。
 そもそも飼料用アルファルファに対して、食品としての認可を先行させたのは、食品への混入を回避させるためで、これによって米国で栽培される可能性が出てきた。
 今回の審議に提出された試験結果では、農薬が残留基準値を大きく上回っていたことから、リスク管理機関に対して異例の注意があった。

中国、殺虫性・高収量ワタを承認

 中国政府は、中国農業科学院のGuo Sandu率いる研究チームが開発したGMワタYinmian2を承認した。このGMワタは、3つの系統の殺虫性ワタの雑種で、害虫に対して効果があるだけでなく、25%程度の収量増をもたらすとしている。これまでの殺虫性ワタの実績から判断して、実際に効果があるか否かは栽培してみないとわからない。 〔China Daily 2005/9/19〕

中国でGMイネ承認か

 11月に開催予定の中国政府の国家バイオセーフティ委員会でGMイネが承認される可能性が強まっている。審議されるのは3つのBtイネと、Xa21イネ。Btイネに関しては、すでに違法栽培が発覚している。中国政府のこれまでのGM推進政策から見て、承認されれば栽培される
ことは確実で、日本にも流入する可能性が強まる。しかし、同日付ロイターでは、この報道は推測にすぎないと、否定している。 〔China Daily 2005/9/29〕

上越のGMイネ収穫される

 10月3日、新潟県上越市にある中央農業研究センター・北陸研究センターで野外試験栽培が行われていたGMイネが、異例ともいえる非公開で刈り取られた。第一次田植え分は、すでに8月1日に青刈りされており、今回は6月29日に田植えされた第二次のもので、耐病性の効果を見ることと、来年用の種もみの採種を目的としている。
 当日、新潟県の米と自然を守る会は、GMイネに関する情報開示などを求める公開質問状と2万4136人分の署名をセンターに提出した。質問状には、国に提出したGMイネの申請書にカラシナではなくコマツナの塩基配列が記載されていたことから、虚偽の記載であるため申請は無効ではないかとする質問も含まれている。

スギ花粉症イネ、人体実験へ

 9月14日、野外で栽培されていたスギ花粉症イネが収穫された。昨年、神奈川県平塚市にあるJAの圃場で栽培される予定であったが、周囲の生産者・消費者の反対で温室栽培に切り換えられたため、今年つくば市に新設された農業生物資源研究所の圃場で栽培されていた。収穫されたイネはサルを用いた実験で効果を確認した後、来年にも人間への実験が行われる予定である。〔読売新聞 2005/9/14 ほか〕

●遺伝子組み換え花卉
サントリーのGM青いバラ野外試験申請

 サントリー開発の遺伝子組み換え青いバラはこの間、横浜市で開かれたバイオ・ジャパンや、福岡市で開かれた「あいらんど花どんたく」などで展示されてきた。現在、野外での栽培試験を申請しているが、バラは挿し木で増やせるため、GM植物の野外での増殖が危惧される。


●欧州事情
フランスで拡大するGMトウモロコシ

 これまでほとんどGM作物が栽培されていなかったフランスで、今年Btトウモロコシ(MON810)が1000ha以上作付けされていたことが、フィガロ紙によって伝えられた。そのほとんどが、スペインとの国境近くで栽培されており、スペインから種子が流入し、作物もまたスペインに輸出される見込み。昨年のフランスのBtトウモロコシ栽培面積は17.5haであり、一挙に拡大したことになる。しかし、フランス・トウモロコシ生産者協会(AGPM)は、この報道を否定し、500haであると述べ、農務省もまた500haとしている。フランスでは、ドイツなどのように共存法が制定されていないため、栽培に対する規制はない。 〔le Figaro 2005/9/6〕


●南米事情
ブラジルパラナグア港、GM大豆出荷禁止継続

 ブラジル・パラナ州のパラナグア港では、ひきつづきGM大豆出荷禁止を継続することになった。
 同州は、2003年10月にGM作物の栽培・輸入・加工・販売などを禁止し、国内最大の大豆輸出港であるパラナグア港からGM作物を輸出することを禁止する条例を成立させた。この条例は2006年12月末日まで有効である。
 ブラジル最高裁が今年4月、この禁止条例を憲法違反であるとする裁定を下したが、州裁判所は「同港にはGMと非GMを分別する手段がない」という港側の主張を認め、GM出荷義務命令を覆し、GM作物輸出禁止は継続されることになった。 〔アメリカ大豆協会 2005/9/19〕