■2005年11月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●自治体動向
つくば市でGM栽培規制検討会スタート

 9月26日、つくば市で「遺伝子組み換え栽培方針検討会」が初めて開催された。昨年GM作物栽培規制に関する請願が議会で採択され、6月に補正予算を計上してスタートした。市の農業課では風評被害を食い止めることを検討会の主目的にしており、罰則をつける条例制定には否定的で、指針が限界とする見解を示している。

JA千葉がGM作物の交雑・混入防止を県に求める

 9月21日、千葉県農業協同組合中央会は、現在千葉県が検討している食品安全条例(仮称)の中に、GM作物の交雑・混入防止の項目を組み込むことを求めた。JAがこのような形でGM作物に関する意見を発表するのは異例のことである。

島根県が食用GM 作物の研究を凍結

 島根県は、10月4日に開かれた県議会農水商工委員会で食用GM作物の研究を凍結することを明らかにした。根拠としては、県が昨年から今年にかけて県民600人を対象に行ったアンケート調査の結果、安全性に不安をもつ人が多かったのに加えて、有識者からの意見も踏まえた。同県ではGMメロンを開発してきたが、農家・消費者の強い反対で研究は中止になっていた。今後、すべての食用GM作物の研究は行わないが、ボタンなどの花卉に関しては開発をつづけるとしている。〔山陰中央新報 2005/10/05〕

徳島県がGM作物栽培規制指針制定へ

 徳島県は10月3日、GM作物栽培規制指針を本年度中につくることを明らかにした。県議会経済委員会の席上県民ネット・豊岡和美議員の質問に対して大沼亮・県食料安全推進室長が答弁して明らかになった。交雑・混入の懸念が強まっている、というのがその理由である。
●省庁動向
植物遺伝資源条約締結に動く

 農水省は、これまで消極的だった植物遺伝資源条約の締結に向けて動き始め、初めて予算を計上した。この国際条約は2001年11月に発効し、農作物を含む植物遺伝資源の多様性を守り、その利用の効率化を図り、資源国にその利益を還元するなどが求められるものだが、米国と日本は、知的所有権が主張できなくなるという見解から署名を拒んできた。 〔日経バイオテク 2005/9/12〕

農水省、GM作物推進へ大幅増額要求

 農水省は、スギ花粉症イネなど第2世代・第3世代のGM 作物開発支援のために設けられた「アグリバイオ実用化・産業化研究」予算の大幅増額を求めた。このプロジェクトは、主に農業生物資源研究所など独立行政法人の研究成果を実用化するためのもので、2005年からスタートしている。2006年度は前年の2.8倍、28億円を概算要求する。 〔日経バイオテク 2005/9/12〕

厚労省、ヒト胚議論始まる

 9月29日、研究目的でのヒト胚の作成・利用に向けた体制整備のための専門委員会を厚労省が立ち上げた。ヒト胚とは、受精卵が分裂を繰り返した状態で、各組織になる前の細胞群のことをいう。2004年7月に総合科学技術会議生命倫理専門調査会がまとめたヒト胚最終報告では、ヒト胚を生命の萌芽と尊重しつつも、研究目的での作成・利用を容認する方針を打ち出した。それを受けて厚労省は議論を開始した。これまでヒト胚の利用は、不妊治療とヒトES細胞研究に限って例外的に認められてきたが、それをすべての研究で利用できるようにするのが目的。今後、専門委員会は2ヵ月に1回程度開催され、来年夏ぐらいに指針がまとめられる。

●生殖技術
文科省、卵子提供有償化の是非を議論

 9月27日、人クローン胚の作成に向けた検討をしている文科省の作業部会が開かれ、北里大学医学部助教授齋藤有紀子、フィンレージの会会員鈴木良子、広島HARTクリニック院長、産婦人科医高橋克彦の3名を招いてのヒアリングが行われた。齋藤助教授は、性同一性障害の女性など卵子提供候補者に挙げられている人たちからの聞き取り調査の結果を報告し、鈴木会員は不妊治療当事者として卵子提供についての考えを話した。高橋院長は、研究を確実にすすめるには卵子提供を「有償にすべき」と主張した。しかし、これまで生命の商品化につながるため提供はすべて無償で行われており、有償に対する委員らの反応は鈍かった。


●カタルヘナ国内法
農水省、GMセイヨウナタネを新たに承認


 9月29日、生物多様性影響評価検討会総合検討会(環境省との共催)が開かれ、モンサント社申請の除草剤耐性セイヨウナタネ(RT73)を第一種使用として承認した。第一種使用とは、カルタヘナ法に定められた野生生物への影響なしという評価で、野外栽培を許可したもの。

表1 GM作物野外栽培承認(第1 種使用規定)一覧
生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物       性質     申請(開発者)   名称 認可日*
セイヨウナタネ  除草剤耐性  日本モンサント梶@ RT73 9月27日

*正式にはパブリックコメントの後に認可される。