■2006年4月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●自治体動向
今治市がGM作物栽培規制条例制定へ

 愛媛県今治市が、GM作物栽培規制条例づくりに向けて動き始めた。有機農業の推進と地場産作物の安全性を前面に掲げた内容で、6月市議会に提出される予定である。 〔毎日新聞愛媛版 2006/2/26〕

新潟県農総研が青いユリ開発へ

 新潟県農業総合研究所(長岡市)が、GM技術を用いた青いユリ開発へ動きだした。県が1500万円の予算を計上、2012年の実用化を目指している。もし青いユリが開発されれば、サントリーの青いカーネーション、青いバラに次ぐ、青い花の登場となる。新潟県は、かつて全国第1位のユリ生産地だったが、いまは埼玉県、高知県に次ぐ第3位に下がったことから、失地回復を図るのが狙いのようである。 〔毎日新聞新潟版 2006/2/28〕

●遺伝子組み換え作物
GM小麦の開発、再び動きだす

 2004年にモンサント社が開発中止を表明して以降、なりを潜めていたGM小麦の開発が再び始まった。今回はスイス・シンジェンタシード社の耐病性小麦で、フザリウム菌病に抵抗性をもたせたものである。全米小麦生産者連盟、米国小麦協会、小麦輸出貿易育成委員会が、このGM小麦の推進を共同で決議したことから、にわかに現実性をおびてきた。 〔ロイター 2006/2/6〕


●コーデックス
GM動物食品の安全性評価指針素案まとまる

 2月13〜15日、GM動物食品の安全性評価基準のたたき台をつくるため、コーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会の作業部会が開催された。オーストラリアが示した提案は、穀物など既存のGM植物食品の指針を基に、植物を動物に言葉を置き換えただけの内容だったが、それに参加者からの意見を加え、素案がまとめられた。この素案を各国に送付し、コメントを求め、11月に開かれる本会議での議論が始まる。


●北米事情
年輩者ほどGMトウモロコシを忌避

 米インディアナ州パデュー大学の研究者が、同州で2004年に200エーカー以上の農地にトウモロコシを作付けした農家を調査した。GMトウモロコシを作付けした農家は21%(2004年)で、全米平均47%の半分以下であった。調査の結果、若い人ほどGMトウモロコシを作付けし、年齢が高くなると作付けしない傾向にあることがわかった。とくに48歳以上の農家のほとんどは作付けを行っていない。 〔Agriculture online 2006/2/20〕

米国政府が韓国のGMO規制政策に物言い

 米国通商部(USTR)は、有機農産物貿易協会(OTA)の後押しを受けて、韓国がとっている有機食品へのGMOゼロ混入規制を緩和させるため、韓国政府と話し合いをもった。OTAは、この政策が米国の有機農産物
や食品の輸出を妨げてきた、と主張している。韓国政府の回答は、しばらく政策の変更はないというものだった。 〔The Non-GMO Report〕

米政府が地方自治無視のGM作物推進法を準備

 米国政府は、州や郡でのGM作物栽培規制の動きが広がったことを受けて、地方政府の規制を無効にする強力な法案「HR4167」をつくり、下院への提出を準備している。国の権限を強化して地方の主権を制限し、国を挙げてGM 作物推進を図るのが狙いである。〔US newswire 2006/3/2〕

ハワイ州でGM作物栽培規制法を決議

 3月2日、米国ハワイ州の上院委員会が、GM作物栽培規制法を決議した。これはGM作物の開発が進行していると見られる地場産のタロイモとコーヒーについて5年間、試験栽培を含めて野外での栽培を禁止したもので、議論は本会議へ移った。 〔AP 2006/3/2〕

米大豆協会がEUの表示制度提訴を要求

 アメリカ大豆協会はジョハンズ米農務長官に会い、EUが施行しているGM食品表示制度やトレーサビリティが貿易障壁に当たるとして、WTOに提訴するよう求めた。EUのGM作物モラトリアム政策をめぐり、WTO紛争処理委員会が米国勝訴の中間報告を出したのを受けて、さらに追い討ちをかけるのが狙いのようである。農務長官は前向きに検討すると回答した。 〔World Grain news 2006/3/6〕

●カルタヘナ
生物多様性条約総会がターミネーター技術を容認か?

 3月20日からブラジルで開かれる、生物多様性条約の年次総会で、種子を自殺させるターミネーター技術の利用が、ケースバイケースで容認される可能性が出てきた。この技術は、飢餓を招きかねないなど批判にさらされ、棚上げされてきた。モンサント社は、アルゼンチンなどで特許権使用料を徴収できないことから、ロビー活動を展開して容認を迫っていた。 〔ガーディアン 2006/2/22〕


●WTO
WTO裁定中間報告を受け、バイオ企業が多額の請求も

 WTO紛争処理委員会の裁定が、米国勝訴の貿易促進優先となる見通しとなったことで、EUは、モンサント社など米国のバイオ企業から巨額の賠償を請求される可能性が出てきた。米バイオ産業団体のショーン・ダラフ理事会副代表は、EUの政策によって毎年3億ドルの農産物輸出が妨げられた、と述べている。〔ガーディアン 2006/2/9〕


●モンサント社
モンサント社、特許無視のアルゼンチンへ強硬策

 アルゼンチンで用いられるGM大豆種子の特許料を農家などが支払わないことから、モンサント社は強硬措置をとり始めた。
 アルゼンチンからヨーロッパへの大豆輸出を停止させるため、英国リバプール港での荷降ろしを停止させたり、スペインの輸入業者2社を訴えるなどしている。昨年には、アルゼンチンから大豆を輸入しているすべての業者に対して、1トン当たり15〜18.75ドルの特許料を徴収する旨を手紙でしたためた。
 アルゼンチン政府は特許料を支払わない自家採種を認めており、この強硬措置に対抗する訴訟を検討し始めた。 〔PLANET ARK 2006/2/8〕