■2006年9月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
インド最高裁がGM作物禁止を判断

 インドの最高裁は政府に対して、規制の枠組みができるまで、輸入・国内生産にかかわらずGM作物の導入を禁止するよう求めた。これはヴァンダナ・シヴァらが訴えていた裁判で出された。 〔The Hindu 2006/7/15〕

インドがGM作物を相次いで開発

 インド農業研究評議会(Indian Council of Agricultural Research)は、この間自主的に開発を進めてきた7つのGM 作物について、圃場試験結果を発表した。殺虫性(Bt) 綿・稲・ナス、ウイルス抵抗性トマト、栄養強化ジャガイモ、塩害・旱魃耐性トマト・マスタードで、今後、遺伝子操作承認委員会(GEAC)への申請・承認が焦点となる。 〔Hindu Business 2006/7/25〕

バングラデシュ農相、生物多様性保護の姿勢明確に

 バンクラデシュのアンウォー農業大臣は、7月26日、遺伝資源と生物多様性保護の大切さについて語り、植物多様性保護法と、生物多様性と地域の知識を保護する法律を制定する予定だと述べた。これらの法律は1998年に原案がつくられながら、いまだに成立を見ていない。同国ではイネ開発研究所によって開発されたゴールデンライス(β−カロチン増量イネ)の試験栽培が、現在屋内で進められている。 〔New Age 2006/7/28〕


●欧州事情
英国が3つの農業の共存法案を発表

 7月21日、英国の環境食料農業省(Departmentfor Environment Food and Rural Affairs)は、3つの農業(GM農業、慣行農業、有機農業)の共存法案を提出し、その中でGM作物による交雑・混入防止の条件を示した。 それによると隔離距離がナタネは35m、飼料用トウモロコシは80m、食用トウモロコシが110m と極めて短い(北海道の条例ではナタネ:1200m、トウモロコシ:1200m)。また、汚染によって経済的損失を引き起こした際の補償問題を課題としているが、具体的な中身はこれから詰めていくことになる。〔DEFRA News 2006/7/21〕

欧州の食品関連業者、熱帯雨林伐採の大豆不買へ

 ブラジル・アマゾン地域で熱帯雨林を伐採した違法栽培が拡大している事態を受けて、ヨーロッパの主な食品流通・加工・販売企業が、そのような地域で栽培された大豆を扱わない取り決めに合意した。この取り決めを進めたのは環境保護団体・グリーンピースで、違法栽培の大半はGM大豆である。 〔ガーディアン 2006/7/24〕

フランスでまたもGM作物栽培試験認可取り消し

 7月25日、フランス・ストラスブール行政裁判所は、モンサント社のGMトウモロコシ試験栽培の認可を取り消す決定を下した。この裁判はフランス農民同盟が起こしたもので、同国ではいまだGM作物規制法が整備されていないことが、取り消しの大きな要因となった。同様の判決は他の裁判所でも出されている。 〔Le Monde 2006/7/26〕

ロシア、GMOの情報公開政策変更せず

 ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、G8サミットを前に開かれた市民フォーラムにメッセージを寄せた。その中で、WTO加盟交渉でぶつかっている壁の1つが、いくつかの国によってGMOに関して情報公開などの市民の権利放棄を求めていることだ、と述べた。明言は避けたものの、米国などの手法を批判しつつ、それらの権利について放棄するつもりはないと加えた。 〔G8 Civil Societysummit 2006/7/6〕

●北米事情
モンサント告発、百万人署名運動始まる

 米国有機消費者協会は、モンサント社が世界規模で展開している企業テロリズムを終焉させるため、多数の消費者をまきこむ「モンサント告発・百万人署名運動」をスタートさせた。これは同社が、家族経営農家への脅迫のみならず、消費者に知らせようと牛成長ホルモン剤の不使用を明記した乳製品会社を訴えるなど、GMO表示をさせないように仕組んできた販売戦略、政府の支援を得てそれを展開している点を批判したものである。 〔GM Watch 2006/7/28〕
●アフリカ事情
南アフリカ、ゲイツ財団支援のGMO研究を却下

 7月12日、南アフリカ科学産業研究評議会(Council for Scientific and Industrial Research)は、栄養強化ソルガムの実験室内試験の申請を却下した。このGMソルガムは、ケニアのフローレンス・フムブグらの研究チームが開発したもので、マイクロソフト社総帥ビル・ゲイツ率いるビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が5年間1860万ドルもの支援をしている。却下の理由は、野生種に遺伝子
汚染する危険性があること、だった。 〔SviDev 2006/7/20〕