■2007年1月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●除草剤耐性作物が健康被害を拡大


 アルゼンチンでは除草剤耐性植物が広がり、それにともない除草剤の使用量が増大し、健康被害が深刻化し始めている。現在同国では、除草剤耐性大豆を中心にGM作物が栽培されている。とくに多いのがモンサント社の除草剤耐性大豆で、1550万ha栽培され、使用される除草剤は1.6億リットルに達している。これはGM作物の栽培が行われていなかった10年前に比べると6倍にもなる。
 この農薬が居住地近くで撒かれるため、人々の間で健康被害が広がった。2002年、コルドバ州の人口5000人の町イトゥザインゴ・アネクソでは白血病や皮膚の潰瘍、内出血や遺伝障害などを発症する人が急激に増加した。「イトゥザインゴの母親たち」の依頼で科学者が行った調査結果を受けて、自治体当局は住民に避難勧告を出したが、しかし住民はその地にとどまらざるを得なかった。生物多様性研究センターなどが2006年1月にサンタフェ州で行った調査によると、州の多くの町では全国平均の10倍以上の肝臓がん、3倍に達する胃がん、精巣がんが見つかっている。  
〔IPS Japan 2006/11/17〕

 アルゼンチンでは、2006年1月から、農薬散布に反対して「ストップ・ザ・フューミゲイション(燻蒸消毒)」キャンペーンが始まった。
 現在、隣国ブラジルでも除草剤の使用量は急増している。ブラジルの環境問題研究所「Ibama」は、2000年から2004年の間、大豆の栽培面積が71%増加するのにともない、除草剤グリホサート(ラウンドアップ)の消費量が95%増えたと発表した。とくに除草剤耐性大豆栽培が集中しているリオグランデ・ド・スール州では、除草剤耐性大豆の占める割合が38%に達した結果、グリホサートの消費量が162%増え、除草剤全体も980万トンから2020万トンに増えたと述べている。アルゼンチンで起きている健康被害がブラジル、ひいては南米全体に広がる可能性がある。〔Valor Economico 2006/11/17〕