■2007年1月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●未承認GMイネ違法流通
●米国が違法流通GMイネLLライス601を承認

 11月24日、米国農務省動植物検疫局(APHIS)は、未承認にもかかわらず世界中を流通して問題となったGMイネLLライス601を承認した。すでに米国食品医薬品局(FDA)も「安全上問題ない」という見解を発表しており、これによって米国では承認作物として扱われることになる。8月の違法流通発覚後、3か月あまりの実に素早い対応である。しかし、米国以外では依然として承認されておらず、輸出された際に違法状態となることに変わりない。 〔USDA 2006/11/24〕

●バイエル社が「違法流通は神の行為」

 LLライス601違法流通問題を引き起こしたバイエル・クロップサイエンス社が、相次いで起こされた訴訟に対するコメントを発表した。違法流通によって日本や欧州などで米国産米の輸入を制限したため価格が暴落、大きなダメージを受けた農家によって15件の訴訟が起きている。コメントでは、混入の原因について「だれも防ぐことができなかったやむにやまれぬ事情があり、これは神の行為であり、農家の怠慢、不注意である」と述べている。 〔ワシントン・ポスト 2006/11/22〕

●米国がコーデックスに未承認関連で緊急動議

 11月27日、日本で開催されたコーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会で、米国政府が突然動議を提出、LLライス601などの未承認GM作物違法流通を解決するために、「未承認のGM食品が微量に混入した食品の安全性評価」にかかわる議題を提案した。動議は採用され、指針づくりが進められることになった。  この未承認GM作物微量混入については、昨年の同特別部会で議題にしないことが決まっていたにもかかわらず、米国政府の強い要請によって復活した。そこにはLLライス601の違法流通が大きく影響したと見られる。  今後作業部会で議論のたたき台が検討される。2007年2〜3月の第1回目の作業部会が米国で、第2回目の作業部会がタイかEUで開催され、日本で9月下旬に開催される次回の特別部会に提出される。

●タイとベトナムの稲作農家が非GM宣言

 世界のコメ輸出量の半分を生産する、タイとベトナムの稲作農家が、遺伝子組み換えイネを栽培しないとする共同声明を発表した。これはLLライス601の違法流通によって米国産米が大きなダメージを受けたことから、米国と競合するEU市場をにらんだものと思われる。〔Bangkokpost 2006/11/28〕
●欧州事情
●ハンガリーがGM作物栽培規制法を採択

 11月27日、ハンガリー議会はGM作物の栽培を厳しく規制する共存法案を可決成立させた。これによって同国でGM作物を栽培する場合、隔離距離400mの緩衝地帯を設け、その緩衝地帯内のすべての農家の同意を得なければならない。今後、GM作物推進策をとる欧州委員会と同国の間で軋轢が強まると見られる。〔BBC News 2006/11/28〕

●EUがカナダ産ナタネの禁輸を継続

 WTO紛争処理委員会の裁定が出された後も、EUはカナダ産ナタネの禁輸を継続している。これに対してカナダ・ナタネ協議会、バイエル・クロップサイエンス社、モンサント社がEUへの攻勢を強めているが、政策変更の気配は見られない。現在EUに輸入されるカナダ産ナタネは、アラブ首長国連邦やトルコなどで油として加工されたものに限定されている。 〔Agbios 2006/11/28〕
●南米事情
●ボリビアがGM作物排除、有機農業立国宣言

 南米ではGM作物を栽培する国が広がり、ボリビアを囲むブラジル・アルゼンチン・パラグアイではGM大豆を中心にGM作物の栽培が拡大している。これに対抗してボリビア政府は、GM作物を排除し、有機農業のオアシスを目指すことを明らかにした。 〔BBC 2006/11/13〕

●ブラジル、先住民居住地域でGM作物栽培禁止

 ブラジル政府は、熱帯雨林を破壊したGM大豆栽培が広がっていることから、先住民居住地域に影響が及ばないように、同地域でのGM作物の栽培を禁止した。また、同地域との間に緩衝地帯を設けることも決めた。〔GM Watch 2006/11/13〕
●アフリカ事情
●ブルキナファソがGM綿導入へ

 アフリカ最大の綿花生産国ブルキナファソが、2007年にGM綿の栽培を開始することになった。同国政府は、モンサント社、シンジェンタ社、米国政府の強い圧力の下、規制措置をとらないまま2003年から試験栽培を行ってきた。同国の市民団体は「ブルキナファソにはGM綿を導入する以前に、持続可能な農業など取り組まなければならない課題が多い」という声明を発表した。〔GM Weekly Watch 2006/12/01〕