■2007年6月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●米国の穀物輸出業者がGMトウモロコシ作付けに懸念

 スイス・シンジェンタ社が、米国では承認されているが他の国では未承認のGMトウモロコシを米国の農家に売り込んでいることに対して、トウモロコシ輸出業者が強い懸念を表明した。このGMトウモロコシは「Agrisure RW」という根切り虫耐性のBtトウモロコシである。もし交雑・混入すれば、市場を失うというのがその理由である。 〔ロイター 2007/4/25〕  またミネソタ州政府は、同州の規則に従っていないとして、このトウモロコシ種子の販売中止を求めることを決め、その旨を農家に伝えた。シンジェンタ社は同州農務省に対して、州内99の種子販売店を通じ、7480 ユニットの種子を販売したことを報告した。〔West Central Tribune 2007/4/21〕

●GMアルファルファの栽培、全米で禁止へ

 米カリフォルニア州サンフランシスコにある連邦地裁は、除草剤耐性アルファルファについて、3月に一時的な栽培差止め命令を出したが(前号参照)、5月3日、改めて正式な米国全土での栽培差止め命令を出した。GMアルファルファと慣行農業や有機農業の作物間で交雑・混入が起きる可能性について、事前に科学的な評価を行っていないというのが、その理由である。GMアルファルファは全米で22万エーカー(約9万ha)作付けされた(アルファルファは全米で2100万エーカー作付けしている)。〔Associated Press 2007/5/3〕

●マサチューセッツ州の町が続々とGMO規制求める決議

 米国マサチューセッツ州で多くの町がGM作物規制条例を求める決議を上げている。この間、ベケット、グレート・バーリントン、サボイ町が、州政府と連邦政府に対して、GM種子の使用中止とGM食品表示制度の制定、バイテク企業から特許権侵害で訴えられないよう農民を守ることを求めた。すでにウィンザー、サンディスフィールド、ウィリアムズタウンなど21の町が同様の決議を上げており、さらに9つの町が今年中に決議を行う予定である。
●アジア事情
●韓国政府、米国との取り引きでGM作物自由化へ

 4月3日に米国と韓国間でFTA(自由貿易協定)締結を合意したが、それまでの協議過程で自由化品目の中にGM作物を含める取り引きが行われていたことが明らかになった。これはハンギョレ新聞が入手した政府の公式文書で明らかになったもので、韓国政府は繊維市場の自由化とのトレードオフでGM作物の自由化を認めた。この取り引きについて、協議の間ずっと隠されていたと同紙は批判している。 〔ハンギョレ新聞 2007/4/9〕

●マレーシアのGM食品表示制度に米国が圧力

 マレーシア政府が導入を目指しているGM食品表示制度が、米国政府の圧力で骨抜きにされようとしている。これは、いま進行中の米国・マレーシア間のFTA(自由貿易協定)交渉で、米国政府が、マレーシア政府の「GM作物の安全確保に関する法律」案の中の表示義務を求める「61条項」の削除を求めているからである。〔The Star,Malaysia 2007/4/24〕

●フィリピン西ネグロス州政府がGM生物規制条例制定

 フィリピンの西ネグロス州(バコロド)政府の審議会で4月25日、GM作物や動物の導入を禁止する画期的な条例が可決・成立した。この州条例「GMO規制法」は、農業委員会議長アドルフ・マンガオが提起したもので、違反者には罰則を課す。「条例の成立によって、ネグロス島がアジアにおける有機農業の先導役になるでしょう」とネグロス島持続可能な農業と地域の発展のための財団のパトリック・ベリサリオは述べている。  条例によってフィリピンでは、GMOフリーゾーン宣言をしたボホール島につづきネグロス島という大きな島全体がGMOフリーゾーンになる可能性が強まった。というのは、上記に加えて2005年8月24日、西ネグロス州知事と東ネグロス州知事の間で2010年までに島全体の農業の10%を有機農業にする協定が結ばれているからである。 〔The Visayan Daily Star 2007/4/27〕
●遺伝子組み換え動物
●光るGM淡水魚が違法販売

 GM技術によって光らせた淡水魚のゼブラダニオが輸入され、ペットショップで販売されていることがわかった。環境省は4月24日、販売を禁止し回収を指示した。このGM魚は、サンゴから採取した赤色蛍光タンパク遺伝子を導入したもので、約350匹が輸入され、約100匹が販売されていた。以前にも光るメダカが輸入・販売されたことがあり、ペット用GM魚の違法輸入が繰り返し起きている。 〔産経新聞 2007/4/25〕

●台湾の動物愛護団体がGMブタに抗議

 台湾の動物愛護団体は4月30日、国立台湾大学の研究チームが開発した、サンゴの遺伝子を導入してピンク色に光らせたブタを2頭誕生させたことに対して、非常識で、意味のないことを行った、と抗議した。同大学では以前、クラゲの遺伝子を導入して緑色に光るブタを2頭誕生させている。 〔DPE (German Press Agency) 2007/4/30〕