■2007年7月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情

●欧州議会がGM魚輸入禁止を求める

 欧州議会は、EUの行政組織である欧州委員会に対して、GM魚の輸入を禁止し、EU市民の食卓に登場しないよう求めた。もしGM魚が環境中に逃げ出すような事態が起きると、海洋生態系や魚の生殖に介入が起き、破壊される危険性があるというのがその理由である。 〔European Parliament 2007/5/22〕

●米国がEUへGM解禁の圧力を継続

 環境保護団体FoEが最近入手した公的文書によると、米国がGM作物を売り込むためにEUに対して圧力をかけつづけていることが判明した。WTOによる最新の答申で、EUがGM作物に対して自らを防御する権利を認めたにもかかわらず、状況に変化はない。しかも米国政府は、消費者の反発を抑えるために「GMO」という用語を使うべきではないと主張しているという。 〔FoE プレスリリース 2007/5/30〕

●キプロス議会がGM作物由来のバイオ燃料を拒否

 キプロス議会は、GM作物が用いられているバイオ燃料は使用しないことを決めた。パパドプロス大統領がバイオ燃料利用の際、GM作物由来でもよいとする方針を示したのに対して、議会が拒否を示した。〔Cyprus Mail 2007/5/22〕

●EU農相理事会、有機へのGM作物混入率0.9%を採択

 EU農相理事会は6月11日、欧州委員会が提出していた、有機農産物へのGM作物混入率を0.9%まで許容する提案を賛成多数で可決した。これまで有機農業団体や環境保護団体、消費者団体は、検出限界に当たる混入率0.1%を求めてきた。今年3月29日には、欧州議会が0.9%の提案を否決したばかりである(本誌2007年5月号)。結局、米国の意向に配慮した欧州委員会の提案が、強引に通った。 〔Council of The Europeanunion 2007/6/12〕
●アジア事情

●マレーシア首相がバイオセーフティの重要性を強調

 マレーシアのバタウィ首相は、バイオテクノロジーの発達に比して、バイオセーフティやバイオセキュリティの確立に向けた動きが乏しいとして、アジアの現状への懸念を表明した。首相は、バイオセーフティは取り扱う企業等が安全手続きを守り、食品への混入を防ぐなどの予防的措置が求められる、と述べた。〔The New Staits Times 2007/5/22〕

●中国の消費者もGM食品を拒否

 環境保護団体グリーンピースが中国の3つの都市、北京・上海・広州の消費者を対象にアンケート調査を行い、その結果を発表した。それによると65%の人が「GM食品を選ばない」と答え、77%の人が「GM米を買わない」と答えた。またGM食品について「よく知っている」と答えた人は11%で、59%の人が「聞いたことがある」と答えた。中国ではGM食品について、情報がようやく伝わり始めたばかりといえそうだ。この調査結果は、中国のGMイネの動向に大きく影響しそうだ、とグリーンピース中国の担当者は述べている。 〔ロイター 2007/6/7〕

●マレーシア議会、GM食品表示制度可決へ

 マレーシア政府が導入しようとしているGM食品表示制度が、米国政府やバイテク企業の圧力で危機に瀕していると伝えた(2007年6月号)。ペナン消費者協会などの報告によれば、同国議会がこの圧力に屈することなく、GM食品表示の義務化を含む「GM作物の安全確保に関する法律」案をまもなく可決する見通しとなった。〔The Straits Times, Malaysia 2007/5/30〕
●アフリカ事情

●ガーナへのGM食品の売込み加速

 ガーナの国会議員が入手した情報によると、同国がGM食品を受け入れるように、関係者を教育したり説得するためのワークショップが国際組織の手によって始まろうとしている。同国食品医薬品委員会は、もしGM食品が市場に出回るようなことになると、規制や承認にかかわる法案が議会に提出されるだろう、と述べている。〔The Statesman Ghana 2007/5/9〕

●ブルキナファソがGM綿の栽培を延期

 西アフリカのブルキナファソは今年、GM綿を栽培する予定だったが、2009年まで延期することになった。同国政府筋によると、GM綿導入をめぐる論争で、GM、非GM間の競争が必要だとする結論に達したからだという。導入を図ってきた繊維メーカーによると、来年いっぱいかけて十分な種子を確保し、2009年から大規模に栽培したいとしている。 〔yahoo News Canada 2007/5/24〕

●GM作物栽培拡大のアフリカ南部に検査機関存在せず

 アフリカ南部諸国でGM作物の栽培が拡大しつつあるが、それらの国々にはGM作物を検出する技術がほとんどないことがわかった。ジンバブエの研究機関Biotechnology Trust of Zimbabweが、ザンビア、ナミビア、スワジランドの研究機関と共同で行った調査で明らかになったもので、これらの国々は、GM作物栽培の疑いがある地域である。 〔The Herald 2007/5/21〕