■2008年3月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●市民がGMテンサイ解禁の米農務省を提訴

 1月23日、米国の市民グループが、農務省がモンサント社のGMテンサイを解禁したことについて裁判を起こすと発表した。市民グループは、食品安全センター、シエラクラブ、2つの有機農業グループで、GMテンサイは環境影響評価が正しく行われておらず、栽培されると環境への影響が懸念される、と指摘している。〔ロイター 2008/1/23〕

●全米大豆協会とカナダ政府がGM作物を受け入れるようEUに警告

 約22,000の大豆生産者を組織している全米大豆協会が、EUがGM作物の承認を早めないならば「大規模な報復を準備している」と恫喝した。同協会は、今後10年で20種類の新しいGM大豆が登場するだろうと述べ、GM作物の受け入れが進まないEUに対して警告を発したもの。カナダ政府もまた、EUに対して、GMナタネ油の輸入を促進するよう圧力をかけたことが明らかになった。 〔Food Navigator 2008/1/28 など〕

●ハワイのGMタロイモをめぐり議会へ抗議行動

 ハワイ州議会は、GMタロイモに反対する数百の人々による抗議行動に囲まれ開会した。昨年、GMタロイモの栽培を10年間禁止する法案958が上院で可決された。しかし、下院では議長のカルヴァン・セイと農業委員会委員長のクリフ・ツジが審議を拒否、いったん廃案に追い込まれたことから、再び同法案が審議される議会へ抗議行動がなされた。 〔The Molokai Dispatch 2008/1/22〕
●欧州事情
●アイスランドでGM作物輸入に反対の声強まる

 このところアイスランドではGM作物の輸入に反対する市民の活動が活発になり、政府に規制強化を求める声が強まっている。その理由としては、GMO表示がないことに加えて、米国への食料依存度が高く、朝食用シリアルやベビーフードなどにもGM原材料の混入が多いことが上げられている。 〔Inter Press Service News Agency 2008/1/24〕

●欧州委員会法律顧問がポーランドのGMO禁止政策を批判

 欧州委員会の法律顧問は公式見解として、ポーランドが執っているGMO禁止政策は科学的正当性がないと批判した。それに先立ち、ポーランド農業大臣マレック・サビッキーは、新しく誕生した中道右派政権が、来年8月には法律を改正して、GM種子を解禁するだろうと述べた。 〔ロイター 2008/1/21〕

●スペインで科学者らがGM作物禁止を求める

 スペインの300人以上の科学者と環境保護グループが共同で、GM作物栽培禁止を求めた請願を政府に提出した。多数のスペインの大学や国立研究所(CSIC)の研究者が加わっており、GM作物が導入されると環境を汚染し、地球に危険をもたらすとして、GM作物をスペインから排除することを求めた。 〔Cordis News 2008/1/18〕
●アフリカ事情
●ウガンダでGM綿が試験栽培へ

 ウガンダの政府バイオセーフティ委員会(NBC)が、GM綿の試験栽培を承認した。昨年、同国カワンダの国立バイオテクノロジー・センターで、斑点病抵抗性GM バナナの栽培試験が始まったばかりであり、GM綿は、同国が試験栽培を承認した2 番目の作物に当たる。〔The New Vision,Uganda 2008/1/22〕
●オセアニア事情
●西オーストラリア州でGM小麦の開発がスタート

 西オーストラリア州の州都パースにあるバイテク企業NewGenix Pty 社は、マードック・ウェストスキーム・エンタープライズ・パートナーシップ基金から50万ドルの資金を得て、大学と共同で、旱魃などの環境ストレス耐性小麦開発に取り組むことになった。〔Western Australian Business News 2008/2/1〕

●南オーストラリア州がGM作物栽培禁止継続を表明

 南オーストラリア州のマイク・ラン首相は、GM作物栽培禁止政策を2年間継続すると表明した。その中で「GMOフリー政策の継続は、我が州の環境保護イメージをアップすることになる」と述べている。昨年11月オーストラリアでは、ニューサウスウェールズ州とヴィクトリア州がGM作物栽培禁止政策を解除すると表明した。その2州と共同歩調を取ってきた南オーストラリア州も解除に向けて動きだすと見られていた。しかし、ここにきて方針を変更した理由としては、日本の消費者の意向が大きく影響したものと思われる。同州農業大臣のロリー・マキューエンは、「他の州で起きる事態をモニターする」と述べている。 〔The Age 2008/2/8〕