■2008年4月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース


●クローン家畜
●米国でクローン家畜の子孫、食品として出回る

 米国カンザス州の牧畜業者が、クローン家畜の子孫が食品となって出回っていると述べた。この牧畜業者は獣医でもあり、クローン家畜から採取した精子をここ数年、米国内の食肉生産者に販売したことを明らかにした。今年1月、米FDAがクローン家畜食品を安全とする報告書を発表した。現在はまだ販売は認められていないが、子孫については規制がない。〔Organic & Non-GMO Report 2008/2〕
●GM食品
●GMウシ成長ホルモン剤「不使用」表示の復活

 米国ペンシルベニア州の農務省が、乳製品への「遺伝子組み換えウシ成長ホルモン剤(rBGH)不使用」表示の使用禁止措置を撤回した。バイテク企業からの圧力で禁止に追い込まれたが、消費者団体や乳製品メーカーなどが撤回を求めていた。しかし、「不使用」を表示した場合、「rBGHを使用した牛乳と不使用の牛乳に有為な差はない」と併記することが義務づけられた。
 一方、不使用表示の使用禁止を検討していたオハイオ州もまた、これを見送ると発表し、同様の併記を義務づけた。 〔Columbus Dispatch 2008/2/7ほか〕
●欧州事情
●英国政府がGM栽培試験地非公開化を検討

 英国政府は、GM作物の栽培試験が妨害されているとして、栽培地の情報を隠すことを検討し始めた。現在、GM作物の栽培試験地は、政府のウェブサイト上に公開することが義務づけられている。バイテク企業がこの公開を求めた法律の見直しを求めたもので、環境・食品・地方省が検討を開始した。 〔The Guardian 2008/2/16

●EU、中国の米加工食品にGMOフリー規制

 欧州委員会は、EU加盟国で販売された中国製の米加工食品から、中国内で非合法に栽培された殺虫性イネ「Bt63」が相次いで検出されていることから、規制に乗りだす。今年4月15日より、中国から輸入される米および米加工食品に関して、「Bt63」が混入されていないと立証されたもののみ輸入が認められる。〔European Commission 2008/2/13〕

●欧州農相理事会が5種類のGM作物承認見送り

 2月18日、欧州農相理事会は、モンサント社とシンジェンタ社の4種類の殺虫性トウモロコシと独BASF社の高デンプンジャガイモ計5種類のGM作物について承認を見送り、欧州委員会に差し戻した。GMジャガイモに関しては、賛成が9カ国、反対が15カ国、棄権が3カ国と、昨年7月の審議の段階よりも反対票が増えた。〔ロイター 2008/2/18〕

●スイス大学がGM小麦の試験栽培開始

 スイス大学の研究チームが、今春、GM小麦の栽培試験を始める。うどん粉病耐性の品種に近縁野生種を掛け合わせたもので、抗生物質耐性遺伝子を含まないなど、栽培の要件を満たしたことから政府が認可した。〔Checkbiotech 2008/2/12〕
●アジア事情
●インドの広範なGM作物試験栽培が貿易に影響

 インドでは、ジャガイモ、コメ、オクラ、トマト、ナス、アメリカホドイモなどの遺伝子組み換え作物を試験栽培しているが、交雑・混入の危険性が増幅しているとして、ロシア政府はインドの遺伝子工学承認委員会に対して、コメ、アメリカホドイモ、ゴマについて、GMO フリーの証明を求めた。今後、同様の要求が他の国からも出てくる可能性が強まっている。 〔The Times of India 2008/2/13〕
●北米事情
●Bt綿への耐性害虫増加明らかに

 米国では、殺虫性作物に使用される農薬への耐性をもった害虫の増加が問題になっている。すでに米国トウモロコシ生産者協会が懸念を表明していたが〔本誌2008 年1月号〕、その懸念が現実化していることがアリゾナ大学の昆虫学者によって、Bt綿で示された。同大学研究チームが、殺虫性作物Bt綿を食べると死ぬはずの昆虫に、耐性を獲得して死なないものが増えたとする研究報告を発表した。それによると、2003〜2006年の間に12カ所以上で耐性をもつワタキバガの幼虫が見つかっているという。バイオ燃料ブームをきっかけにBtトウモロコシの栽培が広がっているため、今後さらに耐性害虫の深刻化が予想される。 〔Tucson Citizen 2008/2/8〕

●加州議会がGM作物から農民を保護する法律を可決

 米国カリフォルニア州議会は、GM作物から農民を守る法律「AB541」を49対12の大差で可決した。同法は、カリフォルニア州の有機農家や家族経営農家などの要請により提案されたが、昨年4月いったんは農業委員会に留め置かれた。その後、いくつかの規制が後退した形で修正され、今回の可決となった。〔Californian Farmer 2008/2/8〕

●米国でスーパー雑草が深刻化

 米国で除草剤耐性雑草がはびこり、問題になっている。地域はヴァーニジア州南部とジョージア州南部で、雑草の種類はパーマー・アマランス。このスーパー雑草の拡大が旱魃と重なり、大豆生産にダメージをもたらした。「農業と農作物カナダ」の科学者が雑草から除草剤耐性遺伝子を検出している。かつてバイテク企業はスーパー雑草の存在を否定していたが、いまや深刻な影響が出始めるまでになった。 〔The Star Phoenix 2008/2/19〕