■2002年5月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る






































































































バイオジャーナル

ニュース


●BSE
BSE報告書、原因究明にふれず


 4月2日、BSE問題に関する調査検討委員会報告が発表された。農水省の責任を指摘しているが、追及の姿勢は及び腰である。肝心の原因究明について、一行もふれていない点は問題である。昨年12月26日に武部農相が、「原因究明などする必要はない」と北海道中標津町で発言し生産者の不信を増幅させたが、その点にもふれていない。そのためか、原因究明のためのトレーサビリティの確立などの提言も明記されていない。また肉骨粉に飼料を依存する、現在の畜産を問い直すこともなく、今後の畜産の在り方を提言できない、お粗末なものだ。

●遺伝子組み換え食品
GM大豆に新たな問題発覚

 3月26日の厚生労働省食品衛生部会で、モンサント社が開発しすでに日本での販売認可を受けている、除草剤耐性大豆とトウモロコシの新たな問題点が報告された。
 今回モンサント社が追加提出したデータによると、大豆には、導入した遺伝子の読み終わりの部分に欠陥があり、そのまま読み続けてしまうが、「長いタンパク質が見つからなかったから問題ない」としている。トウモロコシに関しては、認可時とは異なるアミノ酸の変化があり、さらに分析すると大豆同様に読み終わりの部分に欠陥があることが発見されたが、これも問題なしと結論している。名古屋大学の河田昌東は「初めに不完全なデータで認可をとり、新たな事実が出てきても大きな影響はないということですませようとする傾向が目立つ」と述べて批判している。申請企業の提出データだけで安全審査が行われてきた実態が浮き彫りにされたといえる。


GMジャガイモ表示をめぐる米への対応

 3月27日に開かれた厚生労働省の食品衛生分科会で、遺伝子組み換えジャガイモを用いた加工食品の表示義務が承認され、来年より施行されることになった。
 これに対して米国農務省は、同国で今年から遺伝子組み換えジャガイモの商業栽培がなくなるため、「表示要件は免除されるのか」と質問した。厚労省は、「商業栽培されていない国に関しては、分別生産流通管理の書類がなくても、遺伝子組み換え不分別という表示は必要ない」と答えている。
 昨年まで作付けされたGMジャガイモは、しばらく流通する可能性がある。栽培を中止すれば表示要件が免除されるというのは、消費者保護に反するものである。

英国でGM大豆無表示食品企業に罰金

 英国の食品会社イースト・エンド・フーズ社が、遺伝子組み換え大豆が50%以上混入している「ソヤ・ミンス」(大豆ミンチ)を表示せずに販売していた件で、ストラットフォード地方裁判所は、消費者の権利を侵害したとして、罰金4000ポンド、損害賠償金1万2000ポンドの支払いを命じた。

スターリンクなど継続審議に


  2月20日に開催された厚生労働省、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会で、日本モンサント社が申請していたトウモロコシ1品種と、ノボザイム・ジャパンが申請していた食品添加物、プルラナーゼとα-アミラーゼの2種類の酵素が認可され、店頭に並ぶことになった。これによって、現在認可されている遺伝子組み換え食品は、40品種、食品添加物は9種類となった(2002年2月号参照)。
 一昨年に混入事件を起こしたトウモロコシ「スターリンク」、昨年に混入事件を起こしたジャガイモ「ニューリーフY」、今年に入り未承認のまま埼玉県で販売されていた「パパイヤ」、こういった問題を起こした作物は、いずれも継続審議になっている。


拡大する遺伝子組み換え作物商業生産

  2001年の遺伝子組み換え作物作付け状況は2002年3月号で報告したが(ISAAA=国際アグリバイオ技術事業団発表)、国別および組み換えの性質別の詳細は以下の通り。

表1 世界の遺伝子組み換え作物の商業生産作付け面積   (単位は100万ha)
国名 1998 1999 2000 2001
米国 20.5 28.7 30.3 35.7
アルゼンチン 4.3 6.7 10.0 11.8
カナダ 2.8 4.0 3.0 3.2
中国 <0.1 0.3 0.5 1.5
オーストラリア 0.1 0.1 0.15 0.21
南アフリカ <0.1 0.1 0.2 0.27
メキシコ <0.1 <0.1 <0.1 <0.1
スペイン <0.1  <0.1 <0.1 <0.1
フランス <0.1 <0.1 <0.1 0.0
ドイツ 0.0 <0.1 <0.1 >0.1
インドネシア 0.0 0.0 0.0 >0.1
ポルトガル 0.0 <0.1 <0.1 0.0
ルーマニア 0.0 <0.1 <0.1 >0.1
ブルガリア 0.0 0.0 <0.1 >0.1
ウルグアイ 0.0 0.0 <0.1 >0.1
ウクライナ 0.0 <0.1 0.0 0.0
合計 27.8 39.9* 44.2 52.6

*発表のまま


表2 遺伝子組み換え作物の性質別商業作付け割合(%)
  除草剤耐性 殺虫性 除草剤耐性
&殺虫性
全作付け面積比
大豆 63     63
ナタネ 5     5
トウモロコシ <5 11 <5 19
綿花 <5 4 <5 13
合計 77 15 8 100
       4600万ha 780万ha 420万ha  

ことば
*プルラナーゼ
デンプンを分解する酵素。添加物として、デンプン糖製造工程でブドウ糖や異性化糖製造に用いたり、蒸留アルコール製造工程で補助剤として用いられる。

*α-アミラーゼ
デンプンを分解する酵素。