■2008年6月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●GM大豆は非GMより収量が少ない

 米国カンザス大学が、3年間にわたったGM大豆の研究成果を報告した。それによると試験は穀倉地帯で行われ、モンサント社の除草剤(ラウンドアップ)耐性大豆は、非組み換えの品種に比べて収量が約10%少なかった。モンサント社の世界の食糧危機を救うという主張が覆される形となった。〔TheIndependent2008/4/20〕

●中国でイネを枯らせるGMイネ開発

 中国浙江省の浙江大学の研究チームが、新種の除草剤耐性イネを開発した。このGMイネは、除草剤グリホサートに耐性をもつ一方で、除草剤ベンタゾンによって枯れる性質をもたらしたものである。ベンタゾンは独BASF社が開発した農薬で、イネを枯らさないことから水田の除草などに用いられている。そのベンタゾンによって枯れるようにすると、一般圃場のイネを汚染した際に、そこからGMイネを除去できるというのが研究意図のようである。ただでさえ問題になっている中国産農作物の農薬汚染に、新たな問題をつけ加えることになりそうだ。〔PLoSONE2008/3/19〕
●北米事情
●米国でGM綿の分布図が作られる

 GM作物の栽培が広がる米国では、その環境への影響についてほとんど知られていない。そこで、バイオテクノロジー・インパクトセンターの責任者であるノーマン・エルストランド遺伝学教授らの研究チームが、アリゾナ州でのGM綿畑の地図を作成した。これによってGM作物がもたらす環境への影響評価が容易になった。〔カリフォルニア大学2008/4/25〕
●欧州事情
●ギリシャがモンサントの種子使用禁止を継続

 ギリシャ政府は4月23日、モンサント社のGMトウモロコシ種子の使用禁止措置を2年間継続することを決定した。この措置は、人間の健康への影響と養蜂業への潜在的な脅威に基づくものだとされている。同国はEUの16%の蜂蜜を生産しており、2万7000戸の養蜂家がいる。〔InternationalHeraldTribune2008/4/23〕
●アジア事情
●マレーシアでGM蚊の野外実験開始

 マレーシアでデング熱対策のGM蚊の野外での実験が始まろうとしている。用いられるのは雄のネッタイシマカで、試験は同国厚生省医学調査研究所と英国のオキシテック社が共同で取り組み、オックスフォード大学と共同所有のGM蚊を用いる。いったん野外に放出されるとどのような影響が出るかわからないことから、市民の間で不安が高まっている。〔TheNewStraitsTimes2008/4/27〕

●カザフスタンでGM動物開発の研究所設立へ

 2012年までにカザフスタンにGM動物医学研究所が開設される。これまでの動物医学研究所は、GM技術を用いる実験室も設備ないことから、新設されることになった。主にGM動物の開発が目的のようである。〔KazInform2008/4/9〕

●インドで未承認トウモロコシ検出

 グリーンピース・インドが、ニューデリーで販売されていたコーンチップ菓子を分析したところ、2種類の未承認GMトウモロコシを検出した。「MON863」と「NK603」で、いずれも同国遺伝子工学承認委員会の認可を受けていない。〔TheTimesofIndia2008/5/5〕
●アフリカ事情
●エジプトがGMトウモロコシの作付けを承認

 3月24日、エジプトの農業大臣は、政府のバイオセーフティ委員会と種子登録委員会が決定した、Btトウモロコシの国内栽培を承認した。それを受けて、早速バイテク企業は種子販売のキャンペーンを開始した。〔USDA2008/4/16〕
●GMOフリー
●豪州の2市がGMOフリーゾーンに

 GMナタネの栽培モラトリアム(栽培一時停止)を解除した、オーストラリアのヴィクトリア州で、2つの市が相次いでGMOフリー宣言を行った。マリビルノン市議会は、州内でのGM作物栽培を禁止し、GMOフリーゾーンを宣言するよう求めた、キャサリン・カミングの提案を可決した。〔Footcray2008/4/15〕
 グレーター・ベンディゴ市は、連邦政府と州政府に対して次のことを求めた。連邦政府へは、GM作物がもたらす環境や生物多様性への影響についての徹底調査、州政府へは、同市が行ったGMOフリーゾーン宣言を認めること。〔TheAdvertiser2008/4/18〕

●英国デパート・チェーンがGM食材を排除

 英国のデパート・チェーンのデベナムズが、カフェやレストランから不健康な食材を追放したと発表した。それによると、英国・アイルランドにある166のチェーン店のメニューから、硬化油脂、GM食材、着色料を排除したという。〔Caterersearch2008/4/24〕