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分詞構文と従属節の主語を文の主語にした受動態文

英文

Critias, glancing at the door, invited my attention to some youths who were coming in, and talking noisily to one another, followed by a crowd. Of the beauties, Socrates, he said, I fancy that you will soon be able to form a judgment. For those who are just entering are the advanced guard of the great beauty, as he is thought to be, of the day, and he is likely to be not far off himself.

翻訳作業

Critias, glancing at the door, invited my attention to some youths who were coming in, and talking noisily to one another, followed by a crowd.

glancing at the door と followed by a crowd は、それぞれ、主節と関係代名詞に導かれる形容詞節に対して、〔副詞句〕の働きをする〔分詞構文〕と呼ばれる形
ひとまず除外して考えると、主節は、
Critias invited my sttention to some youths
「クリチアスは私の注意を何人かの若者たちに招いた」

glancing at the door が、この主節を修飾しているように訳せばよいので、
「クリチアスはドアの方をチラッと見て、私の注意を……」
〔付帯状況〕と見るのが普通。

who were coming in, and talking noisily to one another, followed by a crowd は、
直前の some youths を修飾する〔形容詞節〕。節中の主語は who または、先行詞の some youths。動詞は、were coming と (were) talking。followed も were followed かな? とも考えたが、それならば、talking の前の and は無しでコンマだけにして、followed の前に and を付けるのではないか。なので、followed は〔分詞構文〕と考えることにする。まあ、どちらでもそんなに意味に違いは生じないが……。
こちらの〔分詞構文〕も〔付帯状況〕。この部分をsome youths を修飾するように訳す。
one another は、each other とほぼ同じで「お互い」。あまり訳さないほうがいいか。
「群集を従えて、大声でお互いに話しながら入って来た(数人の若者たち)」

「クリチアスは、入り口の方を見て、私の注意を、群衆を従えながら大声で話して入ってくる数人の若者に向けた」
〔関係代名詞〕の〔制限[限定]用法〕というのは、〔先行詞〕より先に訳すのが基本だが、長くなる場合は、修飾関係があいまいになるので、基本に従わないほうが分かりやすくなる場合もある。まるで〔非制限[継続]用法〕のようになるが、その訳は、下の『暫定日本語訳』で。

Of the beauties, Socrates, he said, I fancy that you will soon be able to form a judgment.

Socrates と he said は、無視をする。
Of the beauties I fancy that you will soon be able to form a judgment.
この言葉は、前回の英文 I asked whether any of them were remarkable for wisdom or beauty, or both. の応答と考えられる。
私は当初、Of the beauties が後ろの I fancy... とは続いていないと思い、「美の方が大切ですよ」と訳した。じゃあ、この of は何だ? ということになった。any of them の of か? それでは、any of beauties... んー……。あらら、I の前は全部コンマだぞ。ということは、Of the beauties I fancy.... と続くのか。
Of は、「ついて」ということにしておこう。
「ソクラテス、美については、あなたはまもなく1つの判断を形作ることができる、と私は思うよ」

For those who are just entering are the advanced guard of the great beauty, as he is thought to be, of the day, and he is likely to be not far off himself.

For those who are just entering are the advanced guard of the great beauty,

この For は「〜というのは」という理由を表す〔接続詞〕。この文章ではよく出てくる。
those who の those は「人々」を表す。who are just entering が、those を修飾。まあ、言うまでもないか。
advanced は「進んだ」「上級の「高等の」「進歩的な」。guard は「護衛艦」
「保護者」「万人」「ガードマン」「見張り」「守備隊」「近衛隊」。どの組み合わせが良いのか。
「というのは、ちょうど入って来た人たちは、偉大なる美の上級守備隊なのです」

as he is thought to be, of the day, and he is likely to be not far off himself.

he is thought to be, of the day は〔受動態〕。〔能動態〕は、どんな文だろう。
They think that he is ... of the day.「人々は、彼が現代の…だと考えている」
この受動態は、
It is thought that he is ... of the day. と
〔従属節の主語を文の主語にした受動態文〕
He is thought to be ... of the day. のどちらか。
本文では、この下の方にしてある。「彼は現代の…と考えられている」。
…の部分がない。なければおかしい。as が怪しい。これが〔関係代名詞〕ならば、一番前にあるのも納得できる。
普通、as が〔(擬似)関係代名詞〕として働く場合、the same, such などと連動して働くとして習う。単独は習わないケースがあるが、「主節の一部や全体を先行詞にできる」とある。(実は、As you know, ... というのは、主節より先に出たこの例だと言う)
ということは、この as が、the advanced guard of the great beauty の部分を指しているのだろう。ひょっとすると、the great beauty だけなのか。the great beauty は、「偉大なる美」ではなく「すごい美人(男なのに)」という意味であろうか。そして、周りの取り巻きが「親衛隊」。これなら具体的にくっきりと関係が浮かびあがってくる。この当時のアテネでは、男に「美人」と使っても何もおかしいことはない。同性愛も美しいことだと考える風潮があった。もちろん反対者もいたと思うが。
哲学なので「美の親衛隊や」「美の賛同者」「美をたたえる者」とか行きたいが、as の 先行詞は the great beauty にしておく。

and he is likely to be not far off himself

これも、従属節の主語を文の主語にした受動態。能動態は、
It is likely that he is not far off the great beauty himself. くらいか? ちょっとこれは、いい加減。himself が気にくわない。
「そして、彼自身も現代の最高の美男子からそう遠く離れているわけではないと思っている」

「というのは、ちょうど入って来た人たちは、当代一の美男子の親衛隊なのです。そして、彼こそは当代一の美男子だと思われている人で、彼自身もまんざらではないようです。

暫定日本語訳

ナレーター(ソクラテス):
クリチアスが、入り口の戸の方を見たので、私は数人の若者が入ってくるのに気づいた。彼らは、何人かを従えながら、声高に話しをして入ってきた。
クリチアス:
美についてですが、ソクラテス。まもなく一つの結論が得られると思いますよ。というのは、今ちょうど入ってきた者たちは、当代一の美男子の親衛隊なのです。その真ん中の彼こそが、当代一の美男子とみんなから思われている人物で、彼自身もまんざらではないようです。

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