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even if の仮定法過去

英文

That, my dear Critias, I replied, is a distinction which has long been in your family, and is inherited by you from Solon. But why do you not call him, and show him to us? for even if he were younger than he is, there could be no impropriety in his talking to us in the presence of you, who are his guardian and cousin.

翻訳作業

That, my dear Critias, I replied, is a distinction which has long been in your family, and is inherited by you from Solon.

my dear Critias は、呼びかけ。I replied の挿入とともに除外すると、
That is a distinction which has long been in your family, and is inherited by you from Solon.
That の示す内容は、前15回に出てきた「彼が知を愛し求めていて、もう相当の腕前の詩人であること」。
distinction は、今回「特徴」と訳すことにする。
which は、a distinction を先行詞とする主格の関係代名詞。節中は現在完了時制。
and is inherited... は、That is ..., and is inherited.... という関係で、That を主語としているのか、それとも、...a distinction which has long been..., and is inherited.... と、関係代名詞which の第2の述語なのだろうか。
前者を考えた場合、is inherited の is が不要にも思う。That is の is とかぶるとおかしいかな、と思ったが、いや、その場合でも、後ろの is は書いてもよい、となるのかもしれない。でも、文全体の、しかも文の主語That を 主語とできるなら、分詞構文でもいける。その場合、(Being) inherited だから、is はダメ。
後者ならば、which has..., and is... と、完了形の has と受動態の be が違うものなので、is はどうしても必要。こちらの方が優勢。コンマがあるのが気になるが、この文章は、コンマがとにかく多いので、あまり考えないことにする。
結局、has long been in your family も is inherited by you from Solon も、a distinction にかけて訳すことにする。
「おお、親愛なるクリチアスよ、それはソロン以来、君たちによって引き継がれてきて、君たち一族に長年ある特徴だ」

クリチアスとカルミデスの祖先をさかのぼって行くと、ソロン行き当たる。ご存知だと思うが、ソロンはギリシャ七賢人の一人で、アテネの立法者にして詩人。紀元前594年には、アルコン(執政官)になり、ソロンの改革を断行。晩年は不遇。

But why do you not call him, and show him to us?

=But why don't you call him, and show him to us?
「しかし、どうして君は彼を呼んで、私たちに彼を見せないんだい」
Why don't you 〜? は「〜したらどうか」という有名なイディオム。
「しかし、彼を呼んで、彼を私たちに見せたらどうかね」
ん〜、But があるので、上の直訳の方が気分が出る。

for even if he were younger than he is, there could be no impropriety in his talking to us in the presence of you, who are his guardian and cousin.

even if は「たとえ〜でも」。現在の事実に反する仮定を表す〔仮定法過去〕が使われている。仮定法なので、he was ではなく、he were となっている。
you, の後ろに who がある。これは〔関係代名詞〕であろう。後ろの動詞が are。ということは、you は〔複数〕なのだろうか。流れから行くと、クリチアスだけのように思われる。カイレポンも入るのだろうか。後ろの単語とあわせて考える。cousin は、クリチアス。guardian が、カイレポンなのだろうか。前のほうで、呼びかけている名前は、クリチアスだけ、そうだから、why do you not ...? の you も、クリチアス一人だけのつもりで訳した。
ああ、馬鹿だった。you だから are なのか。本当に阿呆だ。間抜けだ。トントだ。who の代わりに入るのは、単数の you。you are だから当然。you is はダメ。時間損した。
「というのは、例え彼が今よりも若くても、君のいるところで、彼が私たちに話しかけることに関して、無礼となる可能性は全然ないだろう。君は彼の保護者でいとこだ」

実際には、年齢もいっていて、保護者立会いでなくても、他人と話せるはずだ、ということを表しています。ソクラテスは、カルミデスと強く話したがっている。
当時のアテネでは、子供がむやみに他人の大人と会話することは、礼儀を欠くと思われていたようだ。これは知らなかった。

暫定日本語訳

ソクラテス:
おお、クリチアスよ。それは、ソロン以来、代々君の一族に引き継がれてきた特徴ではないか。でも、どうして君は彼を呼びつけて私たちに紹介しないんだい? たとえ彼がもう少し若くても、彼の保護者であり、いとこでもある君のそばで私たちと話しても、無礼とはならないんじゃないかい。

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© 2005 Chick Tack 20050919