あだち充03
あなたも我が家に出入り禁止ね!

      ――あだち充『KATSU』 A巻――
        (「週刊少年サンデー」'01・45号〜'02・2/3合併号,第9〜18回まで)

 前回の、『KATSU』 @巻を読んだ感想は、少し外したかも知れない(^^ゞ。まあ、一読者に簡単に展開が読まれるようでは、プロではないのだが……。
 今回の “険しい山” は、それ程険しくなかったかも…。A巻の冒頭、連載第9回で、少年は “険しい山” の部屋に入る事を許される。まあ、偶然の結果なのだが。しかし、そこで(少年にとっては)楽しい時を過ごせたのも確かである。
 そう言えば、“和菓子屋の少年” も結構簡単に “険しい山” の部屋に入る事を許された…なぁ(^^ゞ。あの時も少女は、そうと知らずに入った彼女の自宅で、店番をしていた…なぁ(^^ゞ。……まあ、偶然、偶然。……(^^ゞ。
 で、今回の少年は、その少女の部屋で、知らない男の写真が貼られているのを見つけるのだ。……まてよ、確か、“和菓子屋の少女” の部屋にも “お兄ちゃん” の写真が……。で、次には少女が少年の家を訪れ……(^^ゞ。
 えっと、話は変わるが……、自宅を訪れた少女を送る帰り道、少年は、あっさり思いを打ち明ける。……いや、打ち明けたと言うよりも、何故好きでもないボクシングジムに通っていたのか、と問われて、「最初っから水谷(少女の名字だ)が親父さん嫌いで、ボクシング嫌いとわかってりゃ、だれも高い金払って入会 なんかしなかったさ。共通の趣味を持って、親父さんとも知り合いになれば、会話も弾むんじゃないかと――」思わず本音を喋ってしまったのだが。……少女はあっさりと受け流す。
 で、その後事件に出くわすのだが。
 この場面、少々問題がある。父親のボクサーの血を引いて(どうやら、実の父は別にいたらしい。前回の論考のラストに書いた墓参り云々の伏線、あれは、今の父がリング上で死に至らしめたボクサーの子供を自分の子として育ててきた、という事らしい。で、その天性のボクサーの血を引いて)いたとしても、15、6歳まで碌にボクシングのトレーニングをしていない “活樹”(主人公の少年の名だ)が、刃物を前にした途端、“トリップ” して、完璧なファイティングポーズを取り、フットワークも使い始める……というのは、少し無理がないか? 確かにいい見せ場ではあるけれども。

 ともあれ、“香月”(少女の名だ)は相変わらずボクシングが大っ嫌いだし、「とにかくわたしはまちがっても、ボクシングをやるような男とは結婚しない! 絶対に!」と言い切った彼女が、否応なくボクシングにのめりこんでいきそうな “活樹” と、どんな風に心を通わせていくのか……楽しみに見守りたいと思う。いや、心は通い始めている。問題は、“ボクシングをやるような男” を、彼女がどうやって受け入れる事になるのか、その過程が楽しみだ。

(2002.03.18)
テキスト:少年サンデーコミックス;2002.04.15 初版発行;本体390円


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