あだち充07
絶対に内緒だからね。――か。

      ――あだち充『KATSU』 E巻――
        (「週刊少年サンデー」'02・42号〜52号,第49〜58回まで)

 『KATSU』 E巻である。今巻もあだち充らしからぬ((^^ゞ)ハードな展開である。
 それはまあ良しとしても、鈍チン“香月”(少女の名だ)のライバルになれなかった、“半沢みのり”が、ドンドン嫌味な悪役になっていく。これは、どうした事か。勿論、彼女がどんなに頑張った処で、所詮ヒロインの正統的なライバルに昇格する事は有り得ない。それは間違いない事だが、少し哀しい。
 E巻では、校長の裏工作で“紀本高道”(“活樹”のライバルだ)のいる高校と練習試合をする事に。で、コーチ(“活樹”の父親だ)に怒鳴り込んだ“香月”だが……
   「いくらなんでも早すぎます!」
   「ただの練習試合だぞ。練習するのに、早すぎることはないだろ?」(←尤もだ!
   「浅倉高校なんかとやったら、みんな自信なくしちゃいます!」
   「なくす自信なんかもともとないだろ。」(←まったく!
と、取り付く島もない。その上、
   「タカにボロボロにされて、ボクシング辞めちゃったらどうするんですか?」
   「おれはもともと、あいつにボクシングやれなんて一言も言ってないよ。」(←確かに!
確かに仰る通り。
 で、“香月”は“紀本”に一番の武器の《左フック》を封印するよう頼むのだが。
 その見返りにデートをする事になり、それをこっそり聞いていた“半沢みのり”が“活樹”に告げ口する、という図式なのだった。
 尤も、男の子と二人きりの時間を過ごす(デートという名が付いていても)事に、あまり深い意味合いを感じない鈍チン“香月”には、さしたる問題ではないのだが。何だか“半沢みのり”がひとりでバタバタやっている――自分が放った石に自分で蹴躓いている――そんな感じだ。少し可哀想である。(目つきも悪くなったし……)
 まあ、それは兎も角、むしろこの告げ口は、“活樹”の闘志に火を付けたようだった。
 で、負けるにしても、封印された《左フック》を打たせようと、心に誓う“活樹”だったが……。

 そして、試合当日。以下次巻((^^ゞ)。

(2003.04.23)
テキスト:少年サンデーコミックス;2003.02.15 初版発行;本体390円


戻る            進む
タイトルページへ