やなせたかしは天才だ!

 多分、全国を巡回している企画だろうが、「アンパンマンとやなせたかし展」 を見てきた。油絵も良かったけれど、絵本『アンパンマンのひみつ』の全ページが、鉛筆の 下書きと水彩の(あ、正確な画材は判らないけれど)原画とを対比させながら、ズラ〜ッと並んでいる コーナーがあって、僕にはそれが一番興味深かった。色々なまんが家さんの原画展があると、出来るだけ 見に行くようにしているが、原画には、その作家の制作過程のみならず、時には苦悩さえ読み取れて、大変 興味深い。ただ、この絵本『アンパンマンのひみつ』の原画展示は、見開き2ページ分を、上に原画、下に 下書きをセットに、大きな額に入っていて、上の原画の展示位置が高すぎて少し見にくかったのが残念だっ た。それと、その大きな額ごと全国を巡回しているのだろうから、1枚か2枚でいいので、印刷物も同時に 展示してくれたら、尚良かったと思った事だった。
 処で、こういう原画展に、最近必ずくっついているのが、シルクスクリーン版画の即売だ。別に、買いた い人が買えばいいのだから、他人がとやかく言う問題ではないけれど、どうしてあんなに高いの? という 疑問だけは呈しておきたい。なんでも、日本版画家協会とかいう団体が価格を決め、それに従わなければ ならない・・・らしい。本当なら、可笑しな話だ。別に、買うつもりはないからいいけどネ! 
 それよりも、この「アンパンマンとやなせたかし展」には、シルクスクリーン版画の即売と同時に、原画 の即売もあって、これには少し心が揺れた。絵の号数が僕には判らないが、シルクスクリーン版画はB4位 で15万〜18万円位。原画は10cm四方位の物で10万〜12万円位だったように思う。僕なら絶対 原画を買うネ! もし“ドキンちゃん”の原画があったら本気で悩んだかも!(笑)
 で、どこが、「やなせたかしは天才だ!」なのかと言うと、会場にいたかなり年配の夫婦が、二人で話し ながら原画展示をゆっくり見て回っているのが、印象的だったのだ。孫を連れて来ている風ではなかった。 会場には子供連れの母親が多かったが、この老夫婦は明らかに二人だけで「アンパンマンとやなせたかし展」 を見に来ていたのだ。それは、ちょっと感動的だった。この老夫婦にとって“やなせたかし”あるいは “アンパンマン”との出会いがどんなものだったか、それは窺い知れぬものがあるが、――例えばそれが、 孫と一緒に見たTVの“アンパンマン”だったとしても、今、老夫婦二人だけでこの展示会に来たという事、 それは、取りも直さず、“アンパンマン”に世代を超えた魅力がある証に違いない。
 “アンパンマン”のデビューは、多分、1973年の「詩とメルヘン」の創刊号からだと思うが、以来、 もうじき30年、“アンパンマン”はひたすら正義の為に戦い続けている。それも、決して武器を手にする 事なく、己がパンチひとつで。こんなヒーローはちょっと他には見当たらない。

 余談だが、(僕の文章は余談が多い! 笑)「アンパンマン」はゲスト声優の延べ人数No.1作品だと いう事を知っていますか。声優ファン必見のアニメでもあるのだ。

(2001.08.10)


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