榛野なな恵『Papa told me』がNHK教育テレビの少年ドラマ枠(ドラマ愛の詩)でドラマ化
された。
まんが作品を原作にしたアニメやTVドラマを見る時は、何時も思う事だが、原作に入れ込んでいる
作品程ギャップ(と失望が)が大きい。けれど、それは多分、仕方の無い事だ。逆に、原作を読んでいない
アニメやTVドラマの原作を後になって読んだ場合の方が、感動を取り込みやすい。
これはもう、まんがとアニメの間にある宿命のようなもので、受け入れた上で楽しむ方がいい。
で、榛野なな恵『Papa told me』とぼくの関係は、ご存知の通り前者である。それ故、あまり
期待しないようにと思いつつも、放送時間にはTVの前に座っている自分がいる。判ってはいるのだが、
哀しいサガと言うべきか。
で、第1回を見た結論から言うと、50点という処か。(厳し過ぎる気もするが。)アニメ化と比べ、
ドラマ化の場合は、初めから20点減点からスタートするようなものなので、その意味では及第点の60点
を付けても良いかも知れない。(ドラマ化の場合は、端から別の作品と考えた方が受け入れやすい。)
このドラマ「パパ トールド★ミー 大切な君へ」が、関西弁で描かれたのも、多分その辺りを意識しての
事に違いない。けれど、お題拝借の別作品として描かれた訳ではなく、あくまで、原作のストーリーと
エッセンスをなぞっている限り、不満は不満として残る。
“的場知世”、“お父さん”、“百合子ちゃん”のキャスティングから言うと、華原朋美の“百合子ちゃん”が
一番イメージに近かった。風間トオルの“お父さん”は、少しナヨっとし過ぎ。もう少し渋いハンサムさん
だと思うのだが。“知世ちゃん”は、う〜ん、少しコロコロし過ぎか。ファッション感覚、部屋や街の
雰囲気は、結構イイ感じだと思う。
で、お話だが……。第1回としては、こんな処か。状況説明をして、キャラクターの性格も見せ、
25分でドラマも作らねばならないのだから。ただ、エピソード的にはもう少し明るいものを選んでも
良かったのでは、と少し不満も残る。もうひとつ。“知世ちゃん”のアイロニーに満ちた鋭い台詞があまり
出ていなかったのも、残念である。
更にもうひとつ。ドラマの冒頭、“知世”が学校から帰り、忍び足で“お父さん”の仕事部屋の様子を
窺う場面。原作を知らない視聴者には、少々不親切ではないか。“お父さん”が原稿書きの仕事中は邪魔を
してはいけない――という二人の間の約束事がある事なども含め、原作の「EPISODE.1」の冒頭にある
“知世”の作文をナレーション的にかぶせたら良かったと思う。この作文を“お父さん”が見つけて読んで
いる原作のシーンは絵的には地味だが、“知世”のナレーションとしてかぶせれば、結構イイ絵が出来たと
思うのだが……。少し残念。(更に言うなら、このドラマ冒頭の“お父さん”の台詞は、絶対に違う。
“的場信吉”氏は、あんな台詞は絶対に吐かない!)
ついでにもうひとつ。エンディングテロップのバックは車でドライブしている二人なのだが、
“的場信吉”氏が運転しているシーンを読んだ記憶が無い。榛野なな恵『Papa told me』の世界
にドライブは似合わない、と書き添えておこう。
それでは、第1回の感想としてはこんな処で。1週間後に、また。
(2003.04.12)
テキスト:「パパ トールド★ミー 大切な君へ 第1回 しあわせのかたち」(NHK教育テレビ−2003.04.12)