TVドラマ「Papa told me」を見るA1/2

 前項で探していた「Papa told me」のエピソードが見付かった。コミックスが出てきたのでは なく、集英社のアザトイ出版のおかげである(^^ゞ。TVドラマ化に合わせて(多分、ドラマ化のエピソード を収録した)再録本が発行されたからだ。

 『Papa told me[EPISODE.18 スニーク プレビュー]』。久し振りに読んでみて、やはり、 『Papa told me』の中でも上位にランクされるエピソードだと感じた。
 で、前項で記憶を頼りに書いた「そんな事はないさ」の場面だが、それ程大外しではなかったの で、ホットしている。折角なので、原作の場面を紹介しよう。

 “当時のお父さんの上司”が、「君は大きくなったら何になりたいのかな?」と訊くと、“知世”が 耳元に囁く。
   「なるほどな。」
   「でもなかなかむずかしいかしらと思って――
   みんなに笑われちゃうかも。」
   「そんなことはないさ。
   君が今の想いを忘れないで、
   少しずつ力をたくわえていけば、
   いつかは夢に追いつけるよ。」
   「だったらいいな。」
   「そうだよ。まぁ私くらいの年になると、
   夢の方が待ちくたびれて、
   どこかへ行ってしまうが。」
“当時のお父さんの上司”のこの言葉に、“知世”が「そんなことはないさ。」と笑みを返す のだ。

 確かに映像的には地味な場面かも知れないが、お話的には、ストーリーの根幹を成す重要な場面だと 思うのだが。何故に、この台詞をカットするかなっ!
 もうひとつ言うなら、この場面で“知世”が自分の夢について語った言葉は読者には聞こえないのだ。 TVでは、ラストで“知世”が作文を読んで、自分の夢を声に出していた。その時違和感を感じたが、 やはり、原作のまま、視聴者の想像に委ねた方が良かったのではないか。
 原作とTVドラマを比べて、一番の相違点というか、カットされた部分は、少し大人びた描写(というか、 大人たちの描写)のように思えてならない。もし、脚本家や、演出家が、少年ドラマ枠故にカットしたので あれば、余計なお世話と言わざるを得ない。大人の鑑賞に堪えない物は、子供の鑑賞にも堪える筈が ない事を知るべきである。

 また『Papa told me』は、勿論日本が舞台の話なのだが、何処か無国籍な物語でもある。 殊に、街の佇まいが、非日本的で無国籍な感じなのである。この意味から、今回の学校の教室の、まんま 日本の教室の描写は、やはり違和感があった事を付け加えておく。
(2003.04.21)

テキスト:『Papa told me[Vol.1 大切な友だち編]』集英社、2003.05.05初版発行、 集英社ガールズリミックス、B6、294頁、本体381円


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