脂肪酸のはなし
脂肪酸について、簡単に説明します。
難しい話は、私は得意ではないので、ここでは、皆さんが脂肪酸に関心を持っていただければと
思います。
詳しい話は、専門家のホームページを検索などしてみてくださいね。

 私が、脂肪酸に関心を持つようになったのは、
アトピーの患者では、リノール酸の血中レベルが高く、
ガンマーリノレン酸、ジホモ−ガンマーリノレン酸、アラキドン酸の血中レベルが
低いということを知ってからです。
そして、調べていく内に、いろんなことが見えてきました。

余談ですが、最近では、
トランス脂肪酸 の危険性に関心を持っています。
それは、それが余りにも身近にある食べ物の中に入っており、、子供たちが喜んで食べていると
言うことをです。心配しています。
・・・
トランス脂肪酸・・・、案外アトピーの現因のひとつではないかと、思えて来ます。
トランス脂肪酸・・・偽物の脂肪酸・・・とっても怪しいです。

トランス脂肪酸が使われている食べ物の代表は、マーガリンです。
マーガリンは、人工の油なのです。
それは、腐らず安い材料なので、いろんなお菓子や乳製品に入っています。
企業も親も、子どもたちも、未来の不安について考えることもなく、
笑顔、幸福感に包まれて、人工油を食べています。




脂肪には、大きく2つの物があります。
油と脂です。
一般的に、次のような種類があります。

植物や魚に含まれます
常温で液体 コレステロールを下げる 不足するとダメ

動物に含まれます 常温で個体
コレステロールを上げる 多すぎるとダメ

食生活での食べる割合としては、油が80%、脂が20%が良いとされています。



脂肪酸の構造は、2〜20ないしそれ以上の炭素 ・ C がまっすぐに連なった鎖になっています。
1つ1つの炭素には、水素 ・ H が結びついています。
それぞれの脂肪によって、炭素の数や水素の数、その結合の仕方は異なり、
それが、その脂肪酸固有の性質を決める要素になっています。
とても繊細というか、分子というものが、とても不思議に思われます。

脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。
脂肪酸分子の炭素原子と水素原子の結びつき方の違いで分けられます。

飽和脂肪酸 すべての炭素に結びつけられるだけの水素が結びついているものです。
二重結合がないものです。

動物性脂肪に多い。
不飽和脂肪酸 水素原子で炭素原子が飽和されていない脂肪酸を言います。

飽和されていない個所では、炭素原子間は2重結合となつています。
一価不飽和脂肪
二重結合が1個所のもの
多価不飽和脂肪酸
二重結合が2個所以上のもの

イメージとしては、次のような例になると思います。

   H  H  H  H  H     H  H  H
    | | | | |     | | |
 H―C―C―C―C―C―∬―C―C―C―COOH
    | | | | |     | | |
    H  H  H  H  H     H  H  H
飽和脂肪酸 酪酸やステアリン酸
など、
   H  H  H  H  H     H  H  H
    | | | | |     | | |
 H―C―C―C〓C―C―∬―C―C―C―COOH
    | |      |     | | |
    H  H        H     H  H  H
一価
不飽和脂肪酸
オレイン酸
オリーブ油に含まれます。
   H  H  H  H  H  H  H     H
    | | | | |  | |     |
 H―C―C―C〓C―C―C〓C―∬―C―COOH
    | |       |          |
    H  H        H           H
多価
不飽和脂肪酸
リノール酸
αリノレン酸
γリノレン酸
アラキドン酸
エイコサペンタエン酸
ドコサヘキサエン酸など



必須脂肪酸について

人体は、二重結合が2個以上ある脂肪酸・・・多価不飽和脂肪酸を、体内で作れません。
食物から摂取する必要があり、必須といわれています。

多価不飽和脂肪酸には、 n−6系 と n−3系 とがあります。

食べる比率としては、n−6系 と n−3系 が、3 : 1 が理想と聞いています。
健康な人の場合ですが。
また、比率については、いろんな説がありますので、ご自分で判断してね。

n−6系  分子構造で、6番目の炭素から2重結合が始まっている
もの
リノール酸、γリノレン酸
アラキドン酸などがあり
ます。
n−3系  分子構造で、3番目の炭素から2重結合が始まっている
もの
αリノレン酸
エイコサペンタエン酸
ドコサヘキサエン酸など

これらの多価不飽和脂肪酸は、皮膚の完全性と細胞膜の維持に必要な物質です。


必須脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)の体内での代謝の流れは、次のとおりとなります。


リノール酸
(n-6系)
炭素原子18個の多価不飽和脂肪酸です。
多様な働きをする生理活性物質のプロスタグランジンやロイコトリエンや
トロンボキ酸などの局所ホルモンの原料です。
n-6系とn-3系は、互いに拮抗作用があり、相互変換ができないため、
摂取のバランスが大切です。
α−リノレン酸
(n-3系)
ガンマーリノレン酸
(GLA)

炭素原子18個の多価不飽和脂肪酸です。
アトピーの人には、ガンマーリノレン酸が欠乏していることが解っています。
詳しくは、ガンマーリノレン酸のはなしのページをご覧になってください。

アトピーの皮膚は、水分不足が特徴ですが、その皮膚細胞にも
関係しています。
ガンマーリノレン酸の原料であるリノール酸を摂っても、
変換酵素が正常に
働かなければ、ガンマーリノレン酸が不足し、乾燥した皮膚細胞の改善は
見られません。
ガンマーリノレン酸から作られるプロスタグランジン1シリーズも不足する
ことになり、免疫の調整などができず、アトピーの原因となります。
IgEの調整に関係しています。
(広島大学の研究では、IgEの数値を下げています。)
微量ですが、炎症型(免疫の活性)のプロスタグランジン2シリーズの
原料であるアラキドン酸に変換されます。
300r程度のガンマーリノレン酸では、アラキドン酸は、変換されないので、
ガンマーリノレン酸を摂って、アラキドン酸の増加につながることは
ないのです。
そもそも、アトピーの人では、変換酵素のデルタ6デサチュラーゼの
働きが悪いので、リノール酸を食べても、作られるガンマーリノレン酸の量は
少ないです。

そこから作られるアラキドン酸は、健康な人と同じように作られるとは考え
にくいのです。

アトピーには、影響はないといえます。
問題なのは、変換できず過剰になるリノール酸の状態です。
アラキドン酸
(AA)
炭素原子20個の多価不飽和脂肪酸です。
促進(炎症)タイプのプロスタグランジン2シリーズ、ロイコトリエン、
トロンボキサンの原料です。
細胞膜の構成成分のひとつで、細胞膜の流動性、柔軟性、透過性などに
関係しています。
細胞膜は、細胞内に必要な物質が入っていくためや、不用な物質が
細胞外へ排出されるために、重要な役目を持っています。
細胞が正常であるために、不可欠なことなんです。
エイコサペンタエン酸
(EPA)
炭素原子20個の多価不飽和脂肪酸です。
血小板による凝血を阻害し、血液循環を改善(サラサラ)にします。
抑制タイプのロイコトリエンにも変換します。
ドコサヘキサエン酸にも変換します。
n-6系のガンマーリノレン酸からアラキドン酸への変換酵素を抑制
します。
ドコサヘキサエン酸
(DHA)
炭素原子22個の多価不飽和脂肪酸です。
乳幼児の脳や網膜の発達、神経細胞の働き、コレステロールの低下などの
働きをします。
ロイコトリエン
(LT)
アラキドン酸やエイコサペンタエン酸から作られる生理活性物質のシリーズ
です。促進と抑制の2種類があります。
気管支の収縮、小腸の運動、血管の透過性の亢進などに働きます。
アラキドン酸から作られるロイコトリエンは、促進(活性)の働きをします。
エイコサペンタエン酸から作られるロイコトリエンは、抑制(鎮静)の働きを
します。
トロンボキサン
(TX)
アラキドン酸から作られます。
血小板、肺、腎臓、腸などで作られます。
一部のものは、血小板凝固作用、血管の収縮作用、気管支の収縮作用
など、強力な生理活性を持っています。
プロスタグランジン
(PG)
1シリーズは、全体のバランス調整。
ガンマーリノレン酸から作られます
2シリーズは、促進(活性) アラキドン酸から作られます
3シリーズは、抑制(鎮静) エイコサペンタエン酸から作られます
それぞれの働きに特性があり、それらがバランスを取り合いながら体を正常
な状態に保っています。

以上の多価不飽和脂肪酸は、調整、促進、抑制という働きを持ち、互いが綱引きのように
引っ張ったり、引かれたりして、繊細な働きをし、体の正常な状態を維持しようとしている
のです。
しかし、粗悪な食生活やストレスなどで、全体のバランスが崩れることが、病気が起こる
原因のひとつなのでしょう。



酵素 デルタ6デサチュラーゼの働きについて

ガンマーリノレン酸を体内で作るには、変換酵素のデルタ6デサチュラーゼが、
正常に働くことが不可欠です。
しかし、現実には、その働き和阻害する要因があり、スムーズに代謝が、
できない人がいます。
その人は、いくらリノール酸を含んだ食品を食べても、ガンマーリノレン酸は、
正常に作られず、病気になるというものです。

酵素の働きを阻害する物として、次のようなことがあります。

動物性脂肪酸の摂りすぎ コレステロールの摂りすぎ アルコールの過飲 遺伝的要素
ビタミン不足(B6) ミネラル不足(Zn Mg) ストレス
低体温(36℃より低い)
体温は、もともと36.5℃で調節されているものです。
それは、タンパク質の合成や体内でのいろんな反応が、
その温度で働くように、長い進化の末、決まっています。
ですから、36℃より低くなれば、当然、タンパク質の合成などが
スムーズに進まず、
また、酵素の働き(化学反応)も計算通りに進まない結果に
なります。



以上のように、たかが脂肪ですが、生きていく上で重要な働きをしています。
炭素、水素、酸素の3つの原子てできているだけですが、少しずつ構造が違うだけで
まったく異なった性質になります。
みなさんが、いろいろ調べてみるきっかけにしていただければと思います。
ダイエットなど、油抜きをしてはいけません。
また、本物・良質の油を食べなければなりません。
ほんと、大変です。







ガンマーリノレン酸

プロスタク゜ランジン

映画 ロレンツォのオイル


ドコサヘキサエン酸
ロイコトリエン
魚から
プロスタグランジン
3シリーズ
プロスタグランジン
2シリーズ
プロスタグランジン
1シリーズ
肉・卵・乳製品に入っています。
アラキドン酸
エイコサペンタエン酸
ジホモ−ガンマーリノレン酸
ガンマーリノレン酸
N−3系
アルファーリノレン酸
・・・
野菜、海草などから

N−6系
リノール酸・・・
植物油などの食べ物から

この酵素の働きが重要なのです。

酵素・・・
デルタ6デサチュラーゼが働く