第二章「衝撃!甦りし悪夢!」(前編) オーストラリア 首都キャンベラ 総理府 「間違いないのかね?」 「残念ながら、間違い有りません。総督」 総理府の奥、重要議題などの討議なども行われる会議室でこの国の政治、軍事、警察の各トップが集まり、緊急会議を行っていた。 「これをご覧下さい、現在のノースマンの状況です」 警視総監の言葉に続き、隣にいたオペレーターが手元のコンソールを操作する。 即座に会議室に設置された大型ディスプレイに、ある映像が映し出された。 「……信じられん、だが」 「すでに軍の一部も出動、街を完全に封鎖しました。しかし現状の解決の目処すら………」 居並ぶ政治家達は、その映像を食い入るように見入る。 そこに映し出されているのは、とても現実に起きているとは思えない光景だった。 上空を飛来するヘリから送られてきている映像は、ある一つの街を映し出している。 しかし、整備されているはずの町はあちこちで車が事故を起こし、更に各所で火災が起きている。 そして、最大の特徴をカメラが捕らえる。 それは、通りを行く人々の様子だった。 全員が虚ろな目をし、幽鬼のような動きで車道、歩道を問わず蠢いている。 中には体の一部が欠けたり、傷口から内臓をはみ出させているような者すらいる。 ふとそこで、逃げ惑っているらしい人がカメラに飛び込む。 それに気付くと同時に、その幽鬼のような人々は一斉にその逃げ惑う人に襲い掛かった。 押し倒され、絶叫を上げる人の咽喉に、幽鬼の歯が突き刺さる。 それに留まらず、腹に、腕に、足に次々と歯が突き立てられ、食い千切られ、咀嚼され、飲み込まれる。 "人が人を襲って食う"、という本来ありえざる光景が街の至る所で繰り広げられていた。 「これは………間違いなく………」 「T―ウイルスによるバイオハザードだ」 突如として響いた声に、全員が一斉に扉へと顔を向ける。 そこには、サングラスを掛け、杖を付いた一人の男が立っていた。 「お前は!」 「STARS長官、レオン・S・ケネディ。対生物災害国際法にのっとり、参上した」 「君が噂の『イーグル・ハート』か。ICPO一の切れ者だと聞いている」 「余計な挨拶も討論も不要だ。我々STARSの介入許可をいただきたい」 会議室の中へと入りながら、レオンは用件を鋭く切り出す。 「しかし、まだICPOの力を借りるまで状態が悪化している訳ではないかもしれん。軍に総動員命令を出す討議をこれから…」 言葉を続けようとしている総督の顔面に、小さなコッキング音と共に、ある鉄の塊が突きつけられる。 「な………」 「貴様!」 総督の額に、いつ抜いたのかも分からぬ早業でレオンはデザートイーグル50AE、通称ハンディ・キャノンとまで言われる巨大な愛銃を突きつけていた。 それに気付いた軍、警察関係者が一斉に自分の腰の拳銃に手を伸ばす。 「ぜ、全員落ち着きたまえ。こんな事をしてもどうにも………」 「つまらない議論で一体何時間潰すつもりだ?貴様らがこんな事をしている間に、何人もの人々が死んでいるんだ。必要なのは行動だ」 「し、しかしこれは明らかにテロ行為だ!後ろを見たまえ!私を殺した所で、次は君が殺されるだけだ!」 「だが、この場は一時的に混乱する。その混乱の隙に我々が突入する時間は稼げる」 「そ、それだけのために死ぬつもりなのか!?」 「オレとあんたの命で大勢の民間人の命が救われる。ひどく安い買い物だと思うが?」 総督の目に、とんでもない事を言い放つレオンのサングラスの向こうにある瞳が見えた。 そこには、迷いも狂気も無く、ただ猛禽の鋭さだけが有った。 その瞳に、総督の全身から血の気が一斉に引いていく。 「わ、分かった。君達STARSに全権を委任しよう。軍、警察双方に全面的バックアップをさせる」 「ご決断ありがとうございます、総督」 それだけ言ってレオンはデザートイーグルを懐にしまいながら部屋を出て行く。 扉が閉まり、全員の口から息が漏れる。 「そ、総督!あんな脅迫に屈しては……」 「脅迫ではない………彼は、本気だった………本気でこの場で私を撃ち殺してでも部隊を突入させるつもりだった」 「馬鹿な!?」 「そんな事をしたら、大問題になるぞ!」 「そのような物、彼にはなんでもない。自らの地位も、名誉も、命ですらも彼には目的を達成するためには惜しくもないのだ………あんな男が存在するとは………」 「恐ろしい、絶対敵に回してはならん……」 全員の体から冷や汗が噴き出している事に、気付いている人間は誰もいなかった。 「状況は?」 『第一から第六、全小隊がすでに出撃しました。先行した第五、第六小隊が15分以内に現場に到着します』 総理府を出るのすら待たずに、レオンは腕時計端末から部隊の展開状態を聞き、これからの作戦を考える。 「第七も出撃させろ、至急だ」 『!第七小隊はまだ編成中です!それに隊長に就任予定のロットは前回の出撃で負傷して戦闘不能です!』 「シカゴ警察とFBIに緊急連絡。コード・ナイトメアを発令、あの二人に緊急出向を」 『了解しました』 通信を切ると、レオンは時計表示へと切り替わった端末の表示を眺める。 「間に合えばいいが………」 オーストラリア ノースマン上空 地獄と化している街の上空に、二機の大型カーゴジェット機が飛来した。 カーゴジェット機の胴体には、ICPOとSTARSのエンブレムが鮮やかに印刷されている。 「いいか、これからお前達はこの世に出現した地獄と対峙する。命の惜しい奴、覚悟が出来ない奴は降りるな、咎めはしない。覚悟が出来た奴から着いて来い。いいな!」 『了解!』 カーゴジェット機のカーゴ部で、重武装に身を固めたSTARS第五小隊を前にした南米系の鍛え上げられた痩身の中年男性、第五小隊隊長、カルロス・オリヴェイラが部下達を一括する。 「作戦は説明通り、市民の脱出ルートの確保。ゾンビ達を一体たりとて通すな!あいつらは頭をぶち抜かない限り襲ってくる!その事を忘れるな!死にたくなければな!」 『了解!』 『降下予定まで、あと5分』 「総員降下準備!下見て漏らした奴は居残りだ!」 カーゴのハッチが開いていき、低空飛行へと移っている機内から下の光景が隊員達の目へと飛び込んでくる。 「う………」 「マジか………」 若い隊員達が、話と資料だけで知っていたバイオハザードの惨状に、顔をしかめる。 「おいあれ!」 ふとそこで、街の通りでゾンビ達に囲まれて身動き出来なくなっているバスが視界に飛び込んできた。 「スクールバスだぞ、あれ!」 「まずい、あのままじゃ……」 「うおおおぉぉぉ!」 そこで、隊員の一人がいきなりハッチから外へと飛び出す。 「馬鹿!まだ降下地点には……」 「ほっとけないわよ!」 制止も聞かず、続けて今度は女性の隊員が外へと飛び出す。 「ムサシ!アニー!」 「あの馬鹿双子!」 「また暴走しちまいやがって………」 いつもの事に、カルロスは頭を抱え込んだ。 「来るな、来るな!」 スクールバスの運転手が、必死になって車体を操作し、なんとかゾンビ達を振り払おうとする。 しかし、後から後から湧いてくるゾンビ達は、やがてスクールバスの周囲を完全に覆い尽くそうとしていく。 「怖いよ〜」 「ママ、ママ!」 「ふえええぇぇ………」 車内では子供達が怯え、泣きじゃくる。 「大丈夫、きっと大丈夫だから!」 脱出の指揮を取っていた女性教師が必死になってなだめるが、突然彼女の側の窓が破れ、そこから半ば腐敗した腕が彼女の袖を掴む。 「ひぃっ!」 思わず悲鳴を上げた女性教師の体が、腕に引きずられて車外へと引きずり出されようとする。 「先生!」 「引っ張るんだ!」 子供達が慌てて女性教師を救おうとするが、子供達の力では足りず、女性教師の体が外へと出かける。 「ぉぉぉぉおおおおお!」 その時、上空から雄たけびと共に何かが降り、女性教師を引きずっていた力が消失する。 「……誰?」 車内へと戻った女性教師が、何故助かったのかを確かめようと外を見た。 そこには、途中で切り離されたらしいパラシュートが舞い降り、その影から伸ばし気味の金髪を後ろで結んだ若い男の姿が有った。 男は全身を黒地のタクティカルスーツに身を包んだ特殊部隊姿だったが、その両手には銃ではなく、それぞれ一振りずつの日本刀が握られている。 腰のベルトには刀が納められていたらしい二つの鞘が差してあり、更にはスーツの上から青く染め上げられた羽織を纏い、羽織の背には「斬」の一文字が赤く刻まれている。 「来いゾンビ共!STARS第五小隊アタッカー、光背双刃流(こうはいそうじんりゅう)のムサシ・ケンドが相手になってやる!」 右手の刀を正眼に、左手の刀を右の刀の背に添える風変わりな構えを取るムサシが、目前のゾンビ達と対峙する。 「おおおぉぉ!」 迫り来るゾンビの大群に、ムサシは恐れずに突っ込んでいく。 右の刀を正面のゾンビの胸に突き刺して動きを止めると、すかさず左の刀でその首を一撃で斬り落とす。 右の刀を瞬時に引き抜き、その隣のゾンビに大上段からの唐竹割で頭部を両断、左の刀は反対側のゾンビの口から突き込み、そのまま後頭部へと貫通させる。 「次!」 旋回しつつ、ムサシの双刀が群がってきていたゾンビの胴を薙ぎ、倒れこんできた所を連続突きで頭部を貫いていく。 しかし、背後のバスから再度窓ガラスの割れる音が響いた。 「しまった反対側からも!」 ムサシが失策を悟った瞬間、上空からもう一つのパラシュートが落ちてきた。 続けて、立て続けの銃の連射音が響く。 「なめんじゃないわよ!」 スクールバスの屋根に、一人の黒髪の若い女性が降り立つ。 ムサシにどこか似た顔立ちの、肩口で切りそろえた黒髪の女性は、両手に一丁ずつ握られているシングルアクションリボルバー拳銃、コルト・ドラグーンSTARSカスタム"ワイルダネス・ハウル(荒野の咆哮)"の銃口からたなびく硝煙に息を吹きかける。 こちらはタクティカルスーツの上にレザーベストを纏い、頭にはカウボーイハット、腰にはカウボーイのようなガンベルト(ただし、銃弾ではなく装弾済みのシリンダーが並んでいる)、足のコンバットブーツには拍車までが付けられている。 「STARS第五小隊アタッカー、アニー・ケンド!蜂の巣になりたい奴からかかってきなさい!」 硝煙を上げる両手のワイルダネス・ハウルを旋回させつつガンベルトに収めたアニーが、今度は両脛のホルスターに一丁ずつ収められていたウィンチェスターM73・ウェスタンカスタムショットガンを左右同時に抜いた。 西部開拓時代に用いられた骨董品の部類に入るショットガンの銃身とストックを切り詰めた屋内用の代物を、アニーは狙いすまして同時発射、手近のゾンビの頭部を散弾が打ち抜くと同時に、旋回させてコッキングレバーをコック、次弾を装填させて即座に発射、西部劇のカウボーイもかくやという早撃ちで次々とスクールバスに群がるゾンビ達を駆逐していく。 「こんなとこ!」 適度にゾンビが減った所でM73をホルスターに収め、アニーは再度ワイルダネス・ハウルを抜きつつバスの屋根を前へと向かって走る。 「次はこっち!」 西部開拓時代の騎兵隊の正式採用拳銃という骨董品を現代用にカスタムした銃をアニーは構えてハンマーをコッキング。 スクールバスの前方を塞ぐゾンビへと銃口を向けると同時にトリガーを引いた。 パーカッション・フリントロック(前込め・火打石式)からケースレスカートリッジ(成型炸薬薬莢)型へとカスタムされた44口径ホローポイント弾が銃口から飛び出し、寸分の狂いも無く別々のゾンビの額を貫き、内部でひしゃげて脳髄をかき回す。 射撃の反動で跳ね上がった銃身にアニーは指を伸ばし、ハンマーを引っ掛けると銃身を下げる勢いを利用してコッキング、"ハンマーコック"と呼ばれるカウボーイの技で再度次弾を放つ。 瞬く間に全弾を撃ち尽すと、シリンダーラッチボタンを押して空になったシリンダーをイジェクト、ガンベルトに空のシリンダーを引っ掛けると素早く装填済みのシリンダーと交換、即座にハンマーをコッキングして前方へと向ける。 「脱出口を作る!援護を!」 「OK!」 周囲を駆逐したムサシが、スクールバスの前方へと回りこみながら両刀を鞘へと収め、前方から群がってくるゾンビ達へ向き直ると呼吸を整え、精神を集中させる。 「ハアアァッ!」 息を雄たけびとして吐き出しつつ、大きく歩を進めながらムサシの右手に柄へと伸びる。 瞬間、抜き放たれた白刃が、前に群がっていたゾンビ達をまとめて斬り裂く。 「アアアァァ!」 更に大きく歩を進めつつ、ムサシの左手がもう一つの柄へと伸びる。 先ほどの斬撃とまったく変わらぬ威力の左の居合い抜きが、倒れたゾンビの向こうから迫ってきたゾンビ達を更にまとめて斬り裂いた。 「光背双刃流、 左右の連続居合いという大技で通りを塞いでいたゾンビを文字通り薙ぎ倒したムサシが、双刀を振るって血油を落とすと鞘へと収める。 「今の内よ!発車して!」 「わ、分かった!」 屋根の上で周囲を警戒しながらアニーが運転手に叫ぶ。 「ちょ、ちょっと待った!」 急に動き出したスクールバスに、ムサシが開いている窓に慌ててしがみ付く。 『生きてるか、二人共』 「あ………」 「隊長……」 耳に付けた小型多機能インカムから響くカルロスからの通信に、ムサシとアニーの顔色が変わる。 『こっちは目的地に降下した、これから作戦行動に移る』 「あの、オレ達は………」 『そのバスを無事に郊外に脱出させろ、そうしたら減棒で済ませてやる。今地図を送る』 二人はインカムから伸びているレーザーデータポインターから、送られてきたデータを眼球に投射させ、送られてきた地図を確認。 「このまままっすぐ、2km先で右に曲がれば軍のキャンプに合流できるわ」 「噛まれた奴はいないか!?ワクチン摂取が必要だ!」 窓から屋根へとよじ登りながら、ムサシが懐から取り出したアンプルケースを車内へと投げ入れる。 「次が来たわよ!」 「邪魔だ!」 ムサシは羽織の裏に無数に差してあった小柄(こづか)をまとめて抜くと、柄のスイッチを押して前方に現れたゾンビへと投じる。 小柄はゾンビへと突き刺さると、柄に仕込まれていた高性能爆薬が炸裂、ゾンビ達を次々と吹き飛ばす。 「来るなら来てみろ!」 「このバスには手出しさせないわ!」 ケンド兄妹に守られ、スクールバスは地獄を脱するべく疾走した。 「二番、三番通りを確保!」 「そのまま防衛線を構築!民間人の脱出経路を死守しろ!」 「第一から第四小隊、到着まであと45分!」 降下したSTARSと、必死になってゾンビと交戦していたオーストラリア警察、突入していた軍の特殊部隊が一丸となり、一人でも多くの民間人を助けるべく激戦を繰り広げていた。 「人間とゾンビを間違えるなよ!焦点の合わない飢えた瞳した奴だ!頭と首以外は当てても効かねえぞ!」 「簡単に言ってくれるな!」 そばの警官に怒鳴り返されながらも、カルロスはゾンビ達に向けてP―90アサルトマシンガンを連射する。 「くそ、またこの光景見る日が来るとはな………」 「またって、あんたバイオハザードの経験者か!?」 「ラクーンシティの生き残りだよ、あいつもな」 マガジンを交換しつつ、カルロスは通りの反対側を指差す。 そこには、両手両足に異様にゴツいプロテクターを装備した二十歳くらいの金髪のショートカットの女性が縦横無尽に戦場を駆け巡っていた。 「ハアッ!」 突き出された拳がゾンビの顔面に炸裂、同時にプロテクターに仕込まれていた極薄の指向性クレイモアがゾンビの頭を跡形も無く吹き飛ばす。 「フッ!」 反転しながら鋭い呼気と共に跳ね上がった右足が一閃、背後から近寄ってきていたゾンビの側頭部に上段回し蹴りが突き刺さり、同時に足のプロテクターに仕込まれていたレイ・ブレード(光学式集光熱刃)が発射され、ゾンビの頭部を貫通する。 「む、無茶苦茶だ、格闘技でゾンビ倒してやがる………」 「急所さえ破壊出来ればバットや素手でも倒せるぜ、それをメインにしてるのはあいつくらいだが」 「ハアアッ!」 ゾンビ達の注意を引き付け、集めた所で女性は側に放置されていた車を1ステップで跳び越え、振り向き様に掌底打で車を弾き飛ばし、ゾンビ達をまとめて建物の壁へと叩きつける。 「総員攻撃!」 『了解!』 突破口を開いた女性の背後から、STARS第六小隊の隊員達が一斉に手にした銃を連射、群がってきていたゾンビ達を薙ぎ倒していく。 「一斑はこの場を保持!二班は私と一緒に逃げ遅れた民間人の捜救出!」 「了解しました、シェリー隊長!」 きびきびと命令を下す女性、STARS化学班主任兼第六小隊隊長、シェリー・バーキン・八谷は部下達を引き連れてゾンビ達の蠢いている通りの向こう側へと果敢に飛び込んでいく。 「ひょっとして、ありゃサイボーグか?」 「いや、一応生身だ………どこかいじってるという噂だが」 「 「あれが子持ちの人妻43才に見えるか?」 カルロスの口から漏れた真実に、周囲で聞いていたSTARS関係者以外の全員が硬直する。 「オレの女房にもやってくれねえかな、それ………」 「じゃあまず女房を無事に脱出させときな!そうしたら口聞いといてやるよ!」 「隊長!右前方20mに未確認変異種!」 「ちっ!」 舌打ちしつつ、カルロスはそちらに銃口を向けてFCS(ファイアー・コントロールシステム)内臓ダットサイトを覗き込む。 その視線の先には、ゾンビとは明らかに違う異形が立っていた。 人より僅かに高い背丈で直立しているそれは、全身を血にまみれた薄茶色の毛皮が覆っている。 本来は小さく下がっているはずの両手には異常に鋭いカギ爪が伸び、特徴である大きな太ももは皮膚が無く、その代わりに通常のそれよりも遥かに発達した大腿筋が剥き出しになっていた。 細身の愛らしいはずの顔には飢えた瞳と、本来は無いはずの血に濡れた牙が伸びていた。 「カンガルーの変異体か!」 「人間だけじゃないのか!?」 「そんな寝言は後でっ…!?」 カルロスがトリガーを引こうと瞬間、サイト内から変異カンガルーが消えた。 後には、そのカンガルーに踏み潰されていたらしいゾンビの死体が残っている。 「散れっ!」 「え?」 突然の命令に動けなかった警官を突き飛ばし、カルロスもその場から転げるように離れる。 先程までその二人がいた場所に、上空から何かが降ってきた。 「馬鹿な!?」 驚異的、と言うよりも異常すぎるジャンプ力で構築されていたバリケードをアッサリと飛び越えてきた変異カンガルーが、慌てふためく者達を睥睨し、血塗られた牙を長い舌で舐める。 「後方伏せ!前方撃て!」 路面へと転がって身を伏せながら、カルロスが号令する。 同じように周囲の者達も慌てて伏せる中、変異カンガルーの前方にいた者達が一斉にトリガーを引いた。 しかし吐き出されたライフル弾、散弾、拳銃弾からなる無数の銃弾は、目標を捕らえられずにバリケードへと突き刺さった。 「上だ!」 「散れっ!」 カルロスの命令にトリガーを引いていたSTARS隊員は素早く散った。 しかし、行動の遅れた兵士の一人の頭上が、いきなり暗転した。 「ぐふっ!?」 「えっ…」 隣から聞こえてきた声に別の兵士が振り返ると、そこには兵士ではなく上空から降ってきた変異カンガルーがいた。 「くそ…ぎゃああぁぁ!」 慌てて銃を向けるよりも早く、変異カンガルーが両手のカギ爪で兵士を捕らえ、その牙が兵士の首に突き立てられる。 「っざけるなよ!」 カルロスが立ち上がりながら腰のマチェット(刀身30cm程の山刀)を抜くと、兵士の血を啜っている変異カンガルーの胴体へと勢いよく切りつける。 「ビイィィー!」 「勝手に鳴いてろ!」 太く、甲高い奇怪な悲鳴を上げる変異カンガルーに、カルロスは引き抜いたマチェットを肩口へと叩き下ろす。 周辺を血飛沫が舞い、変異カンガルーはマチェットが突き刺さったまま上空へと再度跳んだ。 「舐めんじゃねえ!」 跳ぶ瞬間、変異カンガルーの尾に強引にしがみ付いたカルロスは、一緒に上空へと舞いながらP―90の銃口を変異カンガルーへと押し当てる。 「くたばりな!」 ためらいなくトリガーを引き、フルオートの5.7mm弾を余すとこなく変異カンガルーの胴体へと叩き込む。 「ビイイィイ!」 断末魔の絶叫を上げながら、変異カンガルーの体勢が崩れ、下へと落下していく。 とっさにカルロスは体勢を入れ替え、変異カンガルーをクッション代わりにして路面へと落下した。 「ぐっ!」 「隊長!」 「大丈夫だ…………」 落下の衝撃で多少痛めた肩に手をやりつつ、カルロスは念を入れてケイレンしている変異カンガルーの頭に一発弾丸を打ち込んで完全に絶命させる。 「こちらカルロス!未確認変異種を確認、形態からカンガルーの変異と思われる。異常なジャンプ力で飛び掛って血を吸ってくるから気をつけろ」 『こっちでも確認!ただいま交戦中!』 インカムからシェリーの返答に混じって肉を叩き潰すような音が響いてくる。 「……年は取りたくねえな、昔ならこんな苦戦しなかったんだが………」 痛む肩に顔をしかめながら、カルロスがぼやく。 『隊長!こちらムサシ!』 『無事軍にスクールバスは保護させました。すぐに脱出させるそうです!これからの指示を!』 「そうか、軍からの増援がこちらに向かって出発するはずだから、そいつらと一緒にこちらに来い」 『『了解!』』 「……と言ってもあの二人だから、全部倒しながら来るだろうな、ったく……」 「倒しながらって、ここからキャンプまで5kmは…………」 「オレの部下は馬鹿と大馬鹿しかいないんだよ。お陰で引退したくても出来やしねえ……」 『こちら第一小隊!現場到着まであと30分!』 「増援がもう直来るぞ!それまで持ち応えろ!」 『了解!』 自分のぼやきを瞬時に消し、カルロスはその場を守る者達全員に号令をかけた。 「フッ!」 気合と共に繰り出されたシェリーの前蹴りが、ビルの裏口のドアをひしゃげさせながら吹き飛ばす。 「救助に来たわ!誰かいない!?」 「ほ、本当か?」 ビルの奥から怯えた表情の中年男性がそっと顔を出した。 「他に生存者は!?いなければ封鎖するわ!」 「ま、待ってくれ!娘が上の階にいるかもしれないんだ!」 「分かったわ。私が探しに行くから、あなたは早く!」 「でも上にはゾンビが………」 「慣れてるわ」 中年男性と入れ違いに、シェリーがビルへと入ると、階段を凄まじい速さで駆け上っていく。 「誰かいない!?助けに来たわよ!」 叫びながら、通路を走る。 その声に気付いたのか、数体のゾンビが姿を表した。 「邪魔よ!」 それぞれのゾンビの顔面にクレイモアパンチをコンビネーションで叩き込み、それが倒れ伏すよりも早くその場を過ぎ去る。 「いるなら返事して!助けに来たわ!」 叫んでいた時、ふと微かな物音が耳に届く。 音の聞こえてきた方向へと急ぐ。 だが、そちらから何か小さな足音が遠ざかっていくのが聞こえてきた。 「逃げないで!ゾンビじゃないわ!」 「キャアアァァ!」 「!!」 足音が遠ざかっていった先から、少女の悲鳴が響く。 シェリーは全力で走り、目前の扉をぶち破るような勢いで開く。 そこで、うずくまっている少女とそれに襲い掛かろうとしている巨漢のゾンビが目に飛び込んできた。 「この、変態ゾンビ!」 素早く巨漢ゾンビに近寄ったシェリーは背後からゾンビの腰を両手でクラッチすると、そのまま力任せに引っこ抜きながらバク転、力任せのバックドロップでゾンビの首をへし折った。 「ふう、大丈夫?」 「う………」 怯えた瞳でこちらを見ている少女に、シェリーは優しく微笑みかける。 ふとそれが、かつての自分の姿だと思い出したシェリーはしゃがんで少女と目を合わせる。 「私はシェリー、あなたは?」 「……リチェル」 「じゃあリチェル、私と一緒に逃げましょう。ここは危ないわ」 「でも、パパが………」 「大丈夫、下にいるわ。私が連れてってあげる」 「……うん」 うつむき加減でしゃべる少女に、昔を思い出したシェリーは少女を優しく抱き上げる。 「じゃ、近道するからちゃんと捕まってて」 「……近道?」 シェリーはそばの窓を開けると、真下を確認、ゾンビがいない事を確認するとためらいなく飛び降りた。 「おわぁっ!?」 「隊長!?」 保護した民間人を引き連れていた第六小隊は、いきなり真上から落ちてきたシェリーに度肝を抜かれる。 「状況は!」 ビルの四階から苦もなく地面に着地したシェリーが、隊員に状況を問い質す。 「民間人8名発見!周辺に他に生存者はいない模様!」 「リチェル!」 「パパ!」 シェリーの腕に娘の姿を見つけた男性が娘へと掛けより、少女もシェリーの腕から飛び出して父親の胸へと飛び込んだ。 「ありがとうございます、ありがとうございます………」 「お礼は無事に脱出出来てから!行くわよ!」 父親を一喝しながら、シェリーが別の通りに向かおうとした時だった。 「待って!向こうは行っちゃダメ!」 「?何か見たの?」 「ライオンが、空を飛ぶライオンが襲ってくるの!」 「!リチェルもうちょっと詳しく…」 「隊長!リッカータイプ確認!」 「してる暇はないわね!」 シェリーはビルの壁面を這っている赤い体色をした異形の怪物、人間が変異した怪物リッカーへと向けて拳を構えた。 「斬ッ!」 路上で腰を抜かしている男性を襲おうとしていたゾンビの頭部が、いきなり切断されて路面へと転がり落ちる。 「オオオォォッ!」 それを確認もせず、軍用のセミオート(半自動制御)運転が可能なスマート(知性型)バイクに跨りながら双刀を振るうムサシはウェイトバランスを変化、それを機敏に感知したスマートバイクはボディ脇のアームを僅かに伸ばし、その先に付けられたサブホイールで機体を制御しながらリアをドリフト、次の目標へと襲い掛かる。 「次っ!」 その隣で、同じくスマートバイクに跨っているアニーが両手でM73を連射しまくり、二人で次々とゾンビ達を駆逐していく。 「正気か、あの二人………」 「全部ぶっ倒すなんて言ってたが、しかしこの数は…………」 彼らの後を追うようにして、装甲車とパワードスーツ隊からなる軍の最新機動部隊がゾンビ達と交戦しているが、火力も装甲もまるで違うはずの二人の方がゾンビ達を多く屠っていた。 「信じられねえ、あんな時代錯誤な武器であの戦闘力か?」 「なにせ、STARSだからな。オレらとは戦い方の質が違い過ぎる」 「弾!12番OO(ダブルオー=9mm散弾)!」 散弾を使い果たしたアニーが、ワイルダネス・ハウルを乱射しながら装甲車の隣に並びつつ叫ぶ。 「ほらよカウガール!」 装甲車から兵士が散弾を箱ごと投げると、アニーは左のワイルダネス・ハウルを素早くガンベルトに収めてそれを受け取り背中、ベストの下に備えつけた給弾ボックスへと流し込む。 ボックス内で作動音が響いて装填が済むと、アニーは空箱を投げ捨てつつ左でM73を抜いて腕を伸ばす。 スイッチが発動して袖の下にあるオートリローダーから給弾チューブが伸びてM73にセット、給弾ボックスから送られていた散弾がセットされていく。 「アニー!フォーメーション・トライデント!」 「OK!」 ムサシが叫びつつスマートバイクを横滑りさせながら前方にいたゾンビの大群に突撃、スマートバイクはゾンビ達を跳ね飛ばしながらストップ。 そこに群がろうとしていたゾンビ達をアニーの放った散弾と44口径弾が貫き、そこでムサシがフルスロットル。 双刀を構えたままスマートバイクがその場で旋回、並み居るゾンビ達を斬り裂いていく。 「よし、次はどいつだ!」 旋回を止めたムサシが次の獲物を探して通りを曲がった時だった。 「なんだこりゃ!?」 「え………っ!」 「おいおい………」 「どうなってんだよ」 曲がり角の先にあったのは、おびただしいまでの死体だった。 ゾンビに食い殺されたであろう人の物も多少有ったが、それ以外は全てゾンビだった物の屍で、恐ろしい程に特徴的な倒され方がどれにも見られた。 「他の部隊が突入したのか?」 「違う、これを見てみろ。斬り殺されている」 ムサシがスマートバイクから降りて足元にあったゾンビの死体、脳天から真っ二つにされた物を切っ先で指す。 「こっちは頭を撃ち抜かれてるわね。至近距離からたった一発、見た事のない弾痕ね………」 胴から両断された挙句にコメカミを撃ち抜かれているゾンビの死体を見てアニーが首を傾げる。 「この闘い方………レン兄ちゃん?」 「似てる、けど違う。何かが………」 「心当たりが?」 「ああ、一刀一銃の光背一刀流 改。この技を使えるのは」 「FBI最強の捜査官と呼ばれるレン・水沢ただ一人………だと思ってたでしょ?」 突然背後から聞こえた無邪気な声に、ムサシとアニーは同時に振り返る。 背後にいたはずの装甲車の上に、一人の人影が立っていた。 それは、恐ろしい程特徴的な人物だった。 全身を白地の小袖袴という目の冴えるような白一色の和装に身を包み、それに合わせたかのように頭髪も白い。 銀に近い灰色の瞳を持った男とも女とも取れぬ中性的な顔は、先程の声と同様に無邪気な笑顔が張り付いている。 そして、その腰には一振りの日本刀が有った。 「何者だ!」 「生存者、って訳じゃなさそうね………」 瞬時に臨戦体勢を取ったムサシとアニーに習い、周囲の兵達もその謎の白装束の男に銃口を向けた。 「危ないなぁ〜、まだボクは何もしてないじゃない」 「黙れ!名前とIDを言え!さもなくば、斬る!」 「物騒だね、でも名前を言う時は自分も名乗る物じゃなかったっけ?でもボクは君ら『デンジャラス・ツインズ』のムサシとアニーの名前は知ってるけど」 相手の態度に、ムサシが憤慨しそうになりつつ、間合いを詰める。 (……こいつ) (強い!) アニーも腰のワイルダネス・ハウルに手を伸ばし、いつでも抜ける姿勢を整える。 しかし、二人は同時に相手が恐らくはこの惨状を作り出した、恐ろしいまでの使い手であろう事も感じ取っていた。 「さて、どう〜しよう〜かな〜?あんまり遊んでると怒られるし」 「ふざけるな!」 装甲車から降りていた兵士の一人が、相手のふざけた態度に激昂してトリガーを引いた。 一応威嚇のつもりだったらしく、銃弾はかすりもせずに謎の白装束の人物の脇を通り過ぎていく。 「人に銃口を向けるのは相手を殺す時だけって習わなかった?」 まるで重力を無視したかのような軽い動きで白装束は装甲車から降りる。 その時には、すでに腰の刀は抜かれていた。 「……あ?」 数秒の間を持って、発砲した兵士の体から二つに分かれた銃と三つに分かれた腕が地面へと落ちた。 「う、腕!オレの腕がー!!」 「野郎!」 「止めろ!」 ムサシの警告も聞かず、周囲の兵達が一斉に発砲を開始する。 「遅いよ」 銃弾の雨を流れるような動きで掻い潜りながら、白装束は手近のパワードスーツへと間合いを詰め、右手の刀を一閃させる。 白刃はパワードスーツの肩関節の接合部を、中に有った兵士の生身の腕ごと斬り落とす。 「ギャアアアァァ!」 「フィアス曹長!」 「大丈夫、殺しはしないから」 いきなり背後から聞こえてきた声に、別の兵士が振り返ろうとした時には、すでに刃はパワードスーツの膝関節部を貫いていた。 「ウワアアァァ!」 「撃て!撃つんだ!射殺しても構わん!」 「ふ〜ん、そう来るんだ」 白装束の人物は横へと跳びながら飛び交う銃弾をかわしつつ、懐へと手を入れる。 そこから、サイズ自体は大きいが、口径がやけに小さい奇妙な拳銃を取り出すと、迷わずトリガーを引いた。 銃口から、銃弾ではなく白い閃光が飛び出し、兵士の腕や足を次々と撃ち抜いていく。 「なんだあの銃!?」 「レイ・ガン!?まだどこも開発には成功してないはず!」 次々と兵士が倒されていく中で、ムサシとアニーが二手に分かれて白装束の左右を挟む。 「HEY!」 アニーが声を掛けて注意を引きつつ、ワイルダネス・ハウルを二丁同時に 連射された都合12発の弾丸は正確に相手の頭部と心臓を狙うが、白装束は無造作に腕を上げて袖で顔を覆っただけだった。 しかし、弾丸は全て表面の布地に多少食い込み、そして弾かれて下へと落ちる。 (柔防弾繊維!) 「食らえ!」 相手の動きが鈍った隙に、ムサシが旋回しながら双刀に遠心力を乗せて上段、下段で二つの円弧を描きながら斬りつける。 必殺のはずの刃は、相手が切っ先を下にしてかざした刃で双方共にたやすく防がれてしまった。 「 「まあね」 小さく笑いながら相手がレイ・ガンをこちらに向けているのを見たムサシが刀を弾き飛ばしながら身を翻し、放たれた閃光はムサシの脇腹をかすめて背後の建物へと突き刺さる。 「まあまあかな?ちょっと物足りないけど」 「つ、強い………」 「だけど、この闘い方………」 「似てる?じゃあこういうのは?」 白装束はレイ・ガンを懐に戻し、刀を鞘に収めて身をややかがめて半身を引いて体勢を整える。 「ま、まさか?」 「行くよ」 それが見覚えのある体勢だと悟ったムサシとアニーが、相手の宣言と共に柄に手を触れた瞬間、その場に伏せる。 その場を、甲高い音が響き渡る。 残響が消えた所で、ムサシはいつの間にか閉じていた目を開け、自分の状態を確かめる。 どこも斬られていない事を確かめて顔を上げ、そこにあった光景に驚愕した。 「どう?」 「あ、ああ………」 アニーが、得意げに笑いながら刀を鞘に収める白装束と、その前でフロント部分のみが直線を境にずれている装甲車を見て絶句した。 数秒の間を持って、一撃で両断されていたフロント部分が路面へと落ちて鈍い音を響かせる。 「光背一刀流、《閃光斬》…………」 「なぜあなたがその技を!?」 「それは……」 二人の驚愕を楽しそうに見ている白装束が、ふとそこで聞こえてきた声にそちらを向いた。 「おっと、遊び過ぎちゃったみたいだね」 「あ……」 「ちっ、いつの間に!」 通りの向こう側から、怨嗟とも苦悶とも分からぬ声と共に無数のゾンビ達がこちらへと近寄り始めていた。 「ボクはまだ用があるからね、あとは君達に任せるよ」 「待ちやがれ!一体お前は何者だ!?」 「ああ、そういえば自己紹介がまだだったね。ボクの名前はジン。刃という漢字でジンだよ。じゃあまた」 「待ちなさい!」 重力を無視したような軽やかな動きで驚異的な跳躍をして、白装束=ジンはその場を立ち去ろうとする。 アニーが声をかけつつシリンダーを交換したワイルダネス・ハウルを向けようとした時、ジンの背に傘を意匠化したエンブレムがあるのに気付いた。 「あ、アンブレラ!」 「馬鹿な!アンブレラはオヤジと隊長達が潰したはずだ!」 「それが、なぜ?」 「後にしとこうぜアニー、お客さんだ」 すでに姿が小さくなっているジンから、周囲へとアニーは視線を移す。 怨嗟の声はすぐ間近まで迫ってきていた。 姿を表し始めたゾンビ達と、戦闘不能になってただ恐怖の表情でそれを見てる兵士達を守るように立ちながら二人はそれぞれの獲物を握り締める。 「こちらアニー、先程まで謎の人物と交戦、同行していた軍機動部隊は全員戦闘不能。救援をお願いします」 『全員!?何があった!?30、いや20分だけ持たせろ!すぐに向かう!』 「了解!」 インカムへ力強く返答しながら、ムサシは双刀を持ってゾンビ達へ突撃し、アニーは先頭のゾンビの額に狙いを定めてトリガーを引いた。 感想、その他あればお願いします |
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