第一章・平和な時間


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第一章・平和な時間


あと数日後に開かれる学園祭に向けて、ラクーン大学の学生達はその準備に追われていた。特に、学祭のオープニングのメインである演劇を行う演劇部では昼夜に渡って練習が行われていた。

「この台詞はもっと強調していった方が良くないか?」
「そうだな・・・おい!そこさぼるな!」
「お〜い。注文してた衣装届いたから各自サイズチェックしてくれ」

などといった演劇部員達の喧騒の中にあって唯一マイペースを維持し続けている人物がいた。

「お〜い。アディス、この前頼んどいた小道具できたか?」
「あ〜あれね、もう少しでできそうな予感」

部員の目が細まる。

「おまえな!少しは慌てるという事を知れ!」
「そんなにどなるなよジャック〜。これでも慌ててるんだからさ〜」

まったく慌てている様子を見せない口調に肩をがっくりさせながら

「・・・おまえのどこが慌てているというのだ?」
「ん〜わかんない」

そんなやり取りを見ていた女性部員がたまらずに会話に入っていった。

「アディスはいっつもこんな調子なんだから何を言っても無駄だって」
「あ、ネイシー。今日も綺麗だね」
「ありがとう。でもアディス、ジャックの言うとおりもう少し慌てて欲しいわね」

さすがに不利と感じたためか

「はーい。今後は気をつけまーす。」
『わかればよろしい!』

ネイシーとジャックの声が重なり笑っていたところに

「笑ってる暇があったら作業しろ〜!」

思わず肩をすくめながらもその怒鳴り声を合図にして三人はおのおのの作業に戻っていった。

それからは時間があっという間に流れ、気がつけば外は夕方から夜に変わろうとしていた。

「よーし、今日の作業はここまで!明日も朝九時からやるから遅れることがないようにな!」

『はーい!』

「よし!解散!」

その合図とともにみなさっさと帰路についていった。

「アディス!一緒に帰ろうぜ。」
「いいよ」

ジャックは次にネイシーに向かって。

「ネイシーも一緒に帰らないか?」
「ごめーん!私残って作らないといけない小道具があるから。悪いんだけど先に帰ってて」
「そうか・・・がんばれよ!」
「余り無茶したらだめだよ〜」
「わかってるって!バイバーイ」

ネイシーと別れたあと、二人は町の中をブラブラしていたが、やがてジャックが突然思いがけない事を提案した。

「なぁアディス。今日お前の家に泊まっていいか?」

突然の提案に少し戸惑いながらも

「まぁ別にいいけど・・・なんでまた急に?」

「実は今親が二人とも出張中で家には俺一人しかいなくてさ」
「なるほどねぇ〜。じゃあ酒とか準備して待ってるから」
「分かった。俺も荷物おいたらすぐに行くよ」

そこで二人は別れた。アディスは途中でコンビニによって適当に酒とスナック菓子を買っていき家についてからはもっぱら部屋の簡単な掃除をするなどしてジャックが来るのを待った。その約十分後にジャックが来た。

「おじゃましまーす」
「どうぞー」

「しかし、いつ来てもすごいうらやましく思うよ、お前のこと」

それはなぜかというと、アディスはなぜかラクーンシティーのメイン通りから少しはずれの住宅地に地下一階地上二階建ての一軒家に住んでいるからである。

「そうかな〜」
「お前ぐらいだぞ学生で一戸建てに一人暮らしだなんて」
「まぁいいじゃんそんなこと!」
「そうだな・・・さあ飲むか!」

その後、会話したりゲームをしたりしながら二人は夜を過ごしていった。

その時、アディスは不覚にも気ずかなかった。自分のパソコンの警報システムの赤いランプが点いていることに・・・・





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