第二章・恐怖の始まり


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第二章・恐怖の始まり


 アディスはいつもの日課であったパソコンのメールと、ある警報システムのチェックがまだ済んでいないことに気ずき、自分の不覚さを呪いつつ、急いでパソコンを立ち上げた。そして、警報装置の示している内容に愕然とした。

「そ、そんな・・・くそ!」

そして、自分を罵りつつ居間で寝ていたジャックをたたき起こした。

「ジャック起きろ!ジャック!」
「な、なんだよ!急に・・・ん?げ!もう八時半じゃん!急がないと遅刻しちまう!」
「そんなことはどうでもいい!早くこの町から出るぞ!」

普段からは想像もできないアディスの慌てぶりに、ジャックは混乱した。

「ちょ、ちょっと待てよ!町から出るってどういうことだよ?」
「ラクーンで何か事故がおきた。しかも、自分達の命を脅かすほどのやつがな。」

あまりの突拍子のない話に、さらに混乱した。

「ま、待てよ!なんでお前がそんなこと知ってんだよ!」
「これだよ」

アディスはパソコンを指差して言った。

「このパソコンには警察や企業などのありとあらゆるパソコンから情報を収集し、万が一自分の生命に関わるような情報だった時は即座に知らせる警報システムがある。」

そこで一呼吸置いた後。

「そして今そのシステムはこのラクーンで異常があったことを示している。」
「そ、そんなシステムどこから・・・。」

アディスが答えようとした時、いきなり外から悲鳴が上がった。そして、玄関から外に出た時、二人は驚愕した。

人が人を食べてる・・・

余りの信じられない光景に恐怖しつつも、なんとか冷静さを取り戻し、

「とにかく家の中に戻ろう。早く!」
「お、おう!」

その声に気付いたのか、今まで食べるのに集中していたそいつが振り返った。その顔を見てジャックはひどい吐き気をもよおした。
その顔は皮膚がゲル状になっており、顎の骨はむき出しになり、その口からは唾液と血をだらしなく垂れていた。そして、うなり声ともいえる声を出しながら両手を伸ばしゆっくりとした足取りでこちらに向かってきた。

「うわぁあー!」

ジャックは叫び声をあげながら全速力で家に入った後扉を閉め鍵をかけた。

「な、なんなんだあれは!ひ、人が人を・・・。」
「落ち着け。慌てても状況は良くならない。」
「夢なら覚めてくれ・・・」
「夢じゃない、現実を見るんだ。」
「ゾンビか?あれは」
「簡単に言えばそうなるな」

そこでようやく冷静さを取り戻した二人は、町からどうやって脱出するか考えることにした。

「とりあえず、メインストリートを避けて、比較的安全そうな路地裏を抜けていこう。」
「その場合の出口までの最短ルートは?」
「ここからだと商店街の所を抜けて警察署の前を通るルートだけど最低でも20キロは歩かないといかんな」
「でもそれしか道はない。それで行こう。」
「OK。じゃあ装備を整えて出発だ。幸い、俺達二人とも銃好きで扱いにはなれてるし」

実は二人とも重度の銃好きで、よく二人で射撃場に行っているのである。
そこでジャックは疑問が浮かんだ。

「?装備って?てか銃が置いてあるとこ見たこと無いぞ。」
「大丈夫だよ。ついてきて」

そして、アディスはジャックを地下の左端の壁際まで連れて行った。

「おい・・・壁しかないぞ」
「まあ見てろって」

そう言うとアディスはおもむろに壁の一部に手を置いた。すると、その部分が少し沈み横にスライドして行き、そこからテンキーが現れ、四桁の数字を入れると壁が下に沈んで行き、目の前にはざっと見数十種類の銃器の他に、ナイフや手榴弾などがところせましと並んでいた。

「どうやって集めた?」
「秘密。とりあえず自分の好きなの選べ・・」
そこでなぜか言葉を切り

「あ・・・言うまでもないか」
「言うまでもないさ」

そういうとジャックは迷わずM4A1を取り、予備の銃としてベレッタM92Fとグロック19を取り、他に手榴弾を持てるだけもち、予備弾薬を山のように持っていき、両手にはメリケンサック内蔵のグローブをはめ、下着の上に防弾チョッキを、さらに服の上から多機能ベストを羽織り、マガジンポーチにそれぞれの弾の入ったマガジンをを入れ、余った物は手榴弾と一緒にリュックに放り込んだ。それを見ていたアディスは思わず。

「相変わらずM4にはまってるんだな」
「いいだろ別に、扱いやすいんだから」

「まあいいけどね。」

そういうとアディスは自分用にカスタムしたP90を取り、予備としてイングラムを二丁と予備弾薬をこれまた山のように取り、ジャックと同じグローブと防弾チョッキにベストを装備した。さらに、それに加えて棚から木箱に保管されていた一振りの日本刀を取り出し、ベルトに挟む形で固定した。

「それは?」
「自分で作った日本刀で名は「蛍雪」という。」
「意味かなにかはあるのか?」
「いつでも蛍の光ほどの希望はあると言う意味だと思ってくれ」
「こんな状況でもか?」
「こんな状況だからこそだ。では、行くか。希望を持って。」
「おう!」

そう言った直後に、上からドアの破られる音がし、おびただしい数のうなり声とともにゾンビが入ってきた。

それを合図に、生死をかけた長い戦いの火蓋が切って落とされた。






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