第四章・救出


BIOHAZARD
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第四章・救出


大学に行く途中何度かゾンビの襲撃を受けながらも、二人は無事大学に着くことが出来た。

「ふぅ、やっと着いたな」

二人は大学の正面玄関の前に立っていた。

「ここからだと、奥にある取っ手のないドアを通って裏に出て行った方が近いな」
「そうだな、ドアは壊せばいいし」

そういうと二人はドアを開け大学の中に入っていった。中はホールになっており正面には階段と受付がある。

「さてとい・・・」

ジャックが何かを言いかけたとき、突然右手のドアが開いた。

「誰だ!」
「落ち着け!俺達はゾンビじゃない!」

そこには、銀色の髪で迷彩服を着、手にはスナイパーライフルが握られ、銃口はこちらを向いていたが、ゾンビじゃないことを確認すると銃口をそらした。

「すまなかった。てっきりゾンビかと思ってな。
「あんたは?」
「私はアンブレラの私設部隊UBCSの隊員でニコライという者だ。」
「俺はアディス。こっちは、ジャックだ。」
「よろしく。」
「ん?アディス?・・・どこかで聞いた名だな・・・」
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない。君達は何をしにここに?」
「友達がここの演劇部の部室に隠れてるからと連絡があったんです。」
「そうだったのか。では、私も着いて行こうか?その友達を見つけるまででいいなら。」
「本当ですか?お願いします。」

こうして、アディスとジャックはニコライという兵士と共に、ネイシーを探すことになった。

奥の壊れたドアを蹴破り、通路に出て進みだした直後コツコツと言う音が聞こえ、三人は動きを止めた。

「何の音だ?」

その音は廊下の奥の曲がり角の向こうからしていた。そして、その音の主が姿を現した。
それは体長二メートルはある巨大なクモであった。

「なに食ったらあんなに大きくなるんだ?」
「知らん」

その直後クモがものすごい勢いでこちらに向かって来た。
アディスとジャックが慌てて撃ったが、ほとんど当たらず、床に弾を撃ち込む形になった。
その時、なにもせずにいたニコライがおもむろに引き金を引いた。

「ギシャーーーー!」

弾は見事クモの額部分に命中し、クモはひっくり返りしばらく痙攣した後、動かなくなった。

「助かりました」
「なに、どおってことはないさ。落ち着いてやればこんな奴はすぐに倒せる。」

三人はそのまま奥の扉まで進み、そこから大学裏の駐車場に出た。
その時、車の陰から三体ほどのゾンビが出てきた。とっさに銃を向け、撃とうとしたが、ゾンビの顔を見てジャックとアディスは絶句した。

「そ、そんな!キース・・・キャシー。それに、ケネス先生まで!」

そこには、同じ演劇部の部員だった二人と、顧問のゾンビが立っていた。

「く、来るな!来ないでくれ!」

ジャックの願いは空しく、三人は腕を伸ばしながらこちらに向かってきた。

「三人とも、あの世で仲良くやっていてくれ」

そういうと、アディスは三人の額に一発ずつ弾を撃ち込み、息の根を止めた。

「ジャック、これでいいんだ。俺達はまだ死ぬわけには行かない」
「そうだな。三人ともあの世でまた会おうぜ」
「さて、二人とも行こうか。助けを待ってる友人の元に」
「はい!」

二人は同時に返事をし、三人は右手にある体育館へ向かった。

「ここか?」
「そうです」
「俺が中の安全を確認するから少し待て」

そう言うとニコライは扉を開け、中の様子を見た。

「大丈夫だ。入っていいぞ。」

それを合図に、二人は中に入った。その時、左手にある二階の演劇部の部室に繋がる階段の上から悲鳴が聞こえた。

「いやーー!来ないでー!」
「ネイシーの声だ!」
「急ごう!」

そして三人が階段を上ろうとした時、掛け声と共にものすごい音がした。

「こっのー!バシン!バシン!バシン!バシン!バッシーン!」

驚いた三人は思わず歩くのを止めてしまった。

「なんなんだ?」
「ネイシーのやつシンバルでゾンビと戦ってるのか?」
「わからん」

三人は驚きながらも、慎重に階段をあがって行き、部室の前に着いた。

「ネイシー無事か?」
「ア、アディスなの!」
「そうだよ。今入るからね。」

そう言ってアディスは扉を開けた。そこにはネイシーと顔がなぜかグシャグシャになっている一体のゾンビの死体があった。それを見たアディスは思わず。

「ネイシーこれどうやって倒したの?」
「え?あーこれ?これで何度かひっぱたいたら倒せたの。」

そう言うと、ネイシーは手に持っている物を三人に見せた。

「え?」
「冗談だろ?」
「すばらしい武器だな」

三人が驚くのも無理は無かった。なぜなら、そのゾンビを倒した武器と言うのが鉄で出来たハリセンだったからである。

「なんでそんなの持って・・・あ、もしかして昨日ここで居残って作ってたのって・・・」
「そう、これのこと」
「なにに使う気だったの?」
「アディスがまたのんびりしてたらこいつでひっぱたいて無理やり作業効率上げさせようと思ってね」

アディスはこの時、バイオハザードが起きたことに少し感謝していた。
その様子を見ていたニコライが突然話し出した。

「無事に友達は見つけれた様だから私はもう行こう。まだしなければならない任務があるんでな」
「ありがとうございました」
「礼には及ばん。そうだ、この町から脱出するならここから西に五キロほど行った所にあるアンブレラビルの屋上で信号弾を上げるといい。それを合図にヘリが迎えに来る手はずになっている」
「わかりました」
「気をつけてな」
「そちらもお気をつけて」

そしてニコライは去っていった。

「今更だけどあの人誰だったの?」
「UBCSっていうアンブレラの私設部隊の人でニコライという人なんだ。ここに着いた時にたまたまであったんだ」
「そうなんだ」
「ジャック、残弾はどれくらいある?」
「えーと、M4が今入ってるの抜いて予備のマガジンが二本、九ミリパラがまだ五十発ある。そっちは?」
「P90が装填分を抜いて予備が四本、イングラムの弾は大体一丁百発ずつくらいある」
「あ、すまん。手榴弾がまだ九個ある」
「なんとかなりそうだな」
「そうだな。じゃあ行くか」
「うん!」
「おう!」

三人はこの地獄から脱出するための一歩を今踏み出した。
アディス達と別れたニコライは、必死にある事を思い出そうとしていた。

「アディス・・・アディス・・・どこかで聞いたんだが・・・」

その時、胸の通信機が鳴った。

「私だ。そうか見つかったか。では、作戦通り駐車場に誘き出すんだ。そうだ、くれぐれも慎重にな」

考えを頭の隅に追いやり、二コライは任務に集中することにした。
彼が思い出したのは、任務終了後だった。






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