BIOHAZARD
TemptFate

第十二章 決着の刻 前編



クリス達は一旦遊戯室に退避し、これまでに起きたことすべてをメンバーに話した。

「ネイシーが・・・そんな・・・」

クレアは目に涙を浮かべながら崩れ落ちた。
他のメンバーも同様に目に涙が浮かんでおり、シェリーはクレアに抱きついたまま泣きじゃくっていた。

「今は悲しんでいる時ではない、ネイシーのためにも生き残らなければならない」

クリスは自分に言い聞かせるように言った。

「そうだな・・・」
「ネイシーの弔い合戦だ」

ジャックとレオンに続き、カルロスやシーバス達も涙を拭いながら決意を決めた。
クリス達は早速作戦会議を開始した、しかし皆の胸の中にはネイシーがいないことによる一抹の不安が拭いきれないでいた。



ウェスカー達はクリス達が態勢を立て直す前に決着をつける為に重装備の兵士三人を前衛にして警戒を全くせずにホールを目指して突き進んでいる。
前衛の三人は奇襲されることを恐れていないようにどんどん進んでいった。
曲がり角ではさすがに警戒するが、それ以外は警戒も何もせずひたすらホールへと向かっていった。
そして、何事もなくホールに着くとウェスカーはホールを中心に探すことを指示した。

そこで、兵士二人とハンターが二階を、残りの兵士とウェスカーとエイダは一階ホールにある部屋を調べはじめた。
二階に着いた三人は左端の部屋から順番に調べていった。
最初二部屋には誰もいなかった。
そして、三人は遊戯室の前に立った。
ハンターが扉を開けようとしたが、カギがかかっているのか開かなかった。
ハンターは素早くかつ必要なことだけ兵士に伝えた。

「お前が扉を開けて中に飛び込み周囲を警戒し、俺とこいつで扉付近から援護する、いいな?」
「リョウカイ」
「ワカリマシタ」

兵士が扉の前に立ち、残りの二人は扉の左右に銃を構えて待機した。

「行け」

合図とともに扉を蹴破って一人が中に突入して素早く周囲を見回し、扉付近の二人も部屋の左右を確認した。
部屋には人影はなく、机の上に機能を停止しているパソコンが一台置いてあるのみであった。
ここにはいないか・・・
そう判断して出て行こうとした瞬間。
屋根裏に隠れていたジャック、床に設けられた隠しスペースに隠れていたカルロスが同時に部屋にいた兵士に掃射を行った。
兵士は反応する間もなく体に何十発もの弾丸を受けてその場に倒れた。

「な!」

ハンターは驚きつつも天井のジャックに銃を向けるが、素早く天井に隠れられたため撃つに撃てず、兵士の方も同様に撃てずにいた。
さらに、一階からも銃声が響いていた。

「くそ!」

悪態をつきながら腰の無線機をとって連絡を入れようとした。
ところが・・・
バギャン!

「うわっ!」

突然無線機が撃たれて吹き飛んだ。
さらに、隣にいた兵士が撃たれた方向を見ようとした瞬間、真上から指切り短連射によって頭に弾丸を叩き込まれ、頭が消し飛んで死亡した。

「フリーズ!」

どこにいたのか、レベッカがハンターに銃を向けていた。

「動くなよ」

床からはい出してきたカルロスがレベッカ同様に銃を向けた。
ハンターは両腕を上げて投降の意を示した。
そこに、ジャックが天井から降りてきてボディーチェックを行い、武器をすべて取り上げた。
そして、無線機を狙撃したレオンが向かいの廊下からジャック達の方に来た。

「うまくいったな」
「早くこいつを拘束して一階に行こう」

ジャックはそういうと手際よくハンターを拘束していった。
そして、両手を塞いだところでハンターのマスクを取り外した。

「!ビ・ビリー?」
「久しぶりだな、レベッカ」

顔見知りということに唖然とするジャック達と突然の再会に驚くレベッカ。

「知り合いか?」

レオンの質問にレベッカは素直に答えた。

「私がスペンサー館に行く途中、マーカスというアンブレラ幹部養成所の所長の引き起こしたバイオハザードに巻き込まれたときに助けてくれた人なの」
「懐かしいな」

ビリーは遠くを見つめるようにその時のことを思い出していた・・・



一方、一階の食堂でも激しい攻防が行われていた。
厨房からの銃撃と入口からの銃撃が交差して凄まじい数の弾丸が飛び交っていた。

「らちがあかない・・・手榴弾!」

ウェスカーは手榴弾を二個投げいれると身を隠した。
直後凄まじい爆音が響くと同時に爆風が中から噴き出してきた。
煙が晴れるのを待って中を確認した。
厨房部分はガスに引火したのか跡形もなく吹き飛んでいた。

「やったか?」
「一応確認させましょう」

エイダの指示により、重武装の兵士が中に入って行った。
慎重に厨房のあった位置へと近づいていく兵士。

「!テキガイマセン!」
「なに!」

次の瞬間、大量の弾丸が兵士を襲った。
床の隠しスペースに隠れていた、クリス・ジル・バリー・アークが一斉に掃射したのである。
四人は急いで食堂入り口に銃口を向けるが、相手は既に姿を隠していた。

「クソ!」

クリスは悪態をつくと他の三人同様また、隠しスペースへと身を隠した。

「まさかあんな仕掛けがあるとは・・・」
「STARSの連中も中々の仕掛け好きですね」

ウェスカーはハンター改めビリーを呼び出すために腰に掛けていた無線機を取り出した。

「こちらウェスカー応答願う」
『・・・・』
「こちらウェスカー!ハンター!」
『・・・』
「やられたみたいですね・・・」

ウェスカーは少しの間思案すると・・・

「撤退する」
「了解」

ウェスカーとエイダはすぐに退避行動へと移った。
その直後食堂の方から再び銃撃が二人を襲った。
二人は即座に壁に隠れたが、分断されてしまった。
さらに、中央階段のほうからも銃声に交じって足音が聞こえてきた。

「エイダ!発動させるぞ!」
「了解!集合ポイントはZRですね!」
「そうだ!」

ウェスカーとエイダはすぐに近くのドアに駆け込んで退却を開始した。
だが、ウェスカーはポーチにしまっていたスイッチを押しながら退避した。
エイダは食堂のドアの右方向にある自分たちの侵入してきた通路を使い、ウェスカーは全速力で正面玄関に向かった。
ウェスカーは途中中央階段にいたジャックたちに牽制攻撃を掛けながらドアを突き破る勢いで脱出した。

「うお!」
「くっ!」
「クソが!」

ウェスカーの突然の攻撃に驚きながらも持ち前の反射神経で攻撃をよける三人。
すぐに起き上がって攻撃を仕掛けようとするが、ウェスカーはすでに逃亡した後だった。

「クソッ!」

ジャックは悔しそうに地団駄を踏んだ。
三人がクリス達と合流しようと再び動き出したとき・・・

「キャーーーーー!」

二階からレベッカの悲鳴が聞こえてきた。

『!!!』

三人は急いでレベッカの元へ向かった。
レベッカは尻もちを付いており、ビリーは驚きの表情を浮かべていた。

「どうし・・・た・・・」

ジャックは二人の視線の先にあるものを見て驚愕した。
そこには、ジャックによって頭を粉々に撃ち壊された兵士が立っていた。

「うそだろ・・・」

カルロスも驚いていた。
兵士は五人の前でさらなる変化を遂げた。
筋肉が内側から膨れ上がって服やアーマーを弾き飛ばし、傷が全て治癒していた。
頭が吹き飛んでいた兵士には新たな頭が形成されていたが、顔と呼べるものはなく粘土を円柱にしたような形をしていた。
そして、今までになかった威圧感と殺気がジャックたちを硬直させた。
下からもクリス達の怒号が響いてきていた。
ジャック達の前の一体と部屋の中で倒れていた一体の合計二体が五人に襲いかかってきた。
が・・・・
兵士はビリー以外の四人からの総攻撃で吹き飛んでいった。

「あっけなかったな」

レオンはそう呟きながら兵士の生死を確認しに向かった。
距離が一メートルをきったあたりで兵士が再び起きあがり、近かった兵士がレオンめがけて拳を振り下ろした。

「くっ!」

レオンはバックステップで攻撃を避けると、ジャック達の所まで後退した。

「ビリー・・・あれは?」

レベッカの質問にビリーは意外にも素直に答えた。

「奴らは最近開発されたBOWで名を“サクリファイス”という、Tによる知力低下を脳に極小のICチップを埋め込むことで問題を解決させている」

要点を早口で伝えた。
サクリファイス・・・生贄という名のBOWは五人に向かうと思いきや廊下で倒れていた側のサクロファイスが突然遊戯室から出てきた方を襲い始めた。
突然の行動に驚くメンバー。

「奴らの特徴は損傷のひどい仲間を捕食することで自分の能力を高めるところだ」
「サクリファイス・・・生贄とはよく言ったものだ・・・」

物の数十秒で仲間を食いつくしたサクリファイスは腕を刃物のように変化させると勢いよく突進してきた。

「散れ!」

レオンがそう叫ぶが、いかんせん狭い通路での戦いだったため上手く散開できず、カルロスとジャックはすぐ傍にあった物置の中に、レオン・レベッカ・ビリーは急いで後方に飛びのいた。
直後、五人のいた場所に振り下ろされた腕が直撃し、床を粉砕した。
ビリー以外のメンバーはすぐさま手持ちの銃で攻撃を開始するが・・・
サクリファイスは攻撃を受ける寸前になんと体の体組織を変化させて皮膚を硬質化して銃弾を防いだ。
しかし、ジャックの強装炸裂弾までは防げず傷を負うが、すぐさま蘇生してしまった。

「マジかよ・・・」

四人に不安がよぎるが、それを解消させたのは意外にも敵であたったビリーの一言であった。

「奴らは脳内のICチップによって体中に埋め込まれたナノマシンを制御して戦闘に応じた体質に自らの体を作り変える能力を持っている」
「つまり、頭を破壊すれば奴らは死ぬと?」
「そういうことだ」

カルロスの質問に素直に答えるビリー。
全員がいざ、攻撃しようと銃を構えた時、サクリファイスにある変化が起きた。
それは、サクリファイスの頭部が徐々に硬化していき、最終的には完全な金属となった頭部が出現した。

『ゲ・・・』

ビリーを含めた全員がうめき声をあげた。

「まずいなぁ」
「というか・・・お前今『げ』っていわなかったか?」

全員が胡乱な目でビリーを見る。

「・・・気にするな」

五人は視線をサクリファイスに戻すと、どう倒すか考え始めた。
直後、サクリファイスが猛スピードで突進してきた。
五人は急いで散開すると、ビリーとレベッカは近くにあった客室に、他の三人は階段付近まで移動した。
サクリファイスは余裕なのかゆったりと歩きながら移動を開始した。

「くそ〜」
「皮膚を鉄に帰るって・・・どこの変身人間だよ・・・」
「とにかく攻撃してみよう」

そういうと、レオン、ジャック、カルロスは相手の頭めがけて攻撃を開始した。
しかし、カルロスやジャックの5.56mm弾はもちろんレオンの50AE弾ですら、サクリファイスの頭を破壊するには威力が足りなかった。
弾はすべてむなしく弾かれてしまっていた。

「最悪だ・・・」

すると、サクリファイスは何やら腕をカルロスたちに向けたので三人は目を凝らしてみると、なんとサクリファイスの腕が突如ボウガンに変化した。
直後、そこから生体金属製の矢が次々と飛んできた。

『マジかよ!』

カルロスとジャックの声が見事に重なる。
三人は慌ててその場に伏せる。
レオンの髪を数本吹き飛ばしながら矢は直進して壁に突き刺さった。
三人は匍匐しながら別れると、ばらばらの位置に着いたのち一斉に立ち上がって攻撃を開始した。
サクリファイスも負けじと両手をボウガンにして応戦する。

「くそっ!らちが明かない!」
「レベッカはどうした!」
「そういやあの客室に・・・あ!あの客室は確か!」

ジャックがそう叫んだと同時に客室から手錠の外された状態のビリーが出てきた。
しかも、その手には・・・

『バレット!!』

バレットM82・・・12.7mm弾を使用する化け物銃で、一応スナイパーライフルの分類に入る。この銃の威力は凄まじく、装甲車でさえも破壊することのできる化け物銃である。決して人に向けて撃つような代物ではない。
六角柱に円柱をくっつけた様な形をしている。

「喰らえ!」

ビリーは情け容赦なくバレットをサクリファイスに向けて発射した。
発射された12.7mm弾は回避行動を起こしたサクリファイスの右腕を吹き飛ばしたのち、壁を貫通して外に飛び出していった。
これが、町中であれば確実に誰かに当たっていたであろう。

「うわっ!」

ビリーはさすがに反動に耐えられず、その場に尻もちをついてしまった。
ふく射で撃つべきものを立って撃ったのだから当然の結果である。
サクリファイスは、右腕を瞬時に回復させると、すぐにビリーをターゲットにするが・・・

「甘いわね」

すると今度はレベッカがさらにとんでもないものを持って登場した。

『げぇ!FFV!』

FFV M2・・・スウェーデン製のバズーカ砲で、一般人のような熟練度の低い兵士でも簡単に使えるように設計されているバズーカ砲である。ちなみに、スウェーデン製の武器はどれもが一般人でも使えるような設計になっているため、「一家に一台」的な乗りで重火器などが結構身近な存在になっているといわれている。ちなみに、形はまさに漫画に出てくるような丸い筒の形をしたバズーカである。
レベッカもまた容赦なくFFVを発射。
部屋にすぐ隠れたレベッカや離れていたカルロス達はともかくとして、近くにいたビリーは慌てて頭を腕で多いながら伏せた。
わずか六メートルほどの距離しか離れていないサクリファイスに84mm弾が直撃し、サクリファイスは粉々になって吹き飛んでいった。
ビリーの頭上を熱風と爆風が通り過ぎて行った。

「大丈夫?」

レベッカがビリーに手を貸した。
ビリーは顔面を蒼白にしながら手をとった。

「俺を殺す気か?なぁ殺す気だったろ?」

ビリーのすぐ横にはサクリファイスの硬質化した皮膚の破片が突き刺さっていた。

「ごめんなさい。カルロス達大丈夫!」
「なんとか・・・」

五人は再び合流するとクリス達の応援に向かうべく階段を降りて行った。
しかし、五人は気付いていなかった。
サクリファイスの破片が一か所に集まり始めていることに・・・







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