BIOHAZARD
TemptFate

第一章 新たなる出会い


ニューヨークの喧騒の中をサングラスをかけた一人の若者が歩いていた。
彼は青い髪をしており、背が高く顔立ちが整っていて、さながらモデルのようであった。
彼は少ない休暇を利用してニューヨークの街中をのんびりとした足取りで散歩をしていた。

「こんなにのんびりできたのは久々だな・・・」

彼は信号待ちをしながらそう呟いた。
信号が赤から青に変わり、彼は他の大勢の人たちと歩き始めた。
その時、彼をひどい頭痛が襲い、彼は思わず膝を着き痛みを必死に耐えていた。

「くそ、またか・・・」

その時、3台のパトカーに追いかけられている一台の暴走車が彼のいる場所を通過しようとしていた。
大勢の人がその車を避けるために先に進んだり、もと来た道を戻っていくさなか、彼はますますひどくなる頭痛のせいで動く事が出来ずにいた。
彼が轢かれる直前、一人の若者が道路に飛び出し、彼を抱えるようにして反対側の歩道に向かって飛んだ。
その直後、二人のすぐ後ろを暴走車とパトカーが猛スピードで通過していった。

「大丈夫ですか?」

青年は落ちていたサングラスを急いで拾ってかけ直すと

「ええ、大丈夫です。おかげで助かりました」

そう言って立ち上がり、助けてくれた若者にお礼を言った。
周りからは拍手と歓声があがっていた。
二人はそそくさとその場を後にした。

「病院に行かなくて大丈夫なんですか?」
「ええ。特に怪我はしていないし、さっきまで続いていた頭痛も治りましたから」
「そうですか。しかし災難でしたね」
「まったくです。あ、自己紹介がまだでしたね。私の名前は、ディアス。ディアス・ロッタースです。よろしく」

「私はレオン。レオン・S・ケネディ。よろしく」

その名を聞いたディアスの顔に少しの緊張が見られたが、それもすぐになくなっていた。


「レオンさんというのですか。もし、機会があればこの貸しは必ずお返ししますね」
「そんなに気を使わなくてもいいですよ」
「そうですか。では、私はこれで失礼します」
「そうですか、お気をつけて」
「ありがとう」

そう言って、ディアスはレオンと別れた。
ディアスと別れてすぐに、レオンの携帯から着信音がなった。
通話ボタンを押すと、携帯から若い女性の声が聞こえてきた。

「レオン」
「クレアか。どうした?」
「レオン。今すぐこっちにきて」

クレアのただならぬ様子にレオンに緊張が走る。

「何があった?」
「アンブレラの秘密研究所の場所が新たに発覚したの」
「それで?」
「クリス達と今から作戦会議を開くから、あなたもすぐに戻ってきて」
「分かった。すぐ行く」

レオンはそう言うと携帯を仕舞いながらアジトへ向けて走り出した。
レオンと別れた後すぐに、ディアスの携帯にも着信があった。
ディアスは胸ポケットから携帯を取り出すと、通話ボタンを押した。
携帯から、同年代と思われる若者の声がした。

『ディアスか?』
「キースか。どうかしたのか?」
『本部からさっき連絡があって、「至急戻れ」だそうだ』
「マジかよ・・・せっかくの休暇なのに・・・。」
『そう言うなって。とにかく、指示通り戻ろう』
「分かった。俺もすぐにそっちに行くから駐車場で待ち合わせよう」
『分かった』

ディアスは携帯を切り、ポケットにしまいながら手じかなタクシーを捕まえると、運転手に目的地を告げた。
目的地に向かうタクシーの中でディアスは誰にも聞こえないような声で呟いた。

「まさかSTARSのメンバーの一人に助けられるとわな・・・」

この出会いが後に生み出す結果を二人が知る由も無かった。






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