BIOHAZARD
TemptFate

第二章 合流


レオン達STARSのアジトは町外れにあるアパートで、そこを偽名で三部屋借りて臨時のアジトとなっている。
アジトに戻ったレオンはすぐに仲間のいる303号室へ向かった。
居間にはクリスにバリーにクレアの三人の他に、もう二人いた。

「よぉレオン。久々の散歩はどうだった?」
「中々だったよ。ジャックこそちゃんとおとなしくしてたか?」

そこでもう一人の今度はクレアと同世代の女の子が口を開いた。

「『俺も外いきてー』って、騒いでたわ。ずっと」
「ネイシーも言ってたじゃん!」
「ジャックほどじゃないわ」

この二人もレオンとクレア同様に、ラクーンから自力で脱出した数少ない人間である。

「世間話はそこまでにして作戦会議に移ろう」

クリスが言った。

「わかった」

それを合図にして作戦会議が始まった。

「新たな研究所がロッキー山脈の麓にあることがジル達の調査でつい先程判明した。今回の研究所は今までの中で一番の警備が敷かれていることから相当重要な研究をしている事が予想される」
「だから今回は少数精鋭で潜入任務を行う」

クリスとバリーが交互に説明を行っていった。

「決行はいつ?」

ネイシーの質問にクリスが答えた。

「合流した三日後だ」
「メンバーは?」
「ジル達と合流した時に伝える」

その時、電話が鳴った。

「もしもし?ジルかどうした」

『研究所で開発されているのは、どうやらT、G両方に効果のある万能ワクチンの開発と研究が行われているらしいの』
「本当か!」
『間違いないわ。シーバスが研究所のパソコンから直接引き出したものだから』
「わかった。こちらも準備が出来次第そちらに向かうから、合流するまで引き続き調査を続行してくれ」
『わかったわ』

会話が終了し、受話器を置いたクリスが口を開いた。

「今回の研究所は、T・Gに効く万能ワクチンの開発部署だそうだ」
「本当か!なら急いで合流して研究所に行こう!」
「よし。では各自装備を整えて三十分後に出発だ」
『了解!』

会議の後、各々が準備に取り掛かった。
部屋はそれぞれ二人づづ割り当てられていた。

「今のところのメンバーの予定は?」

バリーがクリスに聞いた。

「会議では言わなかったが今のところ今から合流する三人とここにいるレオン、ジャック、ネイシー、そして俺の七人で潜入するつもりだ」

「俺とクレアは?」
「脱出する際の脱出路の確保をしてもらいたい」
「わかった」
「この作戦、成功させような」
「ああ。もちろんだ」

その後二人は無言のまま準備を進めた。

「ジャック、50AEの入ったケース知らないか?」
「確かそこの引き出しの一番上に入れといたんだけど」
「あった。ありがとう」

しばらく無言のまま準備をしていた二人だったが、レオンが再びジャックに話しかけてきた。

「あの事件から三年が経つけど、未だにあの恐怖は忘れない」
「ああ・・・そうだな。でも俺はまだついてたよ、あいつがいたからな」
「あいつ?」
「アディスって奴でな、俺の親友だった」

レオンは驚いた、元CIAだったから当然である。
なぜ「元」なのかというと、レオンは事件の後CIAからシェリーの安全と引き換えにCIAに入る事を強制され仕方なく入っていたが、その後クリスたちの手によりシェリーは安全な場所に避難したので、レオンはCIAにいる必要がなくなったため、隙をついてCIAを抜け出したのである。ちなみに、レオンがSTARSの仲間になったのはつい二ヶ月前である。

「あの情報屋のアディスか!」
「そうだよ。まぁ最近STARSに入ったお前が知らないのは当然だがな」
「アディスは今どこにいるんだ?」

その問いにジャックは少し間をおいて答えた。

「死んだよ・・・。寄生虫に寄生されそうになってな。自分の体に弾丸を撃ち込んだよ」

その答えにレオンは動揺した。

「すまない。辛い事を聞いたな」
「気にするな。いつかお前にも話さないといけないなと思ってたからな、ちょうど良かった」
「そうか・・・」

その後、二人は再び無言で準備を行っていった。

「クレアって好きな人いる?」

突然の質問にクレアは驚いた。なぜこんな時にという思いを顔に出しつつ質問に答えた。


「いたわ。でも、その人はもうこの世にいないわ。南極で私を守って死んだの」
「ごめんなさい」
「気にしないで」

しばし無言だったが、今度はクレアが口を開いた。

「ネイシーがラクーンで恋人を亡くした気持ちが私も分かったわ」
「え?」
「南極でスティーブを亡くした時の言いようのない悲しみをネイシーも味わったんだろうなってね」

ネイシーは同じ思い抱いているクレアに対して今まで以上に親近感を覚えた。

「彼は死ぬ直前に私にいったわ。「君が好きだった」って」
「そうだったの。私は彼が死んでから、自分が彼を愛していた事に気がついたわ」
「そう・・・お互い、辛いわね」
「そうね。でも私は誓ったわ。必ずアンブレラを潰してスティーブの敵を討つと」

「私も誓ったわ。この刀にね」

そう言うとネイシーは三年前、アディスが死ぬ間際になって、ネイシーに手渡した刀「蛍雪」を手にした。

「アディスから受け取ったこの刀に誓って必ずアンブレラに償いを受けさせてやる!」

アディスより受け継がれし刀「蛍雪」を胸にネイシーは再び誓いを立てたのであった。


その後、準備を終えたメンバーはその日の内にロッキー山脈に向けて出発した。
しかし、車で移動するのでは時間がかかりすぎるため、途中でヘリに乗り換えるために空港に向かった。空港の一角にジャックが親に頼んで調達したヘリがおいてあった。しかも、すごい事にそのヘリは消音装置付きの最新のヘリで、主に警察や軍隊が使用するものであった。

「こんなヘリよく手に入ったな」

クリスがヘリの機器をチェックしながら言った。

「ああ、このヘリ実は俺の親父の会社の物なんだ。それで、今回の任務で必要そうだったから出発前に電話で頼んだら持ってけって言って一機ただでくれた」

ジャックはまるで当たり前のように言った。
あまりの事に他のメンバーは驚きを超えて呆れていた。

「任務内容喋ったのか?」
「おいおい喋るわけないだろ?あくまで頼んだだけだ」
「頼んだだけでくれる所がすごいな」

ジャックの父親は米国でも三本の指に入るほどの規模を誇る軍需産業の大手ナイトメアブレイカー社を一代にして作り上げた凄腕の起業家である。

ちなみに、ネイシーがこの事実を知ったのは最近のことで、どうして黙ってたのか聞くと、親が黙っていた方が命を狙われる確率が低くなるから黙っとけとしつこく言ってくるからとジャックは答えた。

ラクーンに引っ越したのも、その異常なまでの用心からのものである。

「おいジャック。お前宛に手紙があったぞ。

バリーは座席においてあった封筒をジャックに渡した。

「なになに・・・前の信じた道を進みなさい。どうしても私達の力が必要になったなら遠慮なく言って欲しい、出来る限りのことをしよう。父と母より」
「いい親だな」
「自慢の親だよ」

その時、手紙を見ていたネイシーが手紙に続きがあることを見つけた。

「ジャック、続きがあるわよ」

「へ?えーと・・PSお前が今からどこで何をするのか言わなかったため知り合いに頼んで調べてもらったら、ロッキー山脈にある研究所に行く事が分かりました。」

この言葉に全員が唖然とした。
特にジャックはあいた口が塞がらないでいた。

「おい・・・ばれてるぞ」
「どうやって調べたんだ?」
「あ、まだ続きが・・さらに君たちのお仲間の位置までおまけで判明したので少しばかり武器送っときました。有効に使ってね。父より・・」

あまりの事に今度は全員の口が塞がらなくなっていた。

「と、とにかく行こう。時間もないし」

クリスの言葉で気を取り直し、全員がヘリに乗った。

「行くぞ」

ローターの回転数が徐々に上がり、ヘリは夕方の空の中、目的地に向けて出発した。
ヘリで飛び始めて二時間ほどした頃、ジャックがクリスに話しかけた。

「後どのくらいだ?」
「そうだな・・・あと二十分ほどで着くだろう」
「そうか・・・」
「そろそろ消音装置を作動させよう」
「そうだな」

クリスは消音装置を作動させた。ヘリのローター音がほとんど聞こえなくなった。

「すごいな」

装置の威力に感激しつつクリスは目的地に向けて飛行し続けた。
目的地に近づくにつれて全員の緊張が高まってきていた。
それから約二十分後に目的地上空に到着した。

「この辺りだな」

そう言うと副操縦者席にいるバリーがヘリに搭載されているライトを短く三回、長く二回の明滅を繰り返した。それが合図だったらしく、下からも同じ合図がありその直後に、即席のヘリポートがライトで浮かび上がってきた。

「あそこだ。着陸するぞ」

そう言うとクリスは徐々に高度を落としていき、ヘリポートに着陸した。
ヘリポートにはジルとカルロスが迎えに来ていた。

「久しぶりねクリス」
「二ヶ月ぶりだなジル」

久々に見るジルの顔には疲れが出ていた。

「ようカルロス、久しぶり」
「相変わらずだな。他のみんなも元気そうでなによりだ」

その時、カルロスはあまり見慣れない顔がいる事にきずいた。

「彼がこの前言ってたレオンか?」
「そうだよ」
「初めまして。レオン・S・ケネディです」
「カルロス・オリヴェイラだ」
「私はジル・ヴァレンタイン」

お互いの自己紹介が終わると、メンバーはカルロスとジル乗って来た車に別れて乗り、ジルたちのアジトに向かった。
十分ほどでアジトに着いた。
アジトといっても大型のテントが置いてある簡素なものだった。
ところが、アジトの前にはなぜか大きなコンテナが三つ置いてあり、その隣には軍用トラックが二台置いてあった。

「これは?」
「え?ああこれ。ジャックのお父さんの会社の人が二時間ほど前に来て置いてった奴。
「マジかよ・・・」

ジルがそこで当然の質問をした。

「ジャックここの場所の事喋ったの?」
「いや・・・親父が勝手に知り合いに調べさせたらしい」
「シーバスは?」
「ああ、奴なら中で情報収集してるよ」

その時中からシーバスが出てきた。

「久しぶりだな、ジャック、ネイシー」
「久しぶりね」
「おっ久ー」

シーバスは二人に挨拶をすると、今度はレオンの方を向いた。

「君がレオンだな。俺はシーバス・ロウだ。よろしく」
「よろしく」

みながそれぞれ世間話をしているなかバリーはコンテナの中にある武器を物色していた。
重度のガンマニアであるバリーにしてみれば当然の行動であった。

「すげー、最新式のものばかりだ」

目を子供のようにキラキラさせて、バリーは次々とコンテナの中身を物色していく。

「バリーそろそろ中で今後の事でみんなといくつか話したいから来てくれ」
「わかった」

バリーは二個目のコンテナを見終わった後、クリス達に合流した。
全員が揃ったところで、クリスは今後のの事について話し合いを始めた。

「さて言うまでもないが、ここから約十キロ離れた地点にあるアンブレラの研究所に潜入する。メンバーはジル、カルロス、シーバス、ジャック、ネイシー、レオン、そして俺だ」
「私とバリーは?」
「退路の確保を頼む」
「了解」
「シーバス。何か新しい情報はあるか?」
「これを見てくれ」

そう言うとシーバスは、ノートパソコンの画面をみんなに見せた。

「これはアンブレらの本社から来たメールのコピーだ。これによるとワクチンはもう完成しているらしく、二日後に本社の研究所にサンプルが送られるそうだ」

予想外に早く完成していた事にみな驚いていた。

「そうか。では、明日の夜潜入する。それまでにあらゆる情報を収集し、それに基づき作戦を立てる事にする。質問は?」

手を上げるものはいなかった。

「よし。俺とシーバスは情報を元に作戦を練るから、他のメンバーは装備の点検を頼む」

全員がうなずいた。

「よし。では各自準備に取り掛かってくれ。」

しかし、この時すでに研究所が地獄と化しているということに気付くものはいなかった。


 



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