BIOHAZARD
TemptFate

第六章 二人の刺客


クリス達は来た道を慎重かつ迅速に戻っていった。
しかし、階段付近にあるホールに来たところで立ち塞がる者がいた。一人はブロンドの髪をした青年で、もう一人は青い髪にサングラスをしていた。
さらに二人とも武器を持っていた。

「君達は?」

クリスの質問にブロンドの髪の青年が答えた。

「俺達はあんたらを始末するためにアンブレラから派遣されてきた者さ」

今度は青い髪の青年が言った。

「本当はタイラントとハンターの連携で始末する予定だったんだけど、失敗したから俺達が直接始末しに来たわけだ」

二人の言葉に一向は驚いたが、すぐに臨戦態勢に入った。

「お前達がウイルスを撒いたのか!」

クリスの問いに青い髪の青年が答えた。

「・・・まぁそうなるかな」

その時、レオンはサングラスをかけた青年に一度ニューヨークで会っている事を思い出した。

「君は確かニューヨークで・・・」
「ええ、あの時は助けてもらいましたね。一応もう一度自己紹介しときましょう。ディアス・ロッタースです」
「じゃあ俺もしておこう。キース・ハワードっていうんだ。よろしく」

その言葉に全員の視線がレオンに集中した。

「おい、助けたって一体・・・」
「彼が頭痛で苦しんでいるのをたまたま見かけたんだ。そしたら彼が暴走車に轢かれそになっていたから助けたんだが・・・」
「こうなるとは思わなかった・・・よね?」

ジルが言葉を引き継いだ。

「さて、そろそろお話はやめて始めよう」
「そうだね」

ディアスの言葉を合図に二人は同時に銃をクリス達に向けて発砲した。

『!』

二人の攻撃を咄嗟に伏せる、もしくは横に飛びのくして避けた。
クリス達は二手に分かれて応戦した。
キースにはカルロス、シーバス、ジャック、レオンが、ディアスにはクリス、ジル、ネイシーがついた。ナカムラには安全な場所で待機してもらった。

「行くぜ!」

キースは両手のP90を構え指きり短連射した。
カルロス達も負けじと撃ち返す。しかし、キースは独特の動きでカルロスたちを翻弄した。
その時、キースの相手に回っていたカルロスが、キースの独特な構え方を見て驚いた。


「その構え・・・もしかして!」
「ん?これが何なのか分かるのか?」

カルロスは驚きを隠せずにいた。

「忘れるわけがねぇ・・・俺は昔、それとまったく同じスタイルで戦う奴に命を助けられたことがある」
「・・・なるほど」
「もしかして、あいつアンブレラに!」
「残念だがちがう、これはそいつの後継者に教えてもらったんだ。あいつに比べたら俺は未熟だけどね」
「なるほど」
「話はここまでだ!」

それと同時に両手の銃を的確に振り回す。
その時、キースの放った一発の弾がカルロスの肩を捕らえた。

「ぐわ!」

カルロスは銃を落としてしまった。

「もらった!」
「カルロスどけ!」

シーバスの声に反応してカルロスはその場に伏せた。
伏せたのを確認してシーバスがいつの間に持ち替えたのか、両手のイングラムのフルオートで弾幕を張った。

「当たるか!」

キースは横に飛びのいて弾を避けると、照準をシーバスに向けた。

「余所見は禁物!」
「な!」

いつのまにかキースの真横に移動していたジャックとレオンが同時に撃った。
5・56ミリ弾と7・62ミリ弾が次々とキースに襲い掛かった。
しかし、キースは咄嗟にうつ伏せに倒れこみ弾をギリギリで回避した。しかし、何発かは体をかすっていったため裂傷が出来ていた。

「ちっ!よけられた!」
「この!」

キースはうつ伏せのままP90をジャックたちに向けるが、背後からの殺気にきずき慌ててその場を離れた。
直後狙い済ました弾丸の嵐が降り注いだ。
後ろを見ると、シーバスとカルロスがM4を構えていた。
カルロスの肩にはいつの間にか包帯が巻かれていた。

「ちぃ!」
「やるな!」

キースは銃を構え、再び対峙した。
しかし、キースは焦っていた。
体が常人の五倍にまで強化された自分がまさか追い詰められるとは思っていなかったためである。

「キース!力に溺れるな!」

ディアスの言葉に一瞬驚いたが、その言葉でキースは冷静になった。

「ありがとよ!」

そう言うと、再びカルロス達と対峙した。

「思ってたよりもやるな・・・」

ディアスは自分の思っていた以上に相手が強い事に驚いた。
クリス達の援護射撃を受けながら、間合いを詰めたネイシーが切りかかった。

「やぁ!」

ネイシーの掛け声と共に放った斬撃をすんででかわし、ネイシーを狙うがジルとクリスの立て続けの攻撃がそれを阻む。
クリスとジルはライフルの弾が途中で切れたため、クリスはグロック19、ジルはベレッタM92Fに持ち替えていた。

「く・・・いくらなんでもこれはキツイな」

ネイシーの刀による攻撃と中距離からの銃によるバックアップのコンビネーションによりディアスはなかなか攻撃が当てれずにいた。
しかし、それでも接近戦を仕掛けていたネイシーの体には致命傷にはならないにしろ、ライフル弾による裂傷が体中に見受けられた。
・・・こちらも接近戦に持ち込むしかないか・・・
ディアスはP90を肩にかけると、腰の刀を抜いた。

「いよいよ本気って奴?」
「そういう事だ。これを抜いたのは君が初めてだ」

そう言うと刀を正面に構えた。
・・・口だけじゃない。本当に強い。
ネイシーは本能的にそれを悟った。
それに・・・この人どこかで見た気がする・・・

「行くよ?」

ネイシーは相手の言葉で考えを打ち消し戦闘に集中した。
二人は同時に走り出した。
ネイシーの上段をディアスは刀で受けると、受けた刃を横に寝かせて相手の刃に沿って進み距離を縮めると、刀を片手で右手で保持し、あいた左手でネイシーの顎目掛けて掌打を放ってきた。
ネイシーはバックステップでそれを避けると、ディアスに向けて連続突きを放つ。
ディアスは刀で突きをすべて受け流すと再び距離を置いて対峙した。
クリスとジルが再び銃で攻撃するが、ディアスは咄嗟に屈んで避けるが、直後に間合いを詰めたネイシーが顔面を狙って下段から刀を縦に跳ね上げるが、ディアスは咄嗟に横に転がって斬撃をやり過ごすと素早く立ち上がると上段から刀を振り下ろす。ネイシーも負けじと受け止める。
二人は激しい鍔迫り合いのあと、同時に飛びのいて距離を置いた。

「やるわね」
「そっちこそ。しかしさっきはよく重い刀であんな突きが繰り出せたな」
「大学まで近所のフェンシング教室に通ってたからね。それに、町を出てから三年間みっちり鍛えたしね」
「なるほど」

二人はしばし睨み合った後、再び戦闘を開始した。

「この!」

シーバスとカルロスはM4をキースに向けようとするがそれよりも早くキースが銃口を向けてきたため、慌てて横に転がる。
カルロス達が元いた場所を高速弾が通り過ぎていった。
キースに向けてジャックがM14を撃つがキースはそれをバックステップで避け、続けて放たれたレオンの銃弾を今度はその場に伏せてやり過ごすと、レオンとジャックに撃ち返した。

「おわ!」
「く!」

レオンとジャックも横に転がって攻撃を避けようとしたが、一瞬判断の遅れたジャックの脇腹に弾が突き刺さった。

「ぐっ!」
「ジャック!無事か!」
「大丈夫だ!」

キースとカルロス達は一進一退の攻防を繰り広げていた。
ジャックは脇腹に包帯を乱暴に巻きつけて止血した。
キースは弾の切れたP90を肩にかけると足のホルスターから5・7ピストルを抜いた。

予備弾倉はまだあったが、P90のマガジンの交換は時間がかかるため武器をハンドガンに変えたのである。

「しかし、あんたらもしぶといな」
「しぶとさが取り柄でね!」

ジャックはM14を撃つがキースはサイドステップでそれを避ける。
その時、シーバスがM4をキース目掛けて投げつけた。

「!」

キースは慌ててそれを叩き落すと、シーバスに狙いを付けようとするがいつの間にかシーバスはキースの目の前にまで間合いを詰めていた。
キースは完全に虚をつかれたため、シーバスのハイキックをこめかみにもらい、その場に倒れた。
シーバスはイングラムを両手で持つとキースに狙いを定めた。
ところが、キースは寸での所で意識を取り戻し、シーバスの銃を蹴って狙いをそらせると、急いで転がってその場を離れた。
至近距離から放たれたイングラムの弾がキースの元いた場所付近の地面に突き刺さった。

キースはシーバスから少し離れたところで急いで立ち上がり、同時に銃を構えた。

「あ、あぶねー」

キースは頭を振って意識をしっかりさせた。

「浅かったか・・・」

キースは銃を仕舞うとシーバスに格闘戦を仕掛けた。

「仕返ししてやる・・・」

キースはシーバスに右ストレートを放つが、シーバスはそれを左手で受け流すと強烈な掌打をキースの顎目掛けて放つが、キースはそれを体を後方に反らして回避すると、その勢いのままバク転し、 マーシャルアーツの技の
一つであるサマーソルトキックを仕掛ける。
シーバスは咄嗟にバックステップをしたので浅く当たっただけですんだが、それでもかなりの衝撃を受けた。

「くそっ!」
「今のは効いた・・・」

カルロス達はシーバスを援護してやりたくても、キースとの距離が近いため援護できずにいた。
シーバスは上段の回し蹴りを放つ、キースはバックステップでそれを避けると間合いを詰めて拳の連打を浴びせた。
シーバスは咄嗟に両手でガードすると相手が腕を引くタイミングにあわせて体を沈めるとそのままキースにアッパーを仕掛けた。
シーバスのアッパーは見事にキースの顎を捕らえたかに見えたが、キースはアッパーを両手で受け止めるとバックステプで距離を置くと銃を構えた。

「もう終わりか?」
「これ以上やると負けそうだ」

キースは本当にそう思っていた。
相手のが自分よりも格闘は一枚上手、ならば自分の得意な銃で勝負をつけるしかない!

キースとカルロス達は再び激しい銃撃戦を開始した。
ネイシーとディアスも一進一退の攻防を繰り広げていた。
ネイシーの振り下ろした刀をディアスはサイドステップで避けると、刀をネイシーの心臓目掛けて突き出すがネイシーはそれを受け流した。
ディアスはバックステップで距離を置いた後、大きく息を吸い腹にこめると、体を大きく沈め、刀を真横に構えた。

「一体何を?」
「はああああああああああ!」

答える代わりに、掛け声と共にディアスは下段からの連続斬撃を繰り出してきた。

「頭ががらあきよ!」

ネイシーはバックステップをして避けながら言い、ジャンプをするために足に力を込める。

「今ね!くら・・・」

その時、ネイシーは異変に気がついた。
ディアスの斬撃の軌道が下段から中段、中段から上段へと進んでくるにつれて徐々に上がってきている事に。
ネイシーは咄嗟に体を後ろに反らせながら倒れこんだ。
ネイシーの首の表面を薄く切った後、刀は最上段の位置で止まった。

「・・・良くかわせたな」
「危なかった・・・」

直後、ディアスは刀をネイシー目掛けて振り下ろした。
咄嗟に横に転がって避けた後立ち上がって、首筋に手を当てて傷の具合を確かめる。
首の表面を軽く切られただけだったので戦闘に支障はないことにほっとした。

「今の技、なんていうの?」
「我流だから名前はない」
「あっそう」

するとネイシーは刀を真横に構えた。

「今度はこっちの番ね。やぁあああ!」

ネイシーは掛け声と共に突進していき渾身の横なぎを放つ。
ディアスはバックステップでそれを避けると回転の勢いが収まらずに半ば背中を向けているネイシーに切りかかった。

「甘いわね」

ネイシーは勢いを乗せたまま一回転して手に持っていた蛍雪をディアスの足目掛けて投擲した。

「!」

ディアスは予想外の攻撃に戸惑いつつも、冷静に刀で受け止めた。
蛍雪はそのままディアスの目の前に落ちた。

「武器をすて・・・」

言い切る前にディアスの体に弾丸が突き刺さった。

「武器は刀だけじゃないのよ」

ネイシーの手にはいつの間にかグロック36が握られていた。

「ぐ・・・なかなかやるな」

ネイシーは再度ディアスに向けて発砲するがすぐに弾切れを起こした。
ディアスは屈んで攻撃を回避し、続けさまに放たれたクリス達の攻撃を今度はサイドステップで回避した、クリスとジルは再度攻撃を試みるがディアスが咄嗟にネイシーがクリスとジルの射線に入る位置に距離をとりながら素早く移動したため攻撃を中断した。

「45口径のホットロード(強装弾)食らって無事とはなかなか丈夫なチョッキね」

弾の切れたグロックのマガジンを交換し初弾を装填した後ホルスターに仕舞い、落ちていた蛍雪を拾いながら言った。

「念のためにチタンプレート入れといて良かったよ」

ディアスは苦痛を表情にださによう堪えた。
そして二人は再び刀を構え対峙した。
その時、ディアスの腰に掛けてあった無線がなった。
ディアスは警戒しながら無線にでた。

「はい」
『ディアスか?』
「隊長、どうかしたんですか?」
『直ちに撤退せよ』
「え?なぜですか?」
『本社から今回の作戦用に提供されたタイラントなんだが、手違いでG型が送られていたそうだ』

ディアスの顔がしだいに青ざめていった。

「そんなバカな!あれは新型でまだ実戦配備は無理だと!」

ディアスのただならぬ雰囲気にキース達もおもわず戦闘を中断した。
カルロスとジャックは戦闘が中断したのを見計らい、包帯を巻いていただけだった傷に応急処置を施した。
二人とも弾は貫通していた。

『原因はともかくそこから直ちに撤退せよ。奴が覚醒する前に』
「了解。ただちに撤退します」

ディアスは無線機を腰に掛けた。

「どうしたんだ!」

キースが何事か聞いてきた。

「撤退する!急げ!」
「なんで!」
「いいから早く!」

ディアスが階段にあと数歩というところまで来た時、あきらかに人間の物ではない低く重たい足音が上階から響いてきた。
ディアスは再び無線機を腰から取り出すと通信を開始した。

「こちらディアス、応答願います」
『どうした?』
「奴が覚醒しました」
『・・・奴を倒すには心臓に直接T・Gワクチンを撃ち込むしかない』
「了解しました」
『幸運を祈る』

通信が終わると同時にそいつは姿を現した。

「そんな!奴は倒したはずだ!」

そこには先程倒したはずのタイラントが立っていた。






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