PART8 RECEPTION MALE


真・女神転生クロス

PART8 RECEPTION MALE



 伸ばした両手が届く前に、伸ばした手も、伸ばそうとした相手も光の前に霞む。

「くっ!」

 間に合わなかった事を悔やみながら、とっさに両手を上げてガードを固め、体を丸めた状態のまま地面へと叩き付けれた明彦は、そのまま横へと転がりながら素早く立ち上がり、ファイティングポーズのまま左右を見回す。

「こ、ここは……」

 そこで、周囲の光景が先程と一変しているのに気付いて明彦は愕然とした。
 それは普通の林の中で、周囲にはいたはずの仲間達の姿が見当たらず、自分一人だけだった。

「美鶴〜! 岳羽〜! 山岸〜! 不破〜! 誰かいないのか〜!」

 大声を出したが、誰も応える者がいない事に明彦は更に愕然とする。

「ひょっとして、これが小岩さんの言っていた違う世界への移動という奴か……だがなぜオレだけ? まさか全員バラバラに違う世界に………」

 最悪の予想を考えつつ、ひとまず林を抜けようと少し歩いた所で、突然林が途切れた。

「!? これは………」

 いきなり地面が途切れていたのを見た明彦は、ガケかと思って下を覗き込んで驚愕する。
 そこから先にはまったく地面が無く、しかも真下には不可思議な色合いを変え続ける奇怪な空間が広がっていた。
 左右を見回すと、地面の断裂は左右へと続いており、しかも下へ行くと内側へと孤を描いている。

「まさか、街が飛んだと言っていたのは……」

 あまりにも予想外の状態に呆然としていた明彦だったが、背後から聞こえた物音に素早く振り返り、ファイティングポーズを取る。

「誰だ!」
「そっちこそ」

 そこには、黄色と黒のプロテクター一体型のボディスーツを纏ったやや痩せ気味の鋭い目つきの男が、手にした剣をこちらへと向けていた。

(こいつ、強い……!)

 謎の男から感じる気迫が並ならぬ物だと悟った明彦が、緊張してやや背をかがめ、いつでもパンチを放てるように構える。
 だがそこで、相手の腕のプロテクターにあるキーボードと、そこから伸びるコードが額のバイザーに繋がっているのに気付く。

「あんた、ひょっとしてデビルサマナーか?」
「サマナー? デビルバスターの間違いじゃないのか?」
「バスター……つまり小岩さんと似たような職業という事か」
「お前もそうだろう? その力、只者じゃない」

 互いに緊張状態のまま、互いの攻撃の間合いへとじわじわと距離を縮めていく。
 攻撃範囲に入った途端、高速のストレートと斬撃が同時に放たれようとした時だった。

「待って!」

 響いた女性の声に、二人の男の攻撃が直前で止まる。

「アレフ、彼は敵じゃないわ」

 謎の男、アレフの背後から、黒と銀の同じくプロテクター一体型ボディスーツを纏った、淡い栗色の髪と泣きホクロのある女性が姿を現す。

「ヒロコ、根拠は?」
「この状況を理解してないって事は、つまり彼もここの人間じゃないって証拠よ。それに、敵は他にいるわ」
「どういう事だ?」

 明彦が女性、ヒロコの言葉に首を傾げた瞬間、突然木陰を割って複数の影が姿を現す。

「囲まれたわ!」
「暴走ユニットか!」

 それは、四肢を持つ機械の群れだった。
 SF映画にでも出てきそうなマシンが、素早く三人の周囲を取り囲んでいく。

「友好的な相手じゃないな」
「あなた…」
「明彦、真田 明彦だ」
「悪いけど、さっきのは忘れて。少なくてもこの状況を抜けるまでは」
「ああ構わない。どうやら似たような身の上のようだしな……」
「お前も、いきなりここに来たのか?」
「ああ」

 フォーメーションを展開し終えたのか、マシン達が一斉に三人に襲い掛かってくる。

「来るわよ」
『オオッ!』

 期せずして同時に叫びながら、アレフの剣と明彦の拳が同時に繰り出される。

「やあ! せやっ! 止めだ!」

 明彦は鋭いスパイクとエッジからなるナックルでジャブからフック、さらにアッパーで相手をかち上げた所に渾身のストレートを叩き込み、得意とするコンビネーションでマシン一体を簡単に破壊する。

「なるほど、確かにできる」

 アレフが明彦の戦い方を横目で見ながら、手にした剣をマシンへと突き刺し、直後その剣、数多の悪魔の魂を融合させて完成させた魔剣ヒノカグツチが炎を吹き上げ、マシンを内部から大破させる。

「まだ来るわ!」

 こちらは背に吊るしておいた槍を振るいながらヒロコが叫ぶと、マシンの背後から、レシプロ式の戦闘機にロボットの胴体を取り付けたような巨大なマシンが現れる。

「大型! 駆逐用ユニットか!?」
「どういう所だここは!」

 まるでSF映画の世界にいきなり叩き込まれたような展開に、明彦は混乱しつつも己の召喚器を額へと当てた。

「何を…」
「カエサル!」

 何をしようとしてるのか理解出来ないヒロコが声を掛ける中、明彦は召喚器のトリガーを引いた。
 召喚器から放たれた力が、自分の中にあるもう一人の自分を呼び起こし、具現化させていく。

『ジオダイン!』

 カエサルが放った電撃魔法が巨大マシンを打ち、その巨体が揺らぐ。
 その胴体部分に、どこかで見た事がある鉤十字の紋章があるのに明彦は気付いた。

(あれは、確か二次大戦時のドイツの紋章?)

 近代世界史の教科書に掲載されていた写真を思い出したのもつかの間、巨大マシンの手に携えている機銃の銃口がこちらを向いた。

「離れろ!」

 吐き出される銃弾の嵐を避けながら、アレフが剣を持ったまま、左腕のキーボードをタイプ、最後にエンターキーを叩くと、彼のかけていたバイザーに《SUMMON OK》の文字が表示された。
 すると、バイザーから光が投射され、空間に何かを描いていく。
 物の数秒で描写は終わり、無数のグリッドで描かれていた物に色が宿り、実体化していく。

「守れ」
「承知『テトラカーン!』」

 それはワニに乗った老人、ソロモン72柱の悪魔の一人で地獄の公爵である堕天使 アガレスとなり、アガレスの張った物理反射魔法が弾丸を弾き返す。

「やはり、サマナー………」
「あなたは降神術、しかも少し変わった物が使えるのね」
「オレ達はペルソナ、と呼んでいる」

 弾丸が弾かれる中、互いの能力を確認しあった三人が、お互い申し合わせたかのように散開、大型マシンを包囲する。

「一気に行くぞ!」
「ああ!」
「分かったわ!」

 アレフの号令を掛けながら剣を構え、明彦は再度召喚器を額に当て、ヒロコが両手を前へと突き出して魔力を集中させる。

「そこだっ!」
「カエサル!」『ソニックパンチ!』
『メギド!』
『マハ・ラギオン!』

 アレフの振るう剣とカエサルの高速の拳がそれぞれ大型マシンの腕を一撃で破壊し、そこにヒロコの放った魔力の固まりとアガレスの火炎魔法が直撃、装甲を撒き散らかせ、大型マシンは大破、爆発した。

「なんだこれは? こんなのはセンターでも見た事が無い」
「オレも初めてだ。だが………」

 明彦は破壊したマシンの破片の一つから、砕けた鉤十字の紋章を見つけて手に取る。

「これは見た事がある。だが60年以上前に消滅したはずだ………」

 だがそこで、周囲から聞こえてくる無数の機動音に素早くその破片を投げ捨て、全員が背を合わせるようにして構える。

「囲まれたか………」
「仲魔はあとどれくらい呼べる?」
「一度には無理ね………」
「それまで時間を稼ぐか………」

 アレフの指が素早くキーボードをタイプするのを横目で見ながら、明彦は召喚器を額に当てる。

「来るわ!」

 ヒロコが叫ぶと同時に、周囲を無数の機影が囲む。
 迎え撃つべく召喚器のトリガーを引こうとした明彦だったが、自分の目の前に出てきたSF映画にでも出てきそうなパワードスーツの胸に、有る意味馴染み深い紋章があるのに気付いて寸前で止める。

「敵機遭遇! 民間人三名及び悪魔一体確認!」
「多分その中の誰かがサマナーだね。その三人+一体保護を最優先」
「了解! 来やがれ、このミッシェル様が相手だ!」

 白、黒、緑、青のボディカラーのパワードスーツが素早く展開し、明彦達三人を守るように立ちはだかる。

「これは……」
「どうやら、味方らしい。所属組織が信じられないが」

 明彦の目はそのパワードスーツにあった紋章、日本の警察機関の象徴である桜の代紋を見ながら苦笑する。

「どうやら、無事みたいだね」

 パワードスーツ部隊の背後から、ジャケット姿で片耳にピアスを嵌めたクールな目をした二十歳を幾分過ぎたかどうかの男が姿を現す。

「あんた、警官か?」
「嘱託だけどね」

 明彦の問いに男が軽く答えた背後では、手にライフル、槍、ニードルガン、マシンガンを手にしたパワードスーツ部隊が、鉤十字の紋章をつけた機械部隊と交戦を開始していた。

「向こうは任せておくとして、サマナーは誰かな? 見た感じ、葛葉の関係者はいなさそうだけど」
「クズノハ?」
「葛葉って、小岩さんがいた組織の事か!?」

 アレフとヒロコが首を傾げる中、明彦が聞き覚えのある単語に反応する。

「班長! 上からも来ます!」

 そこで、白のパワードスーツが警告を発し、直後に上空から先程と同じ戦闘機型のマシンが襲ってくる。

「くっ!」
「そう来るか」

 明彦が召喚器を額に当てるのと、男が懐から一枚の《EMPEROR》と振られたカードを取り出すのは同時。

「カエサル!」『ジオダイン!』
「アメン・ラー!」『集雷撃!』

 明彦のペルソナが放つ電撃魔法に、男のカードから変じた光の粒子が男の心の奥底から呼び起こした青い肌を持つエジプト神話の最高神 アメン・ラーの放つ更に強烈な電撃魔法が重なり、一撃で戦闘機型のマシンを打ちのめす。

「あんた、ペルソナ使いか!」
「君もね。オレの名は藤堂 尚也。警視庁特殊機動捜査部、機動班の班長をしている」
「オレは…」

 すでに戦闘が終息へと移っていく中、明らかに自分よりも強い力を持つ男に事態をどう説明するべきか考えながら、明彦は口を開いた。



「ごほっ、はっ……」
「う〜ん……」
「キュ〜ン」

 砂漠のような砂ばかりの大地の一角で、美鶴はなんとか体を起こす。

「無事か天田?」
「な、なんとか……コロマルも大丈夫?」
「ワン!」

 美鶴が乾を、乾がコロマルをそれぞれ抱きしめるような形になっていた二人と一匹は、互いの無事を確認すると、立ち上がって衣服や髪についた砂埃を払う。

「ここは一体?」
「他の人達もいませんよ……」
「キュ〜ン………」

 その場にいるのが自分達だけだと確認した美鶴が、周囲を見回す。
 それは、半ば砂漠と化した荒野で、あちこちに崩れかかったビルや道路のような物が見えていた。

「どうやら、全く知らない場所に来てしまったようだな………」
「そもそも、ここって日本ですか? サハラとかゴビとか言う所じゃ………!」

 同じように周囲を見回していた乾が、何気なく上を見てそこで驚愕する。

「み、美鶴さん! 上! 上見てください!」
「上?」

 乾に言われて上を見た美鶴が、自分達の頭上に太陽とはまた違う物体が虚空に浮かんでいるのと、そして頭上にも大地が広がっているのに気付いて絶句する。

「これは……」
「ワンワン!」

 美鶴はゆっくりと視線を下げていき、頭上に広がる大地が、ゆっくりと孤を描いて自分達のいる大地へと繋がっている事を確認。

「え、えと、前にアニメで見た宇宙コロニーのような物でしょうか?」
「いや、現在の技術では、あんな擬似的な太陽も、完全な球体内部に重力を発生させる事も出来ない。恐らくここはタルタロス同様、私達の常識の通用しない異世界なんだろう。随分とファンシフル(奇抜)な………」
「タルタロスの何倍あるんでしょうか………」

 自分達が体験してきた事を遥かに上回るスケールに、流石に動揺が隠せない美鶴と乾だったが、ふと離れた場所でコロマルが何かを掘っている事に気付いた。

「どうしたコロマル?」
「ひょっとして誰か埋まってるんじゃ!?」

 大慌てでそちらへと駆け寄った美鶴と乾は、そこで予想外の物を見つける。

「これは、私のバイク!?」
「あれ? タルタロスのロビーに止めておいたはずじゃ…………」
「タルタロスの中にあった物全てが飛ばされたのかもしれないな……シャドウも飛ばされているかもしれん」
「皆さん、大丈夫ですかね………」
「分からん、少し待っていてくれ」

 美鶴はバイクに積んであった通信機や探査機器を操作してみるが、動作はする物の返信は無かった。

「しまったな……長距離用にセッティングしていなかった」
「ここじゃ電器屋さんもないですしね」
「ああ、だが奇妙な反応が幾つか拾えた。恐らく、《悪魔》の物だろう」
「ええ!? じゃあここって魔界とかって言う所なんですか!?」
「分からん………だがここでじっとしていていい事はないだろう」

 エンジンの様子を見ながら、美鶴がイグニッションを入れると何度か空転した後、エンジンが始動する。

「ともかく、ここを移動しながら他のメンバーを探そう」
「でも、どうやって? 携帯も通じませんし……」
「私のペルソナと、コロマルの鼻で探すしかあるまい。まずは、誰もが興味を持ちそうな目印にでも………」

 バイクに跨りながら周囲を探した美鶴は、ふと遠くに何か妙な物が生えているようにも見える高層ビルを見つける。

「あそこに行ってみよう」
「なんでしょうアレ? 随分と変な形ですけど………」
「そんな物なら、誰でも興味を持つだろう。さあ乗れ」
「え? 乗れって、そのどうですか?」
「クーン」
「そうか、3人というか2人と一匹だからな」

 美鶴は自分の前後を見回すと、まずコロマルを手招きする。

「コロマル、狭くてすまないが、ここに」

 ハンドルをまたがせるような格好でコロマルを乗せると、それになかば覆いかぶさるようにハンドルを握る。

「天田、きみは後ろだ」
「あ、ハイ」

 おそるおそる、といった感じで天田が後ろ側に乗り込む。

「もっとしっかり掴まった方がいいぞ」
「………はい」

 気恥ずかしいのか、少し顔を赤くした天田が、美鶴の腰にしっかりと手を回す。

「よし、行くぞ」

少しの間バランスを確認した後、美鶴はバイクを発進させる。

「さて、皆無事だといいが………」
「多分、大丈夫でしょう。皆さん誰かを掴んでいた気がしますし」

 他のメンバー達を心配しながら、なんとか渡れそうな高架道路に昇ろうとした美鶴が、そこの看板に表示されていた文字に驚愕する。

「池袋、か……」
「じゃあここって、東京!?」
「だとしたらこれは首都高か。随分と空いているな………」
「そういう問題じゃ………」
「だとしたらあちらは千代田区、秋葉原あたりだな」
「道路繋がってるんでしょうか?」
「場所によっては、降りて押して行くしか」
「ワンワンワン!」

 ふとそこで、コロマルが後ろの方を見ながら猛烈に吠え始める。

「コロマル?」
「天田、後ろだ!」

 バックミラーを見た美鶴が、そこに背後から迫ってくるバイクに気付いてスロットルを握ったまま、左手で召喚器を取ろうとする。

「何だあれ!? お化けライダー!」

 その迫ってくるバイク、タイヤの代わりに炎が回転しており、黒いライダースーツと赤いネッカチーフの上に、黒いメットを被った正真正銘のガイコツがある事に乾が愕然とする。
 謎のガイコツライダーは更にスピードを上げ、美鶴の隣へと並んできた。

「いいバイク乗ってるな姉ちゃん。だが、この道はこのヘルズエンジェルの縄張りだ!」
「アルテミシア!」『ブフダイン!』

 先手とばかりに美鶴がペルソナを発動、だが放たれた氷結魔法は、ガイコツライダー・ヘルズエンジェルが素早くバイクを振って巧みにかわす。

「やるな! 今度はこっちからだ!」
「しっかり掴まっていろ!」

 ヘルズエンジェルが今度は急接近しながらリアをドリフト、するとリアタイヤ部分の炎が噴き出し、業火となって襲ってくるのを美鶴はバイクをサイドへとスライドさせてからくもかわす。

「カーラ・ネミ!」『ジオダイン!』
「アオーン!」『アギダイン!』

 乾とコロマルが立て続けに己のペルソナを発動、しかし放たれた電撃魔法はあっさりかわされ、直撃した火炎魔法は無効化されて無傷のヘルズエンジェルの姿が炎の中から現れる。

「ガキと犬に用はねえ!」
「こいつ、強い!」
「まずい………」

 バイクを走らせながら、という想定もしてなかった戦闘に、美鶴は焦りを感じていた。
 片手しか使えないために武器攻撃とペルソナの併用は出来ず、ましてや相手が高速で動きまくる状況では魔法もなかなか当たらない。

「行きな、スピードの向こう側へ!」

 猛速度でこちらへとスライドさせてヘルズエンジェルがぶつかってくる。

「くっ!」
「うわあぁ!」
「キャウン!」

 モロに食らったバイクがスピンしながら高速道路の外壁へと激突しそうになるが、とっさにペルソナを召還したコロマルが、己のペルソナをバイクと外壁の間に強引に挟んでかろうじて激突を阻止する。

「助かったぞコロマル!」
「偉いぞコロマル!」
「キューン……」

 バイクの体勢を立て直した美鶴だったが、先程のペルソナへの衝撃がフィードバックしたのか、コロマルが力なくうな垂れる。

「しばらく休んでいろ! 私と天田でなんとかする!」
「今度はこっちの番だ!」

 乾が愛用の槍を抜き、それを構えると美鶴がスロットルを握り込む。
 急加速したバイクが、前方を行くヘルズエンジェルを追いかける。

「やるな、だがそう来ないと面白くねえ」
「ふっ! はっ!」

 真横へと並んだヘルズエンジェルに乾が槍を繰り出すが、ヘルズエンジェルは機敏に動いてそれをかわす。

「はっ!」

 召喚器から長剣へと持ち替えた美鶴も武器を振るうが、ヘルズエンジェルをわずかにかすめるだけだった。

「遅い、遅いぜ」
「くっ!」
「こいつぅ!」
「それに前を見ろよ」

 ヘルズエンジェルの言葉に横目で前方を見た美鶴が、前方の道路が完全に崩落しているのに気付いて驚愕する。

「み、道が無いですよ!」
「まずい………」
「どうする? ノロマを生かしておく程オレは甘くない。チキンレースと行こうか!」

 ヘルズエンジェルが更に速度を上げ、激突と炎の攻撃を連続して仕掛けてくる。

(どうする!? このままでは全員殺されるか、道路から落ちて死んでしまう! 取れるべき手段は何だ!?)

 ヘルズエンジェルの攻撃を防ぎつつ、美鶴が必死になって考える。

(自分らの能力の可能性くらい把握しとけ!)

 ふとそこで、タルタロスで八雲に言われた事を思い出す。

(そうだ、道が無ければ!)「天田、いいか……」
「本気ですか!?」
「悩んでいる暇は無い! アルテミシア!」『コンセントレイト!』

 思いついた方法を乾に囁くと、美鶴はペルソナを召還して魔力をチャージしつつ、更にバイクの速度を上げていく。

「さて、どうするつもりだ?」

 最早先の無い道路で加速する美鶴のバイクを追いながら、ヘルズエンジェルはドクロだけの顔を歪ませて嘲笑う。
 落下確実までの距離に迫った瞬間、美鶴が召喚器のトリガーを引いた。

「アルテミシア!」『マハブフダイン!』

 ギリギリで美鶴はペルソナを発動、アルテミシアがチャージされた魔力で威力が倍増している氷結魔法を道路へと向かって解き放つ。

「何だ……!」

 美鶴の行動を理解出来なかったヘルズエンジェルだったが、その氷結魔法が途切れた道路の先に氷の垂直ジャンプ台を作り上げていく事に気付いて愕然とする。
 氷の垂直ジャンプ台の上を美鶴のバイクが疾走し、高々と宙へと躍り上がる。

「今だ天田!」
「カーラ・ネミ!」『イマキュレト・グングニル!』

 こちらを愕然と見ているヘルズエンジェルへと向かって、乾が全精神力を込めてペルソナを発動。
 呼び出されたカーラ・ネミが両手を広げるとそこに純白の光が生まれ、両手を突き出すとその純白の光が螺旋を描いて突き進み、光の槍となってヘルズエンジェルを貫く。

「がはぁっ!」
「やったか!?」

 宙でバイクを反転させ、ジャンプ台へと着地しようとした美鶴だったが、前輪が触れると同時に、急造だったジャンプ台が崩壊する。

「しまった!」
「うわあぁ!」
「アオーン!」

 己の策の甘さを自戒する間も無く、高架の下へと落ちていく美鶴が、ふと真下に誰かいる事に気付く。
 その真下にいる人物、赤いコート姿の大剣を持った男が、その手にした大剣を大きく振るう。
 するとそこから竜巻が生じ、落下していたペルソナ使い達の落下速度を著しく減衰させていく。

「これは………」
「うわぁ……」
「ワンワン!」

 美鶴のバイクが、ゆっくりと地面に軟着陸し、それに次いで地面へとなんとか着地したペルソナ使い達が、竜巻を起こして自分を救ってくれた人物を見た。
 そこにいたのは、銀髪で鋭い目つきをした筋肉質の男で、男は二人と一匹を見ながら手にした大剣を背中へと戻す。
 二人と一匹の無事を確認した男の視線が上の高速道路へと向けられたが、そこからエンジン音が遠ざかっていくのに気付くと舌打ちをして視線を戻した。

「ちっ、あいつは逃げたか………」
「あなたは?」
「オレはダンテ、デビルハンターをやっている」

 全身から闘気が満ち溢れている男、ダンテの姿にただならぬ物を感じた美鶴だったが、そこでようやくそのそばにもう一つの人影がある事に気付いた。

「う〜ん……」

 それはメイド服を着た赤い瞳の女性で、首にサファイアをあしらったチョーカーを付けていた。
 のみならず、メイド服の上からは特殊部隊が着るようなタクティカルジャケットをまとい、両腕にはガントレットと一体化したアームガンを装備している。

「あなた達、ひょっとしてアイギスのお仲間かな?」

 美鶴の腕につけていたSEES(特別課外活動部のイニシャル)の腕章を興味深げに見ていた武装メイドの女性が、小首を傾げながら問うてくる。

「アイギスを知っているのか!」
「じゃあアイギスさんもこっちに!?」
「ああ、この間危ない所を拾った」
「でも、ひどく壊れてたから、パパに修理してもらってる。姉さんと私が交替でつきっきりだから大丈夫」
「修理? アイギスを? 失礼だが、それ程の技術を持っている人物はそうそう…」

 美鶴の問いに、武装メイドが片腕のアームガンを外すと、手首を軽く捻る。
 すると腕に無数のPC接続端子が現れる。

「こ、この人もロボット!?」
「ううん、私はテトラ・グラマトン式成長型人造魂魄保有型半有機自動人形・パーソナル デバイス設定式二期型《アリサ》。私も姉さんもパパに創ってもらったの」
「信じられない………」

 外見上はアイギスよりも人間らしく見えるアリサに、美鶴も乾も驚愕する。

「さて、じゃあどうする?」
「アイギスの仲間だったら、問題ないと思うよ。この人達もアイギスの事心配だと思うし」
「そうだな、じゃあ案内しよう」
「どこに?」
「私達のお家、業魔殿だよ」



「ま、大体ここがどういう所かは分かったな」
「グルル……」

 八雲が呟きながら、足元に転がる悪魔の屍、ついさっき襲ってきたのを彼とケルベロスが返り討ちにした物を見下ろす。

「分かったって言うんでしょうか?」
「さあな。でもヤバイとこだってのは分かったぜ………」
「お二人ともお怪我は?」

 手にした得物を鞘へと収めながら、啓人と順平がぼやき、ジャンヌ・ダルクが皆の負傷を確かめる。

「この世界自体が、完全な異界なんですね」
「そだね、いっぱいいるし」

 空になったマガジンを交換しているカチーヤの呟きに、ムラダーラから勝手に持ち出してきたMP5A5サブマシンガンを同じく勝手に持ち出してきた大型ホルスターへと戻したネミッサが、足元に転がる蜂の巣になって息絶えている悪魔の屍を蹴飛ばす。

「さて」
「ヒイィィ〜!」

 八雲が視線を向けた先にいる山羊の頭を持った3mはあろうかと言うケルト神話の悪の巨人、夜魔 フォーモリアが、四方をそれぞれ囲まれて悲鳴を上げる。

「なんで一匹だけ残したか、分かるな?」
「ま、待て。オレが悪かった! だから命だけは」
「いいだろう、ただしお前がオレ達の望む情報を持っていたらな」

 まだ余熱の残るソーコムピストルの銃口を押し付けてくる八雲に、フォーモリアが総毛立たせる。

「そうそ、じゃあ何から聞こっか? まずはブティックとおいしいご飯のある店から……」

 同じくMP5A5を抜いて八雲とは反対側に銃口を押し当てるネミッサに、ペルソナ使い二人は口を一文字にして沈黙し、カチーヤは苦笑を浮かべる。

「まるでヤクザだぜ………」
「どう見ても脅迫だよね」
「まあ八雲さんはいつもあんな感じですけど………」

 無言で頷いてそれに賛同する仲魔二体に八雲は横目で一瞥すると尋問を始める。

「そこよく見とけ。悪魔との交渉ってのはこうやるんだ」
「ぶ、ブティックなら向こうのギンザの町にあるぜ………」
「へ〜、じゃあ早速」
「まて、ギンザだと!? じゃあここは東京なのか!?」
「へ?」

 フォーモリアの口から出た聞き覚えのある地名に、全員(ネミッサ除く)の顔色が変わる。

「? 何言ってやがるんだ。ここはボルテクス界、創世のために東京が受胎して出来た世界だ」
「創世? 東京受胎? なんだそれは?」

 聞き覚えの無い言葉に八雲が首を捻ると、同じようにフォーモリアも首を捻る。

「あんた達、どこから来たんだ? このボルテクス界に人間はほとんど残ってないはずだ」
「さて、なんて言えばいいのか………あちこち飛ばされまくってここに来たからな」
「飛ばされる? そう言えば最近あちこちに妙な物がいきなり出てきてるって話があったな……」
「一番近いのは?」
「す、少し前にあっちのヨヨギ公園の向こうに何かが落ちた。何かまでは知らないが……」
「人間はほとんどいないと言ったな。オレ達以外の人間はどこにいる?」
「そ、その何かが落ちた所にニヒロ機構の巫女だった女が向かったって言ってた奴がいた………」
「どうにも、聞いた事の無い単語ばかりでよく分からんが……その巫女とやらに聞けば何か分かるかもな。あとこれは情報料だ」

 八雲はGUMPを操作してマグネタイトを少し出してフォーモリアへと分け与える。

「おう、あんた話がわかるな」
「多少は役に立ったからな。じゃあやられたくなければさっさと失せろ」
「そうさせてもらうぜ」

 ノソノソとその場を立ち去るフォーモリアを一瞥すると、全員が深刻な顔で顔をつき合わせる。

「本当に、ここが東京?」
「どうりで、何か見覚えのあるのを見かけるはずだ」
「やべぇって、いつ東京がこんな匠の芸術的リフォームを…………」
「ボルテクス界、創世、東京受胎、ニヒロ機構、聞いた事ない言葉ばかりですね」
「それよりブティックとご飯!」
「ネミッサしばらく黙ってろ」
「ぶ〜」

 ふて腐れるネミッサを無視して、八雲が見渡す限りの砂漠の向こうにあるヨヨギ公園の方を見た。

「まずは、巫女とやらを探すか」
「どんな人だろ? かわいい子だといいな〜」
「順平、なんか違うの想像してない?」
「話が通じる人だといいんですが………」
「八雲〜、ダルいからタクシー呼ぼ」
「そこらで親指立ててろ。拾えるとは思えんけどな」
「八雲老けたら性格悪くなった〜」
「何年経ったと思ってんだ…………」

 グチるネミッサを後ろに、皆がぞろぞろと移動を開始する。
 そこで、かつてのセベクスキャンダルから共に行動してきたジャンヌ・ダルクがそっと八雲のそばに寄ってくる。

「やはり、あれは本物のネミッサ殿でしょうか………」
「どっからどう見てもな」
「しかし、あの人はあの戦いの時に………」
「覚悟しとけ。下手したら、今後も似たようなのが出てくるかもしれんぞ」
「それは………」

 言葉を濁し、ジャンヌ・ダルクはネミッサの方を見る。
 ちなみに、ネミッサは早くも歩くのにだれてケルベロスの背中に乗っかり、カチーヤも乗るよう誘っていた。

「そら行け!」
「グルルルル……!」
「我慢しろ、後でマグネタイト多めにやるから」

 背中ではしゃぐネミッサに唸り声を上げるケルベロスをなだめながら、八雲はたまに見える廃墟同然のビルや標識の類に目をやりつつ、今まで得た情報を整理していく。

(最強の怨霊たる将門公の守護を受けた東京をここまで改変するとは………相当な術師、もしくは組織が絡んでいる。その巫女とやらがそれに噛んでたとしたら………)
「その巫女って人、仲間になってくれますかね?」

 今八雲が考えていた事を、啓人が呟く。

「さてな。最悪、その場で戦闘だ」
「つ、強いっすかね………」
「こんな場所でなんぞの組織の巫女なんてやってる奴だ。お飾りって事はないだろ」
「でも、事情を話せば……」
「こちらの事情はともかく、ここの事情は向こうの方が分かってるだろ。その上でどういう態度に出るかは分からん」
「そん時はネミッサ達でぶちのめして、言う事聞けってやればいいじゃん」
「まず何があってもお前は口を開くな」
「ぶ〜…………あれ?」

 相変わらずケルベロスに乗っているネミッサが、遠くに何かがあるのに気付く。

「います、誰か………術者っぽい反応が、二つ?」
「その巫女とやらか?」

 カチーヤの言葉に、歩みを止めてサーチ系ソフトを立ち上げようとした八雲だったが、GUMPに手を伸ばした所でその誰かがいる場所に悪魔の反応が出現する。

「この反応、ちとレベルが高めか………戦闘中か?」

 先の様子を見ようと八雲が小走りに近付くが、段々状況を理解していくとその歩みが速くなり、とうとう走り出す。

「おい、あれってまさか!」
「悪魔に襲われてる!?」
「急げ! 取り囲まれている! ジャンヌ、サポートを!」
「心得ました!『スクカジャ!』」

 サポート魔法を帯びた八雲が走りながら、懐からソーコムピストルを抜いて連射。
 弾丸は全弾、槍を手にした少年の姿をしたケルト神話の英雄、クー・フーリンの幼少時代である妖精 セタンタを撃ち抜く。
 セタンタが地面へと倒れた向こうには、とんでもない光景が広がっていた。
 そこには周囲を悪魔に取り囲まれた白のスーツ姿の若い女性が、必死になって祝詞を唱えながら結界を張って悪魔達の侵入を防いでいる。
 しかも彼女の足元には、灰色のジャケットのような物を着た少女と思わしき影が倒れている。

「手近な奴からやれ!」
「ガオオォォ!」

 咆哮を上げながら、ケルベロスが北欧に住んでいたとされる巨人の末裔、妖精 トロールの首筋に牙を突きたてる。

「順平、オレ達はこっちを!」
「おおよ! おりゃっ!」
「タナトス!」『五月雨斬り!』

 飛び出した順平が大剣を振るい、それに怯んだ悪魔達に啓人が己のペルソナで薙ぎ払う。

「やるよカチーヤちゃん!」
「はい!」
『『マハ・ブフーラ!』』

 ネミッサとカチーヤが同時に放った氷結魔法が周辺を凍てつかせ、悪魔達を飲み込んでいく。

「おい、こっちまで来たぞ!」
「あ、ゴメン」

 自分の間近まで迫ってきた凍気に八雲が文句を言いつつ、手にしたHVナイフで動けなくなった悪魔に止めを刺していく。

「行くぜトリトメギトス!」『利剣乱舞!』

 順平のペルソナが振るう斬撃が悪魔達に無数の斬撃を与え、そこに啓人やジャンヌ・ダルクが駄目押しの斬撃を加えていく。

「最後です!」

 カチーヤが最後に残ったセタンタの槍を掻い潜り、空碧双月の刃を突き刺す。

「カチーヤちゃんやるう〜♪」

 ネミッサがのんきに拍手などしてる中、八雲は敵が全て片付いた事を確認すると、ソーコムピストルにセーフティーをかけて懐へと戻す。

「さて、どっちがニヒロの巫女とやらだ?」
「私がそうよ」

 白のスーツ姿の女性が、結界を解くとやや警戒しながら八雲へと向き直る。

「あなた達は何者? サマナーに術者、そちらは神降ろし?」
「オレはクズノハ所属サマナー、小岩 八雲。そっちはオレの相棒と旧相棒と仲魔」
「旧ってなによ! ネミッサの事!」
「あ、クズノハ所属術者、カチーヤ・音葉です」
「オレは月光館学園特別課外活動部、現場リーダーで不破 啓人。ペルソナ使い」
「同じく、伊織 順平。ペルソナ使い」
「クズノハ? ペルソナ使い?」
「出来れば、そっちも名乗ってもらいたい物なんだが」
「あ、ごめんなさい。私は高尾 祐子。元は高校で教師をしてたわ」
「先生で巫女さんっすか、すげえマニアックなジャンル……」

 余計な事を言う順平の口を啓人が慌てて塞いだ所で、八雲が祐子の足元にいる少女に視線を移す。

「その子は?」
「分からないわ。ここで倒れて悪魔に襲われそうになっていたのを助けたんだけど」

 その言葉に八雲が目配せすると、ジャンヌ・ダルクとカチーヤが駆け寄って少女を抱き起こす。

「特に怪我などはないようです。召喚士殿」
「でも、ちょっと衰弱してますね……それに………」

 その抱き起こした黒髪ショートで十代後半と思われる少女の着ている衣服に、オレンジのペイントが施されているのに気付いたカチーヤが眉根を寄せる。

「ひょっとして、ムラダーラとやらの人間か?」
「彼女の事を知っているの?」
「いえ、この前に行った場所に、これと同じペイントの服があって………」
「それが、あちこちに血しぶきとかあんのに、誰もいないんでやんの」
「………あなた達、どうやってここに?」

 八雲や啓人の会話を聞いていた祐子が、首を傾げて問うてくる。

「飛ばされたんだよ、ここじゃない世界から」
「ここじゃない世界?」
「多分、この子も……」

 カチーヤがセラの前髪をそっと書き上げた所で、少女の瞳が少し動いた。

「ん……」
「あ、気がついた?」

 小さくうめいて少女が目を開ける。
 そこで、自分を覗き込む複数の視線に気付いてわずかにたじろぐ。

「大丈夫、ここにいる人達は、全員あなたを助けてくれた人達よ。悪い人じゃないわ」
「あ、あのサーフは? エンブリオンの皆は?」
「さてな。多分どっかにいると思うが」
「は、早くみんなを見つけないと…」

 立ち上がろうとした少女だったが、そこでバランスを崩して倒れる所をジャンヌ・ダルクとカチーヤが支える。

「動かないで下さい。しばしの休養を取らないと………」
「私達も仲間を探してるから、一緒に探してあげる。だからしばらく休んでて」
「……うん」

 諭された少女が、その場に腰を降ろす。

「どうやら、また別口か………名前は?」
「……セラ」
「生年月日と所属組織は?」
「2013年12月12日、今はエンブリオンの仲間と行動してる………」
「2、2013年!?」
「オレ達よりも未来から!?」
「……ここは何年だ?」
「受胎前は、2003年よ」
「じゃあここは6年前って事かよ!?」
「年号なんて物が当てはまる世界かどうかは分からんけどな」

 さらに混乱しそうな話に、八雲が重いため息を漏らす。

「まったく、更に厄介な事になってきたみてえだな………」
「………ごめんなさい」
「あの、謝ってもらう必要なんて」
「この世界を創ったのは、他の誰でもない、私なの………」
『えっ!?』

 祐子の言葉に、全員の視線が彼女へと集中する。

「新しい世界を創世するために、もっと活気溢れる世界を創るはずだったのに………なぜこんな事に………」

 独白するように呟く祐子に、どう言葉をかけるべきかを悩む者達の視線が互いに交わされる。ただ一人を除いて………

「だとしたら、私のせいだ………私が、世界をおかしくしたんだ………」

 セラがそう呟きながら、嗚咽を始める。

「あ、あのそれって……」
「私が、〈神〉を怒らせたから……!」

 世界の変質を自戒する二人を前に、残った者達はただ無言でそれを聞くしかなかった………


 創世、変質、後悔、幾つもの結び目と共に新たな糸が現れる。
 絡み合う糸の先にある物は、果たして………






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