安田しん二レコーディング日記
私、安田しん二のスタジオ、FAB ROCKS REC. HOUSEでの奮戦記です。
FAB ROCKS REC. HOUSEはNon DIGITALにこだわった、
ANALOG専門のレコーディング・スタジオです。

2000年7月5日水曜日〜2000年7月6日木曜日
 今回はチンパンのアコースティック・ギターのダビングと、私のローズ・エレクトリック・ピアノ等々のダビングを主にしました。そうこうしてると、やっぱり以前録音したベースの音が気に入らなくなってきて、「後日録り直そ〜〜っと!」と心の中で思うのでした。よすおさんは録り直しにはもう慣れてるので、それくらいじゃビックリしませんが、これがチンパンですと、相当落ち込みそうです。

 今回はもう一つ、前回購入したダイナミック型マイクロフォンを仮歌で使ってみました。AKGのD190ESの方は歌にも凄くいいです。一方のシュアーのPE515の方は、相当音が変わり、まるでラジオ・ヴォイスの様になってしまいます(後日談:配線が変だったみたいです)。しかし、こういうのはそれこそ使い方ひとつで、かなり便利な存在になるわけです。仮歌を録るのに、2曲ですと2〜30分もあればいいでしょうか。よすおさんとチンパンは、私が「歌を録ってる間は出てって」とも言ってないのに出掛けて行こうとしてます(本チャンの歌の時は、出てってもらうことが有りますが…………)。だったらせっかくだから、「歌ってる間にカブトムシでも獲って来て」と言って、出掛けて貰いました。
 私がカブトムシを楽しみに、頑張って歌を歌ってると、何やら気持ちが悪くなってきました。「んっ?何か臭いぞ?!」、原因は、プロパン・ガスの元栓がほぼ全開に近いかたちで、シュ〜〜〜〜っと出放たれてるではありませんか!!やばかった!もう少しで、ジミヘンやジョン・レノンのところへ行くところだったかもしれません。その後、吐き気と頭痛で悩まされ、家に帰ってからも体調が悪い日が続きました。
 私はこの怒りが収まらないので、来週のレコーディングでは、徹底的にわがままを言ってやります!!!あっ、でも今でも相当わがままかぁ〜。ン〜〜〜、どうしたらいいんだろ。そうだ!!クワガタとカブトムシ、5匹捕まえたら許してやろうっと。あっ、でもやっぱり、10匹にしよ〜うっと。

2000年7月12日水曜日〜2000年7月14日金曜日
 プロパン・ガスのガス漏れの影響で、後遺症がひどく、なかなかレコーディングに集中できません。今回は伊東まで電車で行き、駅までよすおさんとチンパンに迎えに来てもらい、途中、例のステーキ屋、『カウボーイズ』に寄って昼食をとり、スタジオに向かいました。ここのステーキは私の場合、調子の悪い時には必ず食べるようにしてるのです。以前、某バンドのプロデュースを手掛けた時、高熱を出してしまい、その時にここのステーキを食べたら、何故か元気になった事があったので、それ以来のゲン担ぎの様なものなんでしょうか。
 今回は先週のローズ・エレクトリック・ピアノに続きまして、ウーリッツァー・エレクトリック・ピアノのダビングをしましたが、私の持ってるウーリッツァーはチューニングがちょっと低いので、テープの速度を少しだけ(といってもほとんど判らない程度に)下げてレコーディングしました。
 チンパンのギターのダビングもしましたが、今回からもうちょっとリズムをシビアにやる事にしました。今まで友達同士でしかバンドをやって来なかったチンパンにとっては、リズムをシビアにやるというのは経験のない事でしょう。しかし、彼がこれからプロになっていくうえでは非常に重要です。私は自分のバンドの人間には、プレイに関して思った事を言うようにしています。決して遠回りな言い方はしません。チンパンは多少落ち込む事もある様ですが、これくらいでめげる様ではプロではやっていけません。彼の良いところは、家に帰っても努力できるところですので、言われた事を真摯に受け止め、努力を重ねていって貰いたいです。決して落ち込む必要などありません。才能があるからきつい言い方もしてしまうので、これがまるでだめだったら、私は優しく、ひたすらおだてるのみです(仕事のうえでは、その様なケースも稀にあります)。がんばれチンパン!!

2000年7月20日木曜日
 今回のクールは、7月最後のレコーディングです。今回のレコーディングのノルマは、前回の「もーさん出来ちゃった」のギターとベースの録り直し、ということで、私は結構気楽です。いつかマイクの話をしましたが、マイクにはダイナミック、リボン、そして電源が必要なコンデンサーというタイプがあります。今回からベースにレンジの広いコンデンサー型のマイクを立ててみます。流石に音は下に抜けてきました。今日は一応ベースの音だけ創って(一応、仮と言うことで、ミス・トーンなどもそのままで、ワン・テイクだけ録っておきました。)、明日の朝から録り本番です。

2000年7月21日金曜日
 今日は午前中最初はベースからのつもりでしたが、ベースのセッティングは昨日のままで、アコースティック・ギターから演る事にしました。チンパンはリズム感がとても良い方なので、ベースを入れる前にドラムに合わさせて録り、「リズムのベーシックをアコースティック・ギターとドラムス、そして先日録ったパーカッシブな“椅子を叩く音”とで創ってしまおう」と言う事になりました。昨日、仮で録っておいたベースの音を流しながら、ギターのマイクの位置や周辺機器などの調整をします。途中、「やっぱり、このマイクじゃないかな?」と思えば、マイクや周辺機器などもチェンジします。勿論、楽器のチェンジも頻繁にあります。今回はマーチンの000−28を使いました。録音が始まると順調に事が進んでいきます。チンパンは「時間が掛かってしまい。スイマセン」といつも言いますが、実は大した事ではありません(只、彼は弾く音が小さいのが難点です)。ドツボにハマルと大変ですが、彼の場合は対応が効くので………、やはり若いのにたいしたものです。チンパンは昨今の若者にしては珍しく根性も有りそうなので、私は「才能有るチンパンを更に鍛え上げて、立派なギタリストに育てていかなくては」と、思うのでありました。
 アコースティック・ギターの次はいよいよベースです。前回録ったテイクを聴き、どこがどう悪いのかを説明すると、時間が経って客観的になれるのか、とても飲み込みが良いです。暫くすると、テープを回す私と、ベースをプレイするよすおさんの集中力が上がって来ます。集中力が上がると、終った後に必ずそのリバウンドが来ます。そんな時、ここはやっぱり何と言っても温泉でしょう!因に、今回は風呂上がりにもレコーディングは続きました。

 次のレコーディングでは、ダイナミック・マイクのAKG−12Eが登場します。楽しみだにゃ〜。


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