安田しん二レコーディング日記
私、安田しん二のスタジオ、FAB ROCKS REC. HOUSEでの奮戦記です。
FAB ROCKS REC. HOUSEはNon DIGITALにこだわった、
ANALOG専門のレコーディング・スタジオです。

2000年10月2日月曜日〜5日木曜日
 先週レコーディングした「もーさん出来ちゃった」は、コード楽器が入ってたおかげで、ドラムスもあっという間に録れてしまいました。ドラムをレコーディングする時は、音決めに物凄い時間を要するのですが、プレイだけですと、大抵2、3回もテイクで仕上がってしまいます。
 その後はベースです。勿論ベーシストであるよすおさんが演るのですが、人には厳しく、自分には優しい私に、よすおさんは何度も怒られながらのレコーディングで、ちょっと厳しすぎたかもしれません。以前、私が厳しいせいか、若いギタリストが辞めてしまったので、少し優しくしようかとも思いましたが、やっぱりそんなことしてもバカバカしいので、毅然とレコーディングに挑もうと思ってます。そのせいか、やはりプレイのグレードは上がるってもんです(ここがよすおさんの凄いとこ)。
 さて、ベースは今回、R&B調の「R&Bチャンチャカチャン」では、ギルドのアコースティック・ベース・ギターを使い、ちょっとウッド・ベースに近い感じを出しました。この曲は4分の4拍子が、いつの間にかに8分の6拍子に変わる、っていうオモシロイ曲です。
 段々乗ってきたところで、大アクシデントが起きました!!テープ・レコーダーのピンチ・ローラーのゴムがグニャグニャになってしまったのです。と言う事で、今回のクールは、ここで一旦作業をストップし、自宅へ帰る事にしました。

2000年10月13日金曜日
 オタリのテープ・レコーダーが部品交換の為、今日は修理のみでレコーディングは止めました。それにしても目の玉が飛び出るほどの金額を払わされた私は、かなりのショックを受けました。オタリのMTRっていうのは、ピンチ・ローラーを交換するのに、その下のモーター・ユニットも全て交換しなくてはいけないのだそうで、ゴムだけですと数千円位で出来そうなところ、余計な物まで付くお陰で、莫大な金額になってしまうのだそうです。これでギターの1本も買えるのに………悔しい………。

2000年10月14日土曜日
 今日はアコースティック・ギターのレコーディングです。マーチンもいいのですが、ストローク(コード弾き)の時はビートルズじゃないですが、やはりギブソンJ−160Eがサイコーですね。我がバンドでは、これをよすおさんと私とで1台ずつ所有しております。J−160Eはアルペジオなどにはあまり向きません。と、言うのは、音の鳴り自体はあまり良くないからです。J−160Eは同社のJ−45などと違って、ボディーのトップを厚く作ってあります。これは元々、ピック・アップ付きのアコースティック・ギターであるJ−160Eの、演奏中のハウリングを防止する為なんです。

2000年10月15日日曜日
 今日はあまりやる気も起きず、よすおさんが先日のレコーディングでの弾き過ぎにより、「指が痛いよ〜」と言うもんで、お休みにしようと思います。そんでもって、「んじゃぁ、たまには下田まで行くかぁ」と男2人でドライブをしました。ここ伊豆でのレコーディングは、やる気の無い時はお休みに容易に出来るところが良いのですが、レコーディングが遅れるという副作用にも充分に注意しなくてはいけませんね。

2000年10月16日月曜日
 今日はデレクターのSさんが来ました。的確かつ客観的な意見を聞き、「ン、なるほど!」と、ちょっとした軌道修正なども行います。
 ギター・ダビングなどを中心にしましたが、よすおさんの指の痛みもいぜんとしてとれず、「R&Bチャンチャカチャン」では私がSGを弾きました。

2000年10月17日火曜日
 今日はキーボードとパーカッション類のダビングをする事にしました。午前中はもっぱらキーボードの練習をして、午後からレコーディングです。ちょっと悠長ですかね、やっぱり。

2000年10月18日水曜日
 今日もパーカッション類を重ねて行きましたが、その後はいよいよ私の宝物、メロトロンの登場です。ところが、暫く使ってなかった為か、調子が良くありません。よくよく観ると、私達は115Vの電圧で使っていたのですが、このメロトロンちゃんは、なんと240Vだったのでした。慌てて240Vにしましたが、それにしてもうっかりしてました。しかし、それでもピッチが安定せず、そうとういらいらしながらレコーディングをしました。途中で嫌になってしまい、「エエ〜〜イ!残りは明日!!!」とレコーディング放棄してしまいました。

2000年10月19日木曜日
 今日はまず朝早く起きて、メロトロンちゃんに「おはよー」と声を掛け、電源を入れます。それからいつものようにご飯を食べ、寝ぼすけのよすおさんを起こします。よすおさんは、一度声を掛けてから40分はしないと起きてきません。ですから、私はイライラするのも嫌なので、起こす時間の40分前に声を掛けるようにしてます。その間、NHKの朝の連続テレビ小説、『オードリー』を観てます。
 いよいよ、メロトロンちゃんのレコーディングを再開するのですが、相変わらずピッチが安定しません。よすおさんと2人でああでもないこうでもないとすったもんだの末、ようやくダビング完了。
 そして、とうとう歌を録らなくてはいけなくなりましたが、詞がまだ半分位しか出来てなく、「しょうがないので、歌いながら考える」と言う、前代未聞のどうしょうもないレコーディングになってしまいました。
 そしてこの日の夜より、エンジニアのお友達、タッキーが遊びに来てくれるとの事で、楽しみに待つこと数時間。彼は夜の9時頃になって、爆音を上げて愛車BMWに乗ってやって来ました。私はこの夜から何故か鼻水が出始めましたが、今日はタッキーも来た事だし、「飲もう!」と言うことになり、歌入れを後2曲残し、酔っぱらって寝るのでありました(余裕なのか、開き直りなのか?)。

2000年10月20日金曜日
 今日はこの永い永〜〜〜〜いクールの最終日です。何が何でも歌詞を付けての歌録りを済ませ、コーラス、そして仮ミックスまでは行かなくてはなりません。しかし、まだ歌詞も書けてないと言うのに、この余裕はいったい何なんでしょうか?それに、昨日の鼻水が止まらず、おまけにちょっと熱もあるみたいです。ところが、熱があったくらいでレコーディングを休めない状況であります(やっぱり余裕じゃないんだぁ)。先ずは、よすおさんとタッキーが外に出掛けてる間に、1曲レコーディングしてしまいたいところです。私は出来てない歌詞の部分を考えながらレコーディング開始(ヘッドホンをして、自分でテープを回します。右手には歌詞の書いたノート、左手でテープ・レコーダーのスイッチを操作)。で、なんとコーラス部分まで出来てしまいました。チョット疲れたので、ここ1時間ほど昼寝をしようと思い、その間にタッキーとよすおさんでアコースティック・ギターを1トラック録っておいてもらおうと、私がギターの音作りを済ませ、それから布団に潜り込みました。寝ること1時間、私が起きて来るとまだ演ってました。しょうがないので、もう1曲の歌の歌詞を考えながら、台所で待機してます。ようやくよすおさんの番が終り、最後の歌い入れに入り、こちらも1時間掛からずに終了(奇跡は起きるもんだ)。そして、私の苦手のキーでのローズ・エレクトリック・ピアノの録りも完了させました。こちらはタッキーがテープを回してくれ、いつものよすおさんだとパンチ・イン/アウトがあまり上手く行かず(本職じゃないからしょーがないけど………)、ほとんど区切らずに続けて長いテイクで録るのですが、タッキーは流石、上手い!!ですからこの作業もあっという間に終りました。それと、ちょっとしたレコーディング・テクニックで、明るいはずのローズの音色をちょっと暗く目にして録ることが出来ました。これはなかなか良い雰囲気です。

 さて最後は、で〜っかいAKGのスプリング・リヴァーブ、BX−20を3人で運び込み、これを使って仮ミックスです。ホントはここ(FAB ROCKS REC. HOUSE)の風呂場の天然リヴァーブを使おうかと思ったのですが、外が土砂降りの雨で音を拾ってしまうので、泣く泣く断念しました。まあ、これはまた今度の御楽しみにします。
 とりあえず、詞まで入ってのレコーディング〜仮ミックスまで無事終わり、時計を見るともう夜中の2時でした。今回は長期滞在でしたので、この頃にはすっかりホーム・シックになっており、私を乗せたよすおさんの車は、F−1のレーシング・カーとなって(っと、言うよりは、“走る棺桶”と言った方が適切。怖いよ〜、よすおさ〜ん)、東京方面へ向かったのでありました。


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