安田しん二レコーディング日記
私、安田しん二のスタジオ、FAB ROCKS REC. HOUSEでの奮戦記です。
FAB ROCKS REC. HOUSEはNon DIGITALにこだわった、
ANALOG専門のレコーディング・スタジオです。

2001年5月10日木曜日
 暫く休止していたレコーディングですが、ようやく再開することになりました。考えてみれば、グループ名をトゥ・ラヴ・サムバディになってからの初レコーディングって事になりますね。
 その記念すべき初レコーディングの曲は、「ただそれだけさ」という曲です。珍しく仮題でも仮詞でもなく、すでに詞曲とも出来上がってます。
 先ず、今回は私がヤマハのエレクトロニック・ピアノ、CP−20を弾き、それと同時によすおさんがアコースティック・ギター、マーチン000−28を弾き、録音して行きます。エレピの方は、ライン録りではなく(アンプから音を出さず、直接テープに録るやり方)、一応、ピーヴィーのキーボード・アンプから音を出したものをマイクで収録します。最初、タッキーがエンジニアとして居てくれたのですが、時間がなく、セッティングをしたところで、都内へ戻らなくてはなりませんでした。しょうがないので、私のエレピの傍らにMTRのロケーターを置き、自分でレック・ボタンを押します。と言うことは、勿論、「パンチ・イン・アウトが出来ない」と言う事になりますね。
 このレコーディングが終り、私達も一度都内へ戻らなくてはならず、今日のところはこんなところでおしまいです。続きは数日後、直ぐ行う予定です。

2001年5月13日日曜日
 今日はタッキーが来てくれました。彼は昨日の夜から一睡もせず、車を都内から飛ばして来てくれました。と言うのは、テープ編集をしてもらう為です。先日演った、よすおさんの弾くマーチン000−28(これ私のよ)と、私の弾くヤマハCP−20エレクトロニック・ピアノでの演奏、「ただそれだけさ」のテイク1と2を繋ぎ合わせてもらうためです。その日は、テイク1を録った時点で、「後半だけもう一度録っておこうか?」と、後半部分だけのテイク2を録り、そこをマルチ・テープを編集テープで繋ぎ合わせました。ただこの1ヶ所を切って繋ぎ合わせるだけ、ただそれだけの為に疲れてるところわざわざやって来てくれる、タッキーはかけがえのない良い友達です(曲名も「ただそれだけさ」だもんね)。
 結局テープを繋ぎ合わせ、それだけやると、この日は近所の温泉へゴー!3人で湯船につかり、1時間以上もその中で、「あのマイク良いよね」、とかそんな機材の話で盛り上がるのでした(毎度の事です)。

2001年5月14日月曜日
 今日は早く起き(私はいつも早いんだけど)、タッキーは午前中に都内へ戻らなくてはならない為、帰って行きました。
 よすおさんと2人きりになって、寂しさを味わう間もなく、「ただそれだけさ」のエレピとアコギ、それにタンバリンをかぶせます。普通、レコーディングというのは、ドラムの録りから始まるのだけれど、この曲の場合はちょっと変わってます。
 その後、タンバリンを録る時に、いつも使ってるマイク・プリ・アンプの真空管の調子が悪くなったので、かわりに別のマイク・プリを使って録りました(調子の悪くなった方の真空管は後日換えました)。
 曲のグルーヴがだんだん出て来たところで、いよいよドラムスのレコーディングです。最近手に入れたマイクとマイク・プリアンプを使って録ったのですが、これが素晴らしい音なのです。
 「ただそれだけさ」は、アコギとエレピ、タンバリン、ドラムスの後はなんと、早々とリード・ヴォーカルの録音です。こちも新しく手に入れたマイクを使い、その想像を超える素晴らしい音色に感激しました。早速タッキーに電話して自慢してやると「ン〜〜、悔しいなぁ。あれから帰ったら、実は今日は帰らなくても大丈夫になっちゃってたんだよ〜。帰らなきゃ良かったよー」と悔しがってました。そう聞くと、なんだかさらに虐めたくなってしまう私の性格、「今日は絶対帰って損したよ〜!!」と何度もタッキーに言ってやるのでした。

2001年5月15日火曜日
 今日は「ただそれだけさ」の続き、ヴォーカルの後にやっとベースです。楽器はリッケンバッカーの4001を使いました。マイク・プリも、新しく買ったシーメンスの物を使いましたが、これもしっかり音が下に抜けてくれて大満足です。
 この時点でこの曲はもう形が出来てます。後は後日コーラスを入れて、一応音のめどが立ちます。「ただそれだけさ」は元々、コーラス重視の曲、という事で書いたものなので、実はこの“コーラス”が大変なんですが………。
 夕方からはもう一曲の方の「憶えているかい」の歌を録りました。ちなみにこの、「憶えているかい」は何度も詞を書き直し(10回位書き直しました)、やっと納得できるものが出来たので、これで本チャンの歌という事になります。
 詞の内容は、「昔、海へ行った時に、大人になってからの夢を話したのを憶えてる?今、君は何処にいるのかなぁ?」と言ったような内容です。
 この詞を書く時、最初、友人の塩沢一平氏が手伝ってくれました。彼は某短大の古文の先生で、とてもボキャブラリー豊かな、ナイス・ガイであります。残念ながら、彼と書いた詞はボツになってしまいましたが、今後、私の曲の詞を御願いする事も出て来るかもしれません。

2001年5月16日水曜日
 さすがにおじさん2人の我がバンド、もう疲れが溜まってきました。で、今日は「ただそれだけさ」のコーラスを演るのですが、ノロノロしてたら、午後になってしまい、それからやっと私の1人コーラスの録り開始。一応この日にレコーディングを終えて自宅に戻るはずが、結構長引き、帰るのは明日に繰り越しになりました。でも、そんな努力の甲斐あって、音の方はかなり良い感じ。

2001年5月17日木曜日
 今日は「ただそれだけさ」のコーラスの続きからです。
 サビの部分を少し演り直して、更にもう1パート重ねました。今回のコーラスは譜面を書かず、録りながらなんとなく重ねて行ったのですが、まあそう言う演り方の方が、「頭で考えたっぽいコーラス」と言うよりは、「感性とノリで自然に出来たコーラス」になって良いかな?とも思ったのです。が、やっぱり、1音だけですが、コードとしっくり合わないところが出て来てしまったので、そこをピアノの構成音に基づいて直したのです。これで今まで気に掛かってた部分が解消されました。
 続いては、間奏部分の録音です。ここは、私の弾くリッッケンバッカー360−12と言う、エレキの12弦ギターで演る事にしました。初めはミディアムのピックを使って弾いてたのですが、どうも音の方がシックリ来ないので、よすおさんに硬めのピックを借りてプレイしました。私の好みはオニギリ型のピックなのですが、よすおさんはティアドロップ型のピックがお好みの様です。ですから、借りたピックはティアドロップ型でしたが、私は珍しく文句も言わず黙々とプレイするのでした(なんとかは筆を選ばず、みたいな感じ?な〜んちゃって)。
 最後に「ただそれだけさ」と「憶えているかい」を仮ミックスして終了。本ミックスは暫く経ってから演る事になります。これでやっと家に帰れると思うと、なんだか嬉しいです。でも、この2曲の出来が良いと言う事の方が何十倍も嬉しいかな?


ホームへ戻る レコーディング日記目次へ 前ページへ 後ページへ