安田しん二レコーディング日記
私、安田しん二のスタジオ、FAB ROCKS REC. HOUSEでの奮戦記です。
FAB ROCKS REC. HOUSEはNon DIGITALにこだわった、
ANALOG専門のレコーディング・スタジオです。

お詫び………。
 ここのところ、ずうっと日記を書いてませんでした、ゴメンナサイm(__)m。しかし、その後もレコーディングは順調に続けられていたのです。
 機材の方も、レスロのマイク(これはジャンクでしたが……)、ノイマンU47fet、RCA77DX、ベイヤーM610、ベイヤーM160etc.etc.………、と増え続け、FAB ROCKS REC. HOUSEは凄いことになってしまいました。イクイップメントやアンプの真空管もほとんど入れ替え(特にベース・アンプは良くなりました)、音質もグッとアップしました。何と言っても、ここのところずうっと調子の悪かったメロトロンを、タッキーが見事に復活、と言うより、以前よりも更に良い状態にしてくれて、こちらもパワー・アップしました。
 そんな中で、何よりも大きな出来事は、トゥ・ラヴ・サムバディというバンド名はもう使うのは止めよう、と言う事になった事です。その代わり、これからは安田しん二のソロ名義でレコーディングを続けて行く事になったのでした。つまり、10年続いたバンドは解散…………。しかし、今後もよすおさんには協力して貰おうと思ってるので、実質上何ら変わる事はないのですが………。
 因みに、ラジオ番組、『奇跡の軽音楽』の方では、トゥ・ラヴ・サムバディはオシャベリグループとして存続し、何故かタッキーと、そして相変わらず喋りのまずいよすおさんと(ごめん、でもホントの事何だモ〜ン)、3人で続けて行く事となりました。こちらはタッキーが加わり、いつもの和気藹藹としたレコーディング風景そのものの喋りになるでしょう。
 それから個人的には、生まれて初めての音楽以外の趣味、“カメラ”(それもほとんど旧ソ連とか旧東ドイツとかの)と言うモノが登場しました。こちらも、タッキー&よすおさん達と『おもカメ倶楽部』なるものを結成し、楽しんでおります。いずれは、CDジャケットや、中ジャケの写真も自分達で撮ろうと思っているのであります(凄い野心だ!)。

2001年12月
 「ただそれだけさ」は、「曲とほぼ同時に詞が出来上がってた」と言う楽曲ですが、今回レコーディングする予定の新曲も、レコーディングをする前にはもう詞が上がってたという状況です。しかし、こちらは曲が出来てから暫くしてから詞を完成させたモノで、決して詞曲同時完成の楽曲ではありませんが……。しかし、「レコーディングに入る時点で詞が出来上がってる」って言う事くらいありがたい事はありませんよね、まったく。

 最近では、普通レコーディングをする前にクリックを録り(メトロノームだと思って下さい)、それから、それをヘッド・フォンでモニターしながらリズム・トラックを録音するというのが、何処のレコーディング現場でも当たり前になってますが、今回レコーディングする、この「サヨナラ僕の想い出」の場合は、クリックを入れずに演ろうかと思ってます。
 それから、今回はプロジェクト始まって以来、初めてアコースティック・ピアノを使用します。暫くアコピは使ってなかったので、調律も落ち着かないかと思いますので、先ず一度調律師に来てもらい、音作りをして、翌週また調律師に来てもらって、それから再度音を確認し、そんでもってそれからレコーディングを始めると言う、何とも気の永〜〜い作業になりそうです。
 FAB ROCKS REC. HOUSEで使ってるアコースティック・ピアノは、ベーゼンドルファーではありません。スタインウェイでもありません。ヤマハ……でもありません。だったらカワイ?………違います。ナント、あの不朽の名器、“エルスナー”です!!!………って、誰も聞いたことないでしょ?私も知りませんでした。調律師も「こんなの初めて見ましたよぉ」と言ってました。おまけに、グランド・ピアノではなく、な〜〜んとアップ・ライト・ピアノなのでしたぁ。よくよく調べると、『東洋ピアノ』と言う、小さなピアノ・メーカーが4半世紀以上も前に作った物らしいのですが、おそらく当時ヤマハやカワイより安価だったのではないでしょうか?ところが、音の方はと申しますと、これがなんと私が演ろうとしてる音楽にピッタリのサウンドで、とっても乾いた良い音なのです。私の実家には、私の妹が子どもの頃使ってたヤマハ、グレードで言うと、グランド・ピアノの直ぐ下のクラスあたりのアップ・ライト・ピアノが有るのですが、こちらの方は私に言わせると、「なんだかグランド・ピアノを意識しすぎた、良く言えば密度の濃い音」で、もっと遠慮無しに言うと、「ちょっと湿った感じの音」なんです。このヤマハ、私の好みとしては、「これだったら始めっからグランド・ピアノの方が良いじゃん」と言うピアノなので、あまり好みではないのですが、一方のFAB ROCKS REC. HOUSEにあるエルスナーはとっても気に入ってます。
 先程も書きました通り、12月の第1週目は、調律をして音創り。その時点で直ぐに調律が狂ってしまうので一度帰り、日を開けます。そして翌第2週目にも再び調律して、いよいよピアノの録り。それからリード・ヴォーカルもその日のうちに入れてしまい、そこでまた一度帰りました(ここの時点までは、私とタッキーだけでレコーディングをしました)。しかし、この曲はバラードなので、ピアノと歌だけのヴァージョンとして出来上がっちゃった事にもなります。歌とピアノだけでもかなり聴けます。タッキーもエラク気に入ったようです。さて来週はダビングするぞ〜!

 そして、第3週目。今回のクールはタッキーは来れず、よすおさんと私の2人でレコーディングします。
 先ずは先週録った「サヨナラ僕の想い出」のピアノのトラックをピンポンして、ついでに音も創ります。この時点でテレフンケンのコプレッサーを掛けて、最終的な音になるまでに仕上げてしまいます。当然ここでもEQなんかは使いません。そして、ピアノのトラックをまとめてると、先週録った自分の歌の気に入らないところが出て来てしいましたので、そこも演り直しします。この時点までは、この曲をよすおさんはまだ一度も聴いてませんでしたが、ここらで初めて曲を聴き、「いい曲じゃ〜ん」と人事の様に褒めてくれました。そうこうしてると、もう一日が過ぎて行こうとします………と言うか、風呂に入りたくなっちゃいました。しかしここで、せめてソロ・ギターだけでも録っておこうとがんばります(しんちゃんエライ!……と自分で自分を褒めてしまう)。ソロ・ギターは私がテスコのスペクトラム5というビザールなギターを、フェンダーのチャンプと言う小っちゃな真空管アンプで鳴らして録りました。今回よすおさんは初めてここでマルチを回す役で登場です。そういえば最近、よすおさんもマルチを回すのが慣れて来たのか、巧くなってきた気がします。この日はこれでお疲れさん。さっ、早く風呂に行こうっと!

 翌日に、「サヨナラ僕の想い出」のドラムを入れる所から始めたのですが、クリックが入ってないので、結構大変でした。しかし、コツをつかんだら案外ポンポンと進んで行きました。それから、よすおさんには今回シタールを弾いてもらおう思い、前日に「練習しといて」と言っときました。いきなりそんな事を言われたよすおさん、困ってるかと思い気や、案外楽しそうです。そうそう、そうじゃなくちゃ、ミュージシャンは………。それから、アコースティック・ギターも弾いて貰ったのですが、せっかく演ったのに、なんだかノリが合いません。やはりクリックを使ってないから、このナチュラルなノリにダビングで合わせるのは本人以外は難しいのでしょう。と言うわけで、これ以上弾かせても大変なので、このトラックは一応ここまで。今度は私がエレキ・ギターのオブリガートを入れます。ここでは、ヴォックスのトーンベンダーというファズとヴォックスのアンプ、ギターはギブソンES335を使いました。335と言えば、私達の世代ではラリー・カールトン。でも、しかし、別にカールトンっぽく演ろうなんとは全然思ってはいませんが、それにしてもどうしてこう私が弾くとカールトンっぽくならないのでしょうか?不思議だなぁ。
 この曲、歌とピアノしかまだ入ってない時点で、自宅で奥さんにこの曲を聴かせると、滅多に具体的な事は言わない様にしてるのに、この時は「チェロとか入れるといいよね」と言ってたのを思い出し、チェロを入れる事にしたのですが、ここはメロトロンのチェロに登場して貰おうと思ってます。今までとても調子が悪かったメロトロンですが、先日タッキーが見事に直してくれました(わ〜〜い、パチパチパチ)。今後、メロトロンの出番は、断然増えると思います。私はメロトロンが大好きですから……。
 さて、メロトロンでチェロを入れると、なんと味わいの有る事でしょう!そして、フルートとストリングスのパートも入れ、かなり形になって来ました。第4週目はいよいよ仮ミックスです。楽しみだにゃ〜。

 さて、第4週目に突入しました。今回はタッキーも来てくれて、最近ハマリ始めた旧ソ連カメラを持って、楽しみながらのレコーディングです。
 早速トラックを開けてみると、やはりアコースティック・ギターが気に入らないのでありました。ここはしょうがない、私が弾くかぁ。やはり、自分で演るとドラムやピアノのノリにバッチリ合います。すると今度はベースです。よすおさんもようやくノリをつかんだのか、感じが出て来ました。ベース・アンプの音なんですが、以前の真空管を全部取り換えて、断然良くなりました。よすおさんは、ベースマン100の真空管を、中古で買っていながら一度も取り換えてなかったのです(オイオイ)。しょうがないので、私が真空管を沢山調達して来て、その中で一番合ったものを分けてあげました。真空管って何処のメーカーを入れるかで、断然音が変わるんですよ。カメラは中国製やロシア製ってのは面白いですが、真空管だけは中国製やロシア製ってダメですね、私は嫌いです。
 全ての楽器が入ったところで、仮ミックスの開始!……30分程で出来てしまいました。良いお年を!


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