安田しん二レコーディング日記
私、安田しん二のスタジオ、FAB ROCKS REC. HOUSEでの奮戦記です。
FAB ROCKS REC. HOUSEはNon DIGITALにこだわった、
ANALOG専門のレコーディング・スタジオです。

2003年7月8日火曜日
 先月はスタジオの掃除とメンテでFAB ROCKS REC. HOUSEに来ましたが、その時なんと部屋の中に毒蛇のヤマガカシが!私とよすおさんの2人で無事捕獲しましたが、結構あせりました。ここは色々な生き物が出ますなぁ!まぁ…、私は慣れましたけど……。

 そんな中、プロジェクト名を更に変えました。やはり、よすおさんと「俺達ってバンドだよね…」と言う事となり、プロジェクトをバンド名義に戻しました。とりあえず「ミラクルシャドウ」と言う昔の名前を暫く使って行きますが、これはまた変るかもしれません。皆さま、どうぞ宜しくお願い致します。

 さて今回は、今までレコーディングした曲のうちの何曲かのラフ・ミックスを作り、更に「大切な人」のコーラスで1ヶ所、ピッチの気になるパートがあったので、それを録り直ししました。最近ですと、余所のスタジオではプロ・トゥールスで、そんな直しはプラグ・イン(オート・チューンとかで、音痴解消!)一発で出来てしまうのでしょうが、ここは「アナログ!FAB ROCKS REC. HOUSE」です。そんな真似はしません(いや、出来ませんだぁ!)。しかしそれにしても、ハード・ディスク・レコーディングって楽そうで良いよなぁ〜……いかんいかん、アナログには不便な分、ハード・ディスク・レコーディングには無い良いところがいっぱいあるんじゃ。反省……。いずれはアカペラ・コーラスを大フューチャーした曲も録音しようと思ってるので、その手間を思うとつい心が揺らぎました。
 そうそう、最近は1950年代のドゥー・ワップなんか良く聴きます(ケルトやフォルクローレもよく聴くけどね…)。そんなのを聴いてると、私もついドゥー・ワップ、それもアカペラで演りたくなってしまうのでした(勿論オリジナルの曲で)。まずは曲を書かなくちゃ!

2003年7月15日火曜日 at イデア・サウンド・スタジオ
 今日はエンジニアの青野さんのスタジオ、『イデア・サウンド・スタジオ』で、ドラムの音にフェアチャイルドのコンプレッサーを掛ける作業をしました。
 ここのスタジオは、ヴィンテージ・コンプ、マイクロフォンなど、素晴らしいイクイップメントの宝庫で、数台のテレトロニクスLA−2A、フェアチャイルド660と670、ゲイツSTAレベル、ユニバーサル・オーディオ(ウーレイ)のあらゆるヴァージョンのコンプ………等々、これらのヨダレもんの機材は、きちんとメンテ&チューンされてパーフェクトな状態に保たれてます。なかでも特出してるのは、「フェアチャイルドのコンプ、660と670の両方が揃って有る(多分、日本のスタジオではここだけ?)」と言う事ではないでしょうか?

 さて、私が作業をすると言う事で、青野さんの所の若きエンジニアの方達が、興味深そうにしてます。最初は例によって、私が一人で喋りまくってましたが、3〜40分したところでいよいよ作業開始。
 ここのスタジオのコンソールはSSLのEシリーズです。勿論FAB ROCKS REC. HOUSEのサウンドクラフトのコンソールとは値段も性能も差がありますが、だからと言って、一つ一つの音色が太くなるとかってな事は有りません。何が違うかというと、レンジが広いので音と音の分離が良く見えます。ですから、録った音が悪いと、それがモロに分かってしまうのであります。……で、私のマルチを早速掛けてみましたが、「!!!」素晴らしい!!ちゃんとしてました。ある曲のレコーディングの時、ベースの「下に抜ける感じ」がしない曲が1曲有りましたが、でもあとはもう大満足でした。

 フェアチャイルドの660と670の違いは何か?単純には、660は1ch、670はそれが2つ分の2ch、つまりステレオで使える、と言う事ですが、やはり掛り具合は少し違う様です。同じ物の“個体差”程度の違いと言う見方も出来ますが、やはりどこか違う気がします。私の思うに、670の方が660よりも若干落ち着いてる掛り方と言う印象が有ります。つまり、660の方が少しだけ派手。670はトータルでも使えるますし、所謂「フェアチャ・サウンド」と言う事で間違い有りませんが、私の場合やはり、モノの音源は660がファースト・チョイスですね(670でも充分過ぎるほど満足できますが……)。
 今回はドラムの音だけでしたが、660と670を掛ける事によって、新たに得られた点は、ドラムの“必要な”倍音を豊かに、美味しく膨らましてくれました。後期のビートルズのキックの“ボウン!”と言う膨らんだサウンド、それにタムの重さはまさしくフェアチャイルドによるものです。私が以前行った事のあるイギリスのエアー・スタジオで目にしたフェアチャイルドは、670ではなく、全て660でした(どの部屋もそうでした)。アビー・ロードはどうだったでしょうか?また、秋に行く事になるかもしれませんので、その時観て来たいと思います。

 今回、フェアチャイルドを使用した曲は、「大切な人」、「もしも今、会ったなら」、「テレビ塔の空」、「おやじジャム」〜「気になる僕の未来の行く末」、「雲の上から」、「R&Bちゃんちゃかちゃン(勿論仮題)」、「高校生になったら」などです。CDが出るのが楽しみになって来ましたか?曲、サウンドのクオリティーと面白さは、ミラクルシャドウの『奇跡の影』を遥かに凌いでると思います。他にもまだまだ曲が有りますので、それを8月には絞り(つまり、セカンド以降のストックとなる曲と分けるのです。因みにボツ曲は今のところ無いです)、12月か1月にはリリースしようと思ってます(ドリームズ・ヴィルから!)。それまで、お楽しみに!


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